くらげのごとく…

好きなことを考えてふわふわ漂ってるような
時間が心地良かったりする。
たとえ時間の無駄遣いだったとしても…。

相模大野

2008年06月08日 | 日常あれこれ

私の通勤エリアは小田急江ノ島線だ。新宿方面から乗ると、少しややこしくて、相模大野を起点に厚木、箱根方面の路線と江ノ島線に分かれる。要は江ノ島線はかなりローカルで、最終も早くなくなってしまうのだ。

この相模大野という町、昔、先輩が住んでいたこともあって何度か遊びに行った。あの頃は、駅前は何もなくド田舎だったけど、15年くらい前に、伊勢丹やらホテルやらができてかなり都会になった。夏デパート物語というドラマは新装開店の伊勢丹で撮影していた。そのころに比べると、ややさびれ感がなきしもあらずだが、駅周辺はいろいろなスポットがあって、暇つぶしには困らない。

さて、百物語開演前、付き合っていただいた先輩とホテルセンチュリーのデザートビュッフェへ行ってみた。これが、なかなかいけてる~。この頃、コージーコーナーや、ミスドしか食してなかった私にとっては、パテシエが作る、繊細な味にノックアウト。再来週の健康診断も忘れて食べまくった。
 
             

            
     
ケーキの他にサラダもあって口直しできたし、コーヒー、紅茶、ウーロン茶も飲み放題で1700円なり~。幸せ~な午後だった。


百物語

2008年06月08日 | 観劇

白石加代子
「百物語」シリーズ
第25話
グリーンホール相模大野・多目的ホール

                                                                            
         

百物語とは100本の蝋燭をともし、怪談話を1つ語るごとに吹き消していく。そして100話目が終わって真っ暗になったとき、真の怪異が訪れる…。だから通常は99話で終わらせる。

こわ~いお話を、これまたこわ~い化け物女優、白石加代子様が語る。あっ、これいい意味よ。加代子さんの舞台の上の化け物ぶりは他に類を見ないもの。身毒丸の撫子は脳裏に焼き付いて離れない。

この百物語は加代子様のライフワークでもある。今回は6話もあり一気に86話目まで進んだ。かわいいといってもかなり不思議な童話から始まり、SFチックなお話まで盛りだくさんだ。前の晩、夜更かしをしてしまったし、仕事だったもんだから、途中、ちょっと睡魔に襲われた。

休憩をはさんで、第2部の、谷崎潤一郎「人面疽」と阿刀田高「赤道奇談」は集中できた。谷崎潤一郎さんって「細雪」ぐらいしか知らなかったから、こんな怖いお話もあったんだなあと驚いた。古い作品なのに、なんか新しい。リングを思い出しちゃった。これ、ハリウッド映画にしても面白そうだな。そんな風に思えたのは、加代子さんの熱演のせい。幾多の登場人物を巧みに演じ分け、観客を物語の世界へと引きずり込む。時に床にねころび、般若のような表情を見せるエネルギッシュさは、まさに朗読と独り芝居の融合という感じがした。

最後の「赤道奇談」は、船旅中に一線を越えてしまった人妻の一夜の不倫話。一線は越えてもくぐってもいけないってなわけで?ホワイトボードに丁寧にくぐった赤道の隙間についての図式説明があって、大いに笑わせてくれた。

今夜のお衣装、1部は和服だったけど2部はアオザイ。薄紫に黒い花模様、これが、物語にマッチしている上、加代子様にもとてもお似合いだった。


1/2年

2008年06月07日 | 日常あれこれ

子年も、もうすぐ半分の折り返し地点。6月って祭日がないのよね。カレンダーがまっ黒け~。だけど、イベントは多い。ジューンブライドは幸せになれるということで結婚式も多いし、宝くじも発売されたし、ボーナスも出るしね。

今年も、「最後の大安吉日!」「誰かが当たる3億円!」の呼び声に後ろ髪をがっちりつかまれて、ついに最終日の閉店間際に買ってしまった宝くじ。買わなきゃ当たらない。どこかで誰かが確かに当たる。でも自分には、99%、当たらない。2700円宝くじ協会へ寄付することになるのはわかっちゃいるけど、1%の運命の女神が万が一ほほ笑むことだってあるかもしれない。…、はあ、この堂々めぐりの思考はたぶん延々と続くのよね。

早々と、ボーナスの明細だけ頂いた。支給日は13日の金曜日…、なんか日が悪くないかい?公務員に準ずる我々の給料、もちろん、公務員よりかなり低いのは事実だが、人事院勧告が下がると、素直に下がってしまうのだ。ううっ、ボーナス減額だよ。明細書を眺めながら、このくらい月収がある人ってざらにいるんだろうなあって落ち込む。でも、頂けただけ御の字よね。大事に使わなきゃ。←貯金はせんのかい?

