先日参加をお伝えした田母神氏講演の内容を聞き書きしました。
文章を起こすに当たっては、表現を分かりやすく変えたり、重複を避けて編集してあります。
本稿はあくまでも田母神氏の発言であり、わたし自身のものではないことをお断りするとともに、
もし、ご意見・反論などがあればぜひコメント欄で問題提起していただきたいと思います。
わたし自身気づかないでいる問題や、専門分野で判断のできない部分についても
同様、(特に軍事と経済)ご示唆をいただければ幸甚にたえません。
田母神俊雄氏講演
「これでいいのか日本―誇り高き日本への道―」
■ 自分の国が”いい国だった”と言ったら公職追放になる国
ご紹介をいただきました危険人物の田母神でございます。
ずいぶん危ないやつだということでマスコミで叩かれるもんですから
おかげでこんなに背が小さくなってしまいました。
わたしは本当は「いい人」なんです。
空幕長の時に日本が大好きですから「日本はいい国だった」という論文を書いたところ、
当時の政権から(麻生政権)
「日本がいい国だったとは何事だ。
政府見解では日本はろくな国ではないないということになっている」
と言われてクビになりました。
だけどこれ、極めておかしなことだと思います。
自分の国を褒めて公職を追われるなんて国、世界中を捜しても日本以外ありません。
クビになって今年で7年目になるんですが、わたしは未だに防衛省から排除されたままなんです。
防衛省の式典にわたしは全く声がかからないのです。
最初は頭にきていたんですが、最近は「楽でいいわ」と考え方を変えました。
諦めてはいますがなんか寂しい気もします。
人生ちゅうのはなかなか思い通りにいかないもんですね。
わたしは統幕学校長だったころ、陸海空と学生が入ってくるんですが、
ほとんど全員が
「旧軍と自衛隊は違う。旧軍は悪い。でも自衛隊は違うんだ」
という意識を持っていました。
これではいかんということで、統幕長時代「国家観・歴史観」という講座を
5コマカリキュラムに入れたんですね。
亡くなった富士信夫さんなんかを呼んで講義をしてもらったりしたのです。
命を賭けて戦うというとき、心構えとして自分の国は素晴らしい国だと思わなければ、
ということで始めたことだったんですが、わたしがクビになった後は
「あれはおかしな講座だ」ということで廃止になったそうで残念です。
統幕学校長のとき、陸海空の学生20名を連れて中国を訪問したことがありました。
平成16年の6月のことです。
そのときに、日本でいうと統合幕僚の副長にあたる「ハン・チャンロン」 という中将が出てきて、
30分の面談を行ったんですが、彼は「ようこそいらっしゃいました」と一言挨拶した後、
すぐに
「過去の不愉快な歴史をどう認識するか」
という話を始めるのです。
彼は満州の生まれで、子供の頃から日本軍の残虐行為について聞かされて育ったので、
体に染み付いていて到底忘れることができない、から始まって日本の悪口ばかりいうんです。
10分くらい黙って聞いていましたが、同席の学生たちも面白くないんですね。
彼らはわたしが日頃「日本はいい国だ」ということを言っているのを知っているので、
どう反応するか見ているわけです。
それを感じて、わたしも勇気をもってしゃべらせてもらったんです。
中国軍に取り囲まれていて実は怖かったんですけどね。日本に帰れなくなるんじゃないかと。
でも、殺したいなら殺すがいいくらいの気持ちで、
「 日本軍が中国人に悪いことをしたとわたしは思ってません。
満州の人口は満州帝国ができた1932年には300万人でした。
それが1945年には5千万人を超えていたんです。
毎年100万人ずつ人が増えていった、これをあなたはどう理解しますか」
と聞きました。
あそこに行ったら残虐行為があるというところに人なんか集まってこないんです。
これだけ人口が増えたということは満州が豊かで治安も良かったからでしょうと。
そして
「中国は日本にだけ謝れというが、どうしてイギリスには言わないのか。
アヘン戦争であれだけいじめられたのだから、日本の10倍は謝らせないとおかしい。
日本にだけ謝らせるというのは中国の政治的理由があるのでしょう」
といったら、彼はびっくりした顔をしました。
それまで反論した日本人は一人もいなかったらしいですね。
それで日本人は絶対反論しないと思ってたらしいです。
しかしさすがは中国人ですね。即座に
「歴史認識を超えて軍の交流を進めよう」
