華やぐ時間

時の豊潤なイメージに惹かれて 。。。。

絵画展 ” ヴィルヘイム・ハンマースホイ  静かなる詩情 ”

2008-11-10 12:41:41 | ★絵画
 
                       



知人から 招待券をいだだき  久しぶりに上野の森へ出かけてきた
端っこから公園へ歩いて行ったので  途中から 大勢の人たちが歩いてくるのに出会った
どこへ行くのだろうかと思ったら  ” フェルメール展 ”のほうへ行ってくれたので  ホッ
おかげさんで  わたしの行く絵画展は 適度な観覧の人たちで  ゆっくり観ることができた

新聞では 「後ろ向きの肖像画 」とか「 無人の部屋」を描くデンマークの画家という記事を読んだが
艶のない絵の具のタッチや初めて聞く画家の名前には ちっとも食指が動かず 忘れかけていたら
チケットをいただいてしまい  義理と人情から 観に行ったという消極さである

妻を描いたという顔の見えない人物画 や 人のいない室内 を 何枚も描いている
自宅なので  置物の位置を変えたり省略して 同じ構図 同じ部屋の題材が何枚もあった
間近で観ると 人や物の輪郭がはっきりしないような描き方なので  何メートルも離れて眺めた
どの絵も 全体に灰色の紗幕がかかったような ぼんやりしたような 柔らかい色調で沈んでいる

題材がそんなふうだから 観ていくうちに  とても不気味なような 不安な気持ちにさせられてしまう
人の顔の表情が見えない描かれ方は 人間は 単に室内の無機質な置物のようにも見えたり
絵を観る者の視線を拒む 頑なさのようにもみえる
1900年頃のヨーロッパは 活気にあふれた時代だったはずなのに こういう絵を描き続ける画家は  
いったい どういう心境の人  日常の暮らし方をした人なのだろうかと思う

モノトーンのような色調の 無人の 時の静止したような室内には いろいろと想像力を掻き立てられた
ドアの奥からわずかに射す光  あるいは窓から床に落ちる陽の光などは  そこだけ活き活きと
明るく はしゃいでいるようにさえ見えて  むしろ饒舌な時のひとコマのような印象を持った
穏やかで 静謐で  とても禁欲的な雰囲気に包まれていた絵画展だった



コメント (2)
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