長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

自己研鑽のためですが、なにか!?  映画『プリキュアオールスターズ NewStage3 永遠のともだち』 S極

2014年04月18日 09時31分55秒 | ふつうじゃない映画
《前回のあらすじ》
 春の陽気のなせるわざか、はたまた前世よりの因縁か!? 30代なかばにして単身、映画『プリキュアオールスターズ NewStage3 永遠のともだち』鑑賞に挑むことになった男・そうだい!!
 果たして、徒手空拳、ほぼプリキュアお初という無謀な状態の彼の眼前に広がった、めくるめく夢の祭典の精華なるは、いかに!?


 今回、どうせ観るならそこまで楽しみたいんだけど、とひそかに期待していたのが、プリキュア映画といえば……とつとに有名な「劇場の子どもたちがミラクルライトを振って『プリキュアがんばれー!!』と無心に応援する」一大ムーヴメントでした。すでに成人してからも15年ちかい時間が経過し、完全に醒めきった大人になってしまった私からしてみたら、そのエネルギーの純粋さに映画の内容なんかそっちのけで号泣してしまいそうになるズルい演出だと思っていたんですが、幸か不幸か、今回そのへんの熱気を肌で感じることはかないませんでした。

 といいますのも、私が鑑賞したのがすでに映画封切りから1ヶ月ちかく経とうかとしていた4月11日だったため(公開は3月15日から)、ぼちぼち予告編が始まろうかとしているギリギリの時間に駆けつけたはずの私がチケットを購入した際にも、座る場所を選ぶときに画面にうつった座席表はびっくりするほどの「まっちろけっけ」。ど真ん中の席を余裕で独り占めできる状況になっていたのです。しかも、春休みが終わったばっかりの平日まっぴるまでしたからね。そりゃあお客さんも少ないですわ。

 すわ、いつぞや今は亡き映画館「シネマックス千葉」で私が体験した、生涯たった一度の「客オレひとりシアター」の再来か!? と内心ドキドキしながらスクリーンに向かったのですが、いざ入場してみると、実際には座席の最後列に3組くらいの親子連れがいたので、完全に孤独なプリキュア初体験にはならずにすみました。にしても、だいたいキャパ200人くらいの座席の真ん中にすわって、前方にはだぁれもいなかったんでね……随分とぜいたくなホームシアター感覚にさせていただきました。

 予告編では、つい先週に鑑賞した同じ東映系の映画『昭和ライダー対平成ライダー』とほぼいっしょの『クレヨンしんちゃん』や『聖闘士聖矢』といったラインナップが流れましたが、そのあとに、おそらくはこのTジョイ蘇我ならではの宣伝かと思われる、『鳳神ヤツルギ』とかいう千葉県木更津市のご当地ヒーローの映画の予告編があったのが印象的でした。これからプリキュアを観るっていうのに、女児向けの予告編が『アイカツ!』しかないっていうのはどんなもんなのだろうか。それだって正確にはプリキュアの客層とはズレてるしね。そりゃあたしゃ確かにオッサンですけど、全体的にメインのお客さん(未就学女児)のテンションがだだ下がりになっていくことが容易に推察できる約20分間には大いに疑問を感じました。
 でも私自身は、その映画館ならではの近在の結婚式場とか自動車教習所のチープなコマーシャル映像は大好きなんですけどね! なんかいいじゃないですか、ああいうの。TV のコマーシャルに比べてものすごく奥ゆかしいんですよね、その「ちょっとお邪魔して宣伝させていただいております。」感が。


 さて、そうしていよいよ映画『 NS3』本編の開始となったわけなのですが、序盤から驚かされたのが、入場前に子どもたちに配られた小さなペンライト「ミラクルドリームライト」の使用法が、映画の登場キャラクター「妖精学校の先生」によって実にスムースに説明されるくだりから本編が始まっていたことですね。いや、もっと精確に言うのならば、「先生がライトの使用法を、妖精学校の生徒のグレルとエンエンに説明していた」ということに私は驚かされました。

 私がこの特典ペンライト演出について勝手に予想していたのは、まず本編開始前に登場キャラクターが「劇場にいる子どもたち」に直接呼びかけて使用法を説明し、本編のバトルシーンの盛り上がりなどでまたそのキャラクターが出てきて合図をするか、もしくは字幕や点滅サインなどでライト応援のきっかけが指示されるのではないかということでした。そして、ライトがもらえなかった以上、れっきとしたオッサンである私はやや「かやのそと」な感覚をもちながらその演出を眺めるのだろうな、と考えていたのです。

 ところが、ライトが単なる特典グッズではなく、映画本編のキャラクターが持っている完全な「小道具」になっている以上、映画の中でライトが使用されるのはまったく自然なことになり、「映画の世界」のキャラクターが「現実の世界」にいる子どもたちにいろいろな指示を出すという不自然な演出は消滅することになるのです。と同時に、グレルとエンエンのライト使用によってその応援が物語上の必要作業になるため、子どもたちがライトを振る「恥ずかしさ」もだいぶ軽減されるはずなのです。映画の中のキャラクターが先陣きって「プリキュアがんばれー!!」と大声で叫んでくれるわけですからね。しかもご丁寧なことに、実際の応援シーンでは妖精たちに加えて「映画の中に登場する子どもたち」までもが全員、手にライトを持って歓声をあげてくれていました。要はこれにならえばいいってわけ! う~ん、That's いたれりつくせり!

 まさに、劇場特典による演出と本編とが実にたくみに融合した「完成形」。こうなってくると、この『 NS3』にいたるまでに積み重ねられてきたプリキュア映画シリーズの歴代ライト演出の流れも観たくなってきますね。こういうのの源流は、やっぱり『突撃!ヒューマン!!』(1972年)になるんですかね……思えば遠くへ来たもんだ。
 世間じゃあ3Dだなんだとか言ってますけど、それに対して「劇場でみんなでペンライトを振る」という、実にレトロで家族的な演出を遵守し続けているプリキュアシリーズ。なんかいいなぁ。

 まぁ、私が観た回ではほんとに「プリキュアがんばれー!」と声を上げる子どもはひとりもいなかったんですけれどもね……しょうがねぇよ、200人サイズの劇場で3人しかいなかったんですもんね、ライト持ってんの。気持ちはよくわかりますが、そこは子どもならではの無謀なアパッチ魂で奮起していただきたかった。そしたら私もよろこんで加勢したのに! そういうのって、やったら捕まるんですかね。


 さて、妖精学校の先生と生徒のやりとりから、いよいよオールスター映画名物の異様に熱いテーマソング『プリキュア 永遠のともだち』が流れて「うわー始まった!」という気分がノッてきました。とにかくスクリーンで聴くドラムとギターの激しさがハンパありません!!
 だいたい、2012年の「NewStage シリーズ」第1作から唄い継がれてきた主題歌のタイトルがそのままサブタイトルになっているのですから、今回の『 NS3』における「ついに完結!」というテンションの高まりはものすごいものがありますね。
 それにしても、『フレッシュプリキュア!』の4人組は前作オープニングからダンスの稽古ばっかりだな! ぜんぜんフレッシュじゃない練習の積み重ねの上に真のフレッシュがある……パフォーマーの鑑だ、あんたら!!

 主題歌が終わって本編に入ると、物語は悪夢にうなされる少女・奈美と、彼女を夢の世界で救ってくれた妖精の母子マアムとユメタの出会いから始まっていきます。「悪夢を食べてくれる」という伝説の妖怪「獏」の性質を持ち、外見は実在の動物バクをかわいくデフォルメしたような姿の妖精母子なのですが、マアムの表情にはなぜか邪悪な笑みが浮かび、奈美はユメタと楽しく遊ぶ夢の世界にい続けることになります。