ときました。(笑)
ただ、その後いじわるされました。
我々が到着したのは天安門の15周年だったのですが、中国側が主催してレセプションが開かれました。
軍の恒例でその答礼として北京飯店で宴会を開いたのですが、これに来ないんですよ。
将軍も中将クラスも「急用ができた」といって来ず、渉外係の少佐しかいない。
翌月に予定していた中国の学校の統幕学校訪問も断ってきました。
わたしも悩むわけですね。わたし「いい人」ですから。
いやいや、いわなきゃよかったかなーと、小鳩のような胸を痛めていたんです。
それを伝えてくれた1佐がどうしましょう、というので、
「悪いけど東京にある中国大使館まで行ってきて、二度と来るなって言ってこい」
と言いました。
でも、直前になってやっぱり来たんですよ。
で、一言言ってやろうと思って、
「あんまり大人気ないことやらないでください」
と言ったら、あれこれ言うので、わたしも言いたいことを言って帰しました。
そうしたら次の年統幕学校の中国訪問を受け入れないってことになり、
1年間交流が途絶えてしまいました。
まわりはでも、
「よく言った。皆心で思っていても言えなかった。たいしたもんだ」
という雰囲気でした。
ところが同じ意味の論文を書いたらクビになりました(笑)
でも中国の国防大学には、どういうわけかわたしの訪問時の写真がずっと飾ってあったそうです。
おそらく危険人物だから気をつけろということだったのでしょう。
■ 日米安保で日本は守られるか
政治家の間にも歴史認識の問題は蔓延しています。
歴史認識はよその国では過去の問題ですが、日本では現在進行形の問題です。
現在の国会議員の半分がアメリカの押し付けた歴史観を未だに持っています。
歴史は戦勝国が作るんです。
戦争に負けた日本はアメリカの歴史観を押し付けられたのです。
先進的な民主国家アメリカ、極悪非道の独裁国家日本という風に。
日本は独立したからにはアメリカの歴史観からいい加減にはなれないと、
そのうち国は衰退していくと思います。
しかし戦後70年経つのに、未だに憲法問題でもめている。
安保法制だって、特別のことをやろうとしているのではないんです。
日本もよその国と同じように自衛隊が行動して、いざという時には国を守れる体制をつくろう、
とそれだけのことなのです。
しかし、日本のマスコミや野党、左巻きな人たちは
「戦争ができる国にするんですか」
という。
それに対しては
「戦争ができるようにする」
と答えるしかありません。
戦争ができる国の方が戦争に巻き込まれる可能性が低いんです。
福島瑞穂さんなんかその辺何にもわかってない。
集団的自衛権も、スイスみたいな国は別として、行使できないのは日本だけです。
他の国と同じにするだけなのに、特別のことをするようにマスコミも報じるんですね。
実際集団的自衛権が行使できないと、自衛隊が派遣される時困るんです。
インド洋でもイラクでも、自衛隊は他の国に対し
「俺がやられたら助けてね。でもあんたがやられても俺助けられないから」
ということになり、これは誰も一緒に行動してくれなくなります。
武人にとって臆病だとか卑怯者とか言われるのは最大の屈辱ですが、
「お前たちは臆病な卑怯者になれ」
といって日本政府は自衛隊を派遣している。
去年、集団的自衛権について、石破幹事長がこんなことを言いました。
「これはできる、これはできない、と公明党にわかるように明らかにするべき」
本当に馬鹿げています。
やればやるほど、
「日本はこうやれば集団的自衛権を行使できないんだ」
という手の内が他国に筒抜けになってしまうんです。
作戦計画の事前通知みたいなものですね。
密室でやるべきで公の場でやることじゃありませんし、
こんなことをやっている限り絶対戦には勝てませんよ。
こんなことが真面目に国会で話し合われること自体が異常なことだと思います。
自衛隊は戦略爆撃機や空母を持てません。
攻撃的兵器を持たされず、何かあったらアメリカに反撃してもらうというけれど、
日米安保って、イコール「自動参戦」ではないんです。
日本が攻撃を受けたらまずアメリカ大統領が日本を守ることを決定して
アメリカ軍にそれを命じなければならない。
しかし、大統領がいくら決めたとしても、大統領の結審の期間はたった2ヶ月、
2ヶ月経ったら議会が同意をしてくれなければ 大統領といえども軍を動かすことはできない。
アメリカの議会がそのとき日本を守るために戦争することを議決してくれますか?