さて、悲喜こもごもある中、「かもめ」のチケットがようやくそろった。初日と楽日以外はまあまあ前方の席だった。なんか来年の「ムサシ」の発表ですっかり影が薄くなってしまった感があるけど、なかなか渋い出演陣だし、稽古も白熱しているようだから、楽しみだな。新訳がすばるに掲載されているようだからチェックしなくては!


95kgと97kgのあいだ

2008年06月01日 | 観劇

さいたまゴールドシアター第2回公演。今回は、主演によこちんこと横田栄司さんをすえ、ニナガワスタジオの若手も入り乱れての作品。ゴールドシアターもこの作品を境に役がつく人、つかない人に分かれていく。いよいよ厳しい、プロの世界への船出だ。

幕が開くと、「行列」の芝居を稽古している若者たちの列がうねうねと続く。おしゃべりをしながら、携帯をいじりながら、一見、無秩序に並んでいる。横田氏演じる、青年は、大きなキーボードのケースを背中にかついで振り回し、知らないうちに回りに迷惑をかけている困ったやつ。でも行列からはみでたものは、警官に迫害される。この行列は、やはり社会の秩序とか法律とか常識とかを表しているのかな。

やがて、かつて、この芝居に出演していた一群として、ゴールドシアターの面々が登場してくる。青年は鬼軍曹に変わり、号令をかける。かれらは、無秩序ではなく整然と並び、指示通りに進み続ける。言葉も発せず、必死に砂袋をかつぎながら…。戦後の高度成長期のように復興を旗印にがむしゃらに働いた時代を象徴しているようだった。一方、外側にいる若者たちは、せせら笑う。指示する人もいないし、指示に従うわけでもない。何もしないで文句ばかり言う。無気力、無関心の世代だ。でも、無言で進み続ける老人の姿に影響され、いつしか若者たちも砂袋を担ぎ出す。撃たれても同じように笑いながら立ちあがる。そこに時代を踏襲していく姿を感じた。

砂袋はじわじわ重くなる。100kgまであとわずか。95kgはクリアだ。そして2kgがプラスされた97kgで、人々は力尽きる。この2kgの壁がどうしても越えられない。人間には誰しも壁にぶちあたることがある。あとわずかなのに手が届かないものも。若者よ、手伝ってあげないの?って思った。これはもしかしてジェネレーションギャップでもあるのかな。世代が違うと微妙なずれや、相容れないものって確かにある。たとえ、親子でも…。

ラスト、全員が作る長い行列の中で、老人たちが思い出を語りだす。この光景、どこかで観た。そうだ、「思い出の日本一萬年」だ。あれと同じだ。若者も、老人も共に、砂袋を担ぎ動き始めた時、嵐が押し寄せる。彼らは手に手をとりあって去っていく。暗転した舞台に静かに赤ん坊の産声が響きわたる。命は継承されていくんだね。いや、つなげていかなきゃいけないんだね。

ゴールドシアターとニナガワスタジオのコラボ、どこか、保育園と老人施設の交流と似通ったものがある。お互いに、持っているもの持っていないものを共有し合いながら一つの作品を作りあげていく。なかなか面白試いみではないか。蜷川さん、案外、大劇場よりこういう小作品の方がいけるかもって思っちゃった。

その蜷川さん、今日も近くにいらした。髪の毛、何げに茶髪にしる。白シャツが似合っておしゃれなじいさんだな。よこちんには竜也くんからお花が届いていた。カリギュラでは小栗くんを食っていたけど、今回はそんな余裕などないくらい力が入っていた。これだけの出演者を背負っていくって、重圧だよね。ガラスの仮面も決まっていることだし、さらに飛躍していって欲しい。

帰り道、駅のホームに、見たことのあるご婦人が歩いてらした。ゴールドシアターの“女優”さんではないか。「思い出の日本一萬年」でも「船上のピクニック」でも印象に残る役をやってらした方だ。さっきまで、あのエネルギッシュな舞台に立っていた人とは思えないほど、ひょうひょうとしてらっしゃるがその後ろ姿は驚くほど若い。ショッキングピンクのミニワンピに生足だ!ひたすらかっこよかった。

ゴールドシアターには2kgの壁など意識しないような強い意志と、絆が生まれているような気がした。