 まず、なにはなくともこの冒頭で気になってしまうのは、見た目からして完全に、劇場に来る客層の中でもメインターゲットに照準を合わせたとしか思えない、3~4歳くらいの少女・奈美の声が、やけに低くて大人っぽい違和感に満ちたものになっていることでした。
 これはちょっとミスキャストとかいうレベルの問題ではなくて、そもそもまず声優さんじゃないよね、その声やってる人? と聴きながらいぶかしんでいたのですが、エンディングクレジットで確認するまでもなく、この奈美を担当した方がゴーリキーさんだかゴーゴリさんだかいう、「今いちばん旬だと誰かが言っている」女優さんであることは察することができました。
 うわさにたがわぬゴリ押しだねぇ~……いや、3~4歳の子どもなんか、プロの声優さんだって演じるのは至難の業でしょうよ。そこの枠を、なぜに低音の彼女が担当しなければならなかったのだろうか!?

 別に私自身は、そのソルジェニーツィンあやめさんとかいう女優さんのことは嫌いではありません。嫌いじゃないんですが、そんな私が観ても、今回のこの映画において奈美の役を演じた彼女は邪魔としか思えないのです。その頭身でその「バスよりのアルト声」はないだろう!!
 今回のこの起用を見て、私はかの鎌倉幕府第三代征夷大将軍・源実朝が京の朝廷から受けたという一種の呪法「官打ち」を強く想起しました。
 「官打ち」というのは、ある人物に対して、その家柄に相応する以上の官位をわざと与えて周囲の空気を批判的なものにするという、実にいやらしい出世人事のことで、実際に、武士として史上初めて右大臣(ざっくりたとえれば副総理大臣)に叙任された実朝は、公家・武家の両陣営から身分不相応であると非難される板ばさみの状態に陥り、28歳の若さで暗殺の憂き目を見ています。呪いと言うにはあまりにもリアルな攻撃法だ! まぁパワハラのひとつの形ですよね。

 つまり、彼女にあんな能力不相応な難役を与えて違和感必至、批判必至な状況にした「上の事情」がいけないと思うんです。そんなことしたってプリキュア10周年のお祭ムードに水をさすだけなんですけど。
 別に、彼女が中川翔子さんみたいにプリキュアシリーズに特別な情熱を持っていて、「どんな役でもやるから出させて!」って言ってたわけでもないんでしょう? 中川さんだって地声はなかなかの低音ですが、おそらくこういう役をもらったら3~4歳の女児を演じるための最大限のノド調整をもってのぞむでしょう。でも、私が聴いた限り、あのプーシキンあやめさんはなんの手も打たずに奈美を地声で演じていました。なんなの、その「仕事で呼ばれたから出ました」感!?

 とにかく、物語の大事な大事な導入部分、かつまた「観ている子どもたちと登場人物との一体化」を担うべきだったゲストヒロイン・奈美の声優キャスティングは完全に失敗だと感じたんですよねぇ! のっけけからつまづいちゃった感が満点なんですが、大丈夫か、『 NS3』!?

 ところが、そのへんの不安を一気にどうでもよくしてしまったのが、夢の妖精マアム役への、あの平野文さんの大抜擢だったのでした。

 うをを、平野文、平野文! 「あや」じゃなくて「ふみ」のほう!!

 平野文さんといえば、それはもう言わずと知れた「20世紀最大の押しかけ女房系アニメヒロイン」こと、SF ラブコメマンガ『うる星やつら』(1978~87年 原作・高橋留美子、アニメシリーズは1981~なんと2008年)の鬼型宇宙人女子・ラムちゃんを演じたことで永久的にその名が語り伝えられるべき大女優さんであらせられるわけなのですが(あと『平成教育委員会』のナレーション)、そんな彼女が、今作ではなにやら邪悪な笑みをたたえる夢の妖精を演じるのです。
 ユメタの母親であるという立場を考えるまでもなく、彼女の声はわが子へのちょっと過保護気味な愛情と、わが子のためならば手段を選ばずに現実世界の子どもたちを夢の中に誘拐してしまう冷酷さを使い分ける「おこるとコワ~いお母さん」をとても魅力的に演じていました。ラムちゃんも、なんの無理もなく母親の声ができる時代になったのねぇ。