絶対にしてくれないでしょう。
アメリカの議員はどちらかといえば「反日」の議員が多いと言われています。
じゃ日本はどうすればいいのか。
自民党が昭和30年に結党した時、自分の国は自分で守る、ということを
同時に決めたはずなんですが、それはいまだに実現していない。
アメリカがこれからどうなっていくかもわかりません。国力はおそらく落ちていくでしょう。
しかし、いざ自衛隊に力をつけさせる、軍事力を増やそうとすると、
これをやらせないための情報戦が、世界から仕掛けられてくるわけです。
世界を見回しても、世界中の人たちが全員豊かに暮らすための富や資源はありません。
国際政治というのはその富と資源の「ぶん取り合戦」というのがその本質です。
よその国なんか知ったことじゃない、自分の国だけが豊かになればいいというのが
行動原理である、国際政治の現実です。
ところが、世界で唯一日本だけが、
「日本列島は日本人だけのものではない」
などと自国の利益より世界のことを考える”立派な”総理大臣を輩出します。
鳩山さんにはまず、
「音羽御殿は鳩山家だけのものではない」
と言って自宅を開放して欲しいですね。
総理大臣時代もろくなことをしていませんが、やめてからも勝手に中国や韓国に行って
日本を売り渡すようなことばかりやっている。
鳩山さんの唯一の功績は、東大を出てもあんな馬鹿がいると世間に知らしめたことです。
■ 「信じるものは騙される」世界
戦前の世界は帝国主義で、強いものが弱いものを搾取する弱肉強食でした。
戦争をするのに理由はいらず、行って勝手に支配して搾取するのが当たり前だった。
しかし、日本が大東亜戦争を戦ったらそれがなくなり、人種平等という建前が初めて生まれ、
1948年、国際連合ができて「世界人権宣言」が出されました。
今は力で富や資源を奪えないから情報戦争を仕掛け、同意を得て合法的に搾取する時代です。
TPPなんかでも、アメリカは公正にこれを行うと考えている「信奉者」がいますが、
そんなことは決してありません。
アメリカが提案しているのは「アメリカが儲かるシステム」にすぎません。
わたしもかつてはアメリカを信奉していた時代がありました。
しかし、総務部長でオペレーションサイドにいたとき考えは変わりましたね。
米軍と仲良くしようという考えはことお金がからむとなかなか難しいものがあります。
航空自衛隊ではF-2を運用していますが、タイヤの問題が起こりました。
アメリカはMOUという軍同士の「了解覚え書き」が合意事項文書があるんですが、
この中に技術の派生・非派生という言い方があり、「派生」はアメリカが開発したもので、
「非派生」というのは日本独自の技術と言う意味です。
この言い方の逆はなく、まあ不平等条約なんですが、アメリカが教えてやるという態度ですね。
アメリカはF-2のタイヤが「派生」だと、つまりアメリカの技術を日本が改善したんだというんです。
その場合は、日本の会社は技術をアメリカの会社に無償でバックしなければいけないんです。
輸出のタイヤがどうなっていたかというと、試作品はフランスのミシュランでした。
サンプルはブリジストンとヨコハマタイヤです。
ブリジストンとヨコハマが作ったラジアルタイヤを、アメリカは「派生だ」と言うんですね。
「何を言っているんだ。日本のブリジストンとヨコハマが作ったんだ」
と言ったのですが、アメリカ側は
「MOUの定義によるとタイヤは派生である」
の一点張りです。
日本人なら相手が作ったものを俺が作ったなんて言いませんよね。
でもアメリカはごく普通にこういうことを言うんです。
わたしもアメリカがこういう勢いなのでつい、
「いいじゃないかアメリカがそう言っているなら派生でも」
といいましたら、ヨコハマゴムの人がそれじゃ困るといって、
こんな話を聞かせてくれました。
当時、世界のタイヤ業界の「ビッグ4」は、
1位 ミシュラン 2位 ブリジストン3位 ヨコハマタイヤ
そしてシェアー一桁でアメリカの
グッドイヤー
という会社だったんです。
グッドイヤーは、当時バーストしたり燃えたりという事故が多かったんですが、
アメリカは日本側に「派生だ」と認めるサインをさせて、
ブリジストンとヨコハマの技術をタダでグッドイヤーに提供させるために
ガンガン圧力をかけていたというわけです。
アメリカ人は一人一人は陽気でいい人たちなんですが、
一度「国を背負って交渉する」となると、本当に狡くて汚いです。
これだけじゃありません。
JKFというデータリンクシステムがあるんですが、政府間でしか売らないものです。
データリンクの端末がイージス艦にクラス2のものが導入され、
7年遅れて航空自衛隊のペトリオットシステムにデータ端末が入るという(クラスM)ことになりました。
防衛省はこれを買うためにアメリカ大使館を通じてこの値段を聞くんですね。
1個1億3000万という答えが返ってきました。
それで予算を組んで、翌年になって、予算をつけて買おうとしたら、今度は2億5千万だという。
ペーパーでