華やぐ時間

時の豊潤なイメージに惹かれて 。。。。

” つばくろ越え ”   志水 辰夫 著

2009-11-25 16:35:55 | ★本
 秋深しの夕暮れは  夕焼け空も だんだん寒そう

 空の色合い お天気に ココロが左右されるわたしには  十一月は 気分的に まだ晩秋である

 晩秋の夕暮れは 夜へ向かって 凍える予感の美しさである

 ぜ~んぜん 寂しい風景じゃないなぁ     ちっとも 物悲しい景色じゃないな

 あるがままの自然の時間を きれいだなぁと見惚れる

 いつになく余裕っぽい 凪ぎの心象  



 時代小説を 読み続けている

 わたしの本読みのナビは 新聞や情報冊子の書評欄である   

 書評氏の推薦文に食指が動いたのが この小説で  志水辰夫は 初めて読む作家である

 ”つばくろ越え”は 江戸時代の飛脚が主人公の小説である

 飛脚は 各地にある継立地まで一区域ごとに運んでいくものだったようであるが

 このお話は 一人で目的地まで運んでいく ” 通し飛脚 ”の物語である

 胴巻に八百両の重い大金を巻きつけて 本街道を避けて 人の通らない道や山や峠を越えて 送り届けをする

 いわくありげな手紙や荷物を運ぶときもあり  仕事を成し遂げる心意気が清々しい


 作者の文章は 人の動きや風景の描写をゆったりと語り  読む者も 情景を思い描きながら楽しめた

 立ち廻りの場面の緊迫感は 映画のように ドキドキしてしまう

 時代小説といっても 作者によって文体や物語の運び方が違うのだから 一様でないのは当たり前だけど

 大人のオトコの人たちが 楽しんで読みそうな小説だなぁと おやぢチックなわたしは 嬉しく偏見を持ってしまう

 読み終えると 人を信じられるような温かい気持ちにさせられ  他の本も読みたくなってしまった





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