くらげのごとく…

好きなことを考えてふわふわ漂ってるような
時間が心地良かったりする。
たとえ時間の無駄遣いだったとしても…。

海をゆく者

2009年11月23日 | 観劇
作:コナー・マクファーソン
演出:栗山民也
出演:平田満、吉田鋼太郎、浅野和之、大谷亮介、小日向文世
パルコ劇場



パルコのおっさん芝居も行ってもうた。こちらは、アイルランドの若手作家の作品。どことなく、白石さんと大竹さんが共演した「ビューティー・オブ・リナーン」に似ている。盲目で酒飲みの兄の面倒をみる、これまた元アル中で仕事を失った弟。最悪な環境から抜け出せないまま、クリスマスの夜に“悪魔”がやってくる…。

同じ作家かと思ったら、違う人だった。でもマクファーソン氏も「ビューティー~」のマーティン・マクドナー氏もほぼ同世代でアラフォーだ。共にアイルランドで育った新鋭作家で注目されている。彼らは自分よりも年上の人々を主人公に据えの日常的な題材を選び、物語として深く掘り下げていく。日本の若い世代でもてはやされている、うわっつらなケータイ小説なんかとはまるで違う、泥臭さや人間臭さが感じられる。真剣に“人間”を描こうとしている気概が伝わってくる。

演じるアラフィフ俳優5人がとても渋い。“いい味を出す”というのはこういうことなのだろう。で、一番年下の鋼太郎さんが一番年上の飲んだくれ兄貴役で大暴れ。風呂にも入らないから臭いんだよ。ムサシの五人六脚で臭かったという暴露話を思い出しちゃった。このお兄さん、わがまま王子でみんなをひっ掻きまわすのだが、とてもピュアでいくつになってもお子ちゃまでなんだか愛おしい。

一方、過去を背負う弟は、平田満さん。昔、つか劇団で出てきたころ、友達が好きでおっかけていた。蒲田行進曲は鮮烈だったよなあ。あの頃は、限りなく三の線だったけど、この人、年を重ねるごとにどんどんカッコよくなっている。体もよく鍛えていて中年体型じゃないしストイックさがうかがえる。屈折した役柄が見事にハマっており、人生の翳りを演じられる役者さんだなあって思った。“悪魔”くん役の小日向さん、温和な笑顔が狡猾そうに見えるし、ぬめ~っとしていて得体が知れなくて不気味だった。

しかし、こうも役者がそろうと見ごたえあるもんだ。アイルランドの暗い冬の片田舎にどっぷり閉じ込められた気がした。

終了後、ラッキーなことに出演者によるトークショーがあった!
本日の司会は、吉田鋼太郎さん。こう並んでいても、外見も態度もあんたが一番年上に見える。テーマは、「お酒の席の失敗談」について。ホント、らしいねえ、鋼太郎さんったら。皆さま、筋金入りの演劇人だからそりゃあ、いろいろご披露して下さって大爆笑。鋼太郎さんは、後輩俳優と「ゲロ」りながら演劇論をかわし、その「ゲロ」を奥様が手で受けたんだって~~~。飲んでいたら、オエッもなく自然にゲロが出たって、なかなかお下劣なお話だった~。

何で、このお芝居、「海をゆく者」という題名なのだろう。
プログラムの最後にこんな言葉が書いてある。

彼は知らない
陸の上で安楽に暮しているから、私が
凍るあの海で、どう冬を過ごしたのかを、
惨めに、不安に、ひらすら流浪の道を進み、
親しい友も無く、ツララに囲まれ、
雹が槍となって吹きすさぶ中で…

確かに…、彼らは陸の上で安楽に暮しているタイプではない…。

せっかくパルコに行ったから…
お隣のパルコ3まで足を伸ばして買ってきました~



うほっ、パレードの前売り券。来年2月公開予定だよ~

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