 ところで、平野文さんが「夢の妖精」を演じるという今回のキャスティングに、「そ~きたのか!」と内心でニヤリとしてしまうお父さんお母さんも(大きなお友だちも)、かなりいらっしゃったのではないのでしょうか。
 そう、夢の妖精と平野さん……というかラムちゃんというのならば、否が応でもすぐに連想してしまうのが、他でもない『うる星やつら』の劇場版第2作、かの押井守監督による大名作『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984年公開)なのであります。

 この『ビューティフル・ドリーマー』には、寝ている人間に自由自在に夢を見させるという、赤いシルクハットに赤い燕尾服で、常にサングラスをかけている太った中年男性の姿をした妖怪「夢邪鬼(むじゃき)」がゲストキャラクターとして登場し(演・藤岡琢也)、ラムちゃんの理想の夢世界を具現化させようとするがために、その虚構に疑問を抱いた周囲のレギュラーキャラクターたちを次々に抹消させていくという手段をとります。その過程で夢邪鬼は、いつもラムちゃんからの求愛をむげにし続けているツンデレ地球人の鑑・諸星あたるも邪魔な存在として夢の世界から追放しようとしますが、あたるは夢邪鬼の使役する怪獣「バク」を利用して一計を案じ……というのが、映画のだいたいの筋になっていま……すかね!?
 私が『ビューティフル・ドリーマー』をしっかり観たのが大学生時代、今から15年近く前のことですので、この現実と虚構とが実に押井監督っぽくないまぜになった難解な作品は、なかなか説明するのがむずかしいのよね! いつか DVD(Blu-ray じゃないのが哀しい)を買ってしっかり見直したいという気持ちはやまやまなのですが、なにしろたっけぇし……

 ともかく、「夢とは何か」や「理想とは何か」、そして、「人間がつらい現実を生きるのはなんのためなのか」というあたりを強く問う……というか、観ているだけで勝手にそういうあたりに考えがいってしまう『ビューティフル・ドリーマー』と今回の『 NS3』は、計算式に組み込まれる変数こそ違っているものの、「人間」と「夢」が対峙しているという構図自体はまるで兄弟ででもあるかのように似通ったものがあるのです。そして、かつて30年前の作品で人間側の被害者だった(地球人じゃないけど)平野さんが、今回は堂々と夢の世界の加害者になっておられるという、この輪廻!! もうワクワクしますねぇ。

 とはいえ、『ビューティフル・ドリーマー』はあくまでも「大人向け」に作られた、少なくとも監督は子ども向けに作っている気はさらさらなかった(ついでに言えば、『うる星やつら』ファン向けに作っている気もなさそうなもんだから実に押井さんらしい)作品であったがゆえに、観客をブンブン振り落としかねない演出上の実験やなぞかけ、意図的な説明不足や「結局バッドエンド?」とも解釈できるラストなどの要素がふんだんに投下されていました。
 しかし、今回の『 NS3』はリスクをともなう冒険は絶対に許されない商業映画ですし、その中でも最もデリケートな就学前児童向け映画ですし、東映ドル箱シリーズのシメを飾る最終作ですし……こらも~プリキュアはん、えらいところを引き合いに出してきはりましたなぁ!!

 フィクション世界において、麻薬のような魅力を常にはなつ「現実×虚構」をテーマにしてしまった今作。プリキュアオールスターズは、この得体が知れないにもほどのある超難敵を相手にして、どのように「子どもでもわかる」明快無比な解決のみちを切り拓いてくれるというのでしょうか!?

 序盤で、一面の荒野となった悪夢の世界に迷い込んだ奈美を襲う怪物「悪夢獣」は、基本的に明るいグリーンの体色をして赤い蝶ネクタイをしたぬいぐるみのクマのようなポップなデザインをしており、「あ~くぅ~む~!」という鳴き声しか発さないために知性のようなものはあまり感じられませんが、どことなく憎めないかわいらしさがあります。悪夢の世界がただの荒野で、悪夢獣もあえてかわいいというのはプリキュアならではの観客への配慮なのでしょう。ここで無駄に悪夢のディティールに凝って、いたずらにトラウマを増やしても意味はないと! そういうのは『ジョジョの奇妙な冒険』の「デス・サーティーン」にまかせておきましょう。

 あっ! そういえば、最初に言った、私が生涯体験した唯一の「客がおれだけ」映画っていうのも、眠った人間を悪夢の世界にひきずりこんで惨殺する恐怖の殺人鬼フレディが出てくる『エルム街の悪夢 2010年リメイク版』でしたわ! うわ~、内容がつまんなすぎて記憶にぜんぜん残ってないよう!! 84年版はよくおぼえてるのに。

 ところで、この悪夢獣の声が、多少の加工はされているものの、明らかに女性のものであることはよくわかったのですが、「こういう最終作で敵の声をやってるんだから、けっこう有名な方がやってんのかな……」と思って聞き、「あくむ」の繰り返しだけなのに妙に聞き飽きないヴァリエーションの豊富さと、その尋常でないテンションの高さに、「ビッグネームでこんなに元気に声をはりあげられる女性っていうと、もう『あのひと』か田中真弓さんくらいしかいないんじゃないの……」と確信に近い思いをいだくようになり、エンディングクレジットであらためて感嘆してしまいました。

「悪夢獣 野沢雅子」

 やっぱり……もう、本編中でヒント出てたもんね! ユメタとたわむれる楽しい夢の世界で、人間ひとりが乗れるくらいのちっちゃな雲に乗ってた相田マナ(キュアハート)さんとか名もなき男子の乗り方が、直立して利き足を一歩前に出して少しかがむという完全な「きんとうんスタイル」になってたんだもの! プリキュアの作品世界でも『ドラゴンボール』は有名なのだろうか!? アニメの放送局が違うんですけど、ギリギリ裏番組じゃないから、まいっか!


 さて、そんなこんなで始まった『 NS3』本編ですが、悪夢獣に襲われた奈美をマアムとユメタの妖精母子が救出するも、なんともかんともぬぐいきれない自作自演ムード……? というひとこまをはさみつつも、妖精学校のグレルとエンエンが、新たにプリキュア教科書に記載するために「ハピネスチャージプリキュア!」となった2人組を探すために地球を訪れるという流れでストーリーは進んでいきます。
 グレルとエンエンは、先に地球に降り立って「プリキュア付き妖精」の栄誉を勝ち取っていた先輩キャンディに連絡をとって、「ハピネス組」の1コ先輩である「ドキドキ!プリキュア」の5人組とともに「ハピネス組」のいる「ぴかりが丘」(たぶん都内某所)の「ブルースカイ王国大使館」におもむくわけなのですが、そこには原因不明の「覚めない睡眠」状態となって、パートナーである白雪ひめ(キュアプリンセス)に顔面にサインペンで落書きをされるという辱めを受ける愛乃めぐみ(キュアラブリー)の姿が! 銀幕デビューののっけから身体を張るガテン系ピンクの心意気!!

 というわけで、物語の前半は活動不能となっているめぐみを救出する先輩「ドキドキ!組」が主人公となり、めぐみの昏睡が、最近ちまたで頻発しているという幼女の「寝たまま起きない病」と同じ原因であると察知した地球の精霊ブルーさんの超能力によって、めぐみを含めた6名はとっとと夢の世界に潜入することに成功します。
 この急転直下、立て板に水を流すようなストーリーの進みの速さ!! さすがは子ども向け作品。ともかくブルーさんというイケメンの能力の全知全能っぷりがハンパありません。「夢の世界に連れ去られた少女たち」という、『ウルトラQ』に出てきてもおかしくなさそうなどうしようもない異常事態を一瞬にして解決しちゃうんだもんね! ブルーブルー、って、こやつまさか、偉大なるあの未来型ネコ型ロボットではあるまいな!?

 さて、首尾よくユメタと子どもたちがたわむれる夢の世界に入り込み、巨大な浮遊するフグに乗っかって満面の笑みを浮かべるめぐみの姿を発見する6名。現実世界の混乱をよそに、まるで「伝統ある大ヒットアニメシリーズ最新作の主人公」という、想像するだにはだしで逃げ出したくなる超重圧から解放されたかのような幸福な笑顔をたたえるめぐみを、きわめて冷静な表情で見つめる「ドキドキ!組」の姿が非常に印象的です。非情な先輩だと恨むやも知れんが、このまま貴様を降板させるわけにはいかんのだ……観念して現実のハードスケジュールに戻れい!! ここで初めて対面しためぐみと相田マナ(先代主人公)との視線の交錯がとても味わい深いですね。

 と同時に、6名に同行していたグレルとエンエンは、かつて妖精学校に在籍していて、自身の「地球の人々を悪夢から救う立派な妖精になる」という夢を実現させるために自主退学していたユメタに出くわし、なぜユメタが眠り続ける子どもたちといっしょにいるのかと疑問を持ちます。2人(匹)に見つけられて気まずそうな表情を浮かべるユメタ。
 ところが、夢の世界への侵入者を目ざとく発見したマアムは、冒頭では敵だったはずの悪夢獣をみずから召喚して彼女たちを排除しようとします。マアムは、息子ユメタの遊び友だちを集めるために子どもたちを連れ去っていたのだった!

 ここでさっそく、「ドキドキ!組」の5名がオール変身して悪夢獣との総力戦を展開する第1のバトルアクションが始まります。さすがは先代チーム、つい2ヶ月前までバリバリ現役だっただけはある、あぶらののりきった余裕の連携を見せて悪夢獣を殲滅せんと戦います。
 だがしかし、悪夢獣はまるでエヴァンゲリオン量産型ででもあるかのように、やられてもやられてもまた復活して襲いかかってくるばかり! このエンドレスなのれんに腕押し感が、まさしく悪夢ですね。さすがに脳みそとか骨は露出してませんけどね。
 それもそのはず、この夢の世界の主はあくまでマアムなのであり、そのマアムの使役する悪夢獣もまた、決して外部の人間には滅ぼすことのできない不滅の存在なのでした。あえなくめぐみを押しつけられて現実の世界に強制送還されるプリキュアさま御一行。

 ここらへんの「異次元」としての夢の世界と、その主であるマアムの反則な無敵感を見ますと、私としてはどうしても、あの『ウルトラマンA 』(1972~73年)で、「自分たちが住んでいる以外の次元も征服した~い!」という欲ばりにも程のある情熱とねちっこさをもって3次元の地球に殴り込みをかけてきたウルトラシリーズ初の連続悪役キャラ「異次元人ヤプール」を連想してしまいます。なんとも理解しがたい狂気を感じさせる不気味な存在でしたねぇ!
 しかし、ヤプールは今回の『 NS3』におけるブルーさんのような「反則を上回る反則」をもって異次元にやってきたウルトラマンエースによってけっこうあっさりと壊滅させられてしまいました。まぁ、完全に滅んだわけじゃないんですけど……
 たぶんあれは、やりようによっては自分たちの次元のルールでエースをいかようにも料理できたんでしょうけど、わざわざ自分たちのホームまでやって来てくれたエースに最大限の敬意をはらう形で、「巨大ヤプールになって肉弾戦」というハンディキャップマッチにあえて設定してくれたんでしょうね! そうじゃなきゃ、あんなに簡単に負けるわけねぇって!! うん……たぶん。だいたい「知能(悪知恵)」が主要武器なんですからね、ヤプール人は。土壇場で、なれない紳士的対応なんか見せちゃうから大負けしたんでしょう。


 と、まぁ……ね。

 なんでプリキュアからヤプール人に脱線するんだという自戒を込めまして、『 NS3』を観た感想は、次回でいい加減におしまいにしたいと思いますです、はい。

 感想にもなってねぇよ、ただの連想ゲームじゃねぇか~と、ため息つきける春の宵かな~。反省の色なっしんぐ。
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