くらげのごとく…

好きなことを考えてふわふわ漂ってるような
時間が心地良かったりする。
たとえ時間の無駄遣いだったとしても…。

ニート&パラサイト

2008年06月29日 | 藤原竜也
「かもめ」2回目の観劇。なんだかわからないけど、この戯曲、心にひっかかっている。今日は、何が発見できるかな。

全く、どうしようもない男である、トレープレフ君。25歳にもなるのに、定職もなくふらふらしている。時代に反発し新しい形式とやらを目指して、戯曲や小説を書いてはみたものの、世の中に受け入れてもらえない。母親は、大女優で若い男と同棲、女として奔放に生きているから、向き合ってももらえない。さらに、恋い焦がれているニーナは母親の恋人である有名作家になびいてしまう。恋にも愛にも恵まれず、八方塞がりでボロボロだ。それをプラス思考なんぞに持っていかれるタイプではなく、どんどん自己嫌悪に陥り死ぬ事ばかり考えている。

1幕が終わって、休憩に入るとき、近くにいる年配のマダムたちが、「お母さんはあんなだしねえ…」なんてトレープレフに同情するようにささやいていた。こういう息子って、現代にもいるよね。挙句の果てに事件を起こしてしまうような。「かもめ」ってこんなに斬新な戯曲だったんだあってことに気づいた。

アルカージナは息子を愛しているのよね。トレープレフも母を求めているのに、すれ違ってしまう。お互い、本当に欲していることを理解しようとしない。この親子関係、とても興味深い。ある意味、アルカージナは女優という仕事のために息子を犠牲にしてしまったのかも。だったらなんで産んでしまっただろう。その時は、母親と女優を両立する気だったんだろう。

子どもを育てるって難しい。こんなはずじゃなかったのに、あのとき何かを逃してしまったと気づいたとしても、それを取り返すには何倍もの努力と時間をさかなければならない。彼女にはそれが出来なかった。心のどこかで破滅を予感しながらも、自分が築き上げてきた地位や現在の生活の方が大切で、現実から目を背けてしまう。

銃声と共に唐突に訪れる幕切れ。あの後、アルカージナはどうやって生きていくのだろうと母の行く末が気になった。

第2部はやっぱり、近くで観た方が断然よい。“別れても好きな人”だったニーナに決定的に振られる。もう2度と自分のものにはならないという絶望。ひたすら沈黙、溜めの芝居が続く。この場面、ニーナが重要だ。美波ちゃん検討しているけど…、欲を言えばもうひとつ何かが欲しい。トレープレフに死までをも決断させてしまうものが。

ちなみに、美波さんって、かつてジュリエット役のオーディションを受けたらしい。結局、決まらず、鈴木杏ちゃんになったそうだが、その時の印象が蜷川さんに残っていてエレンディラにつながったというような記事をどこかで読んだ。竜也くんと縁があったんだろうね。杏ちゃんとは違って新鮮なコンビである。

ニーナ、トレープレフ、この難役に挑める若い役者さんってなかなかいない。だからさらなる期待をしちゃう。第2部の動向、これからも注目だわ。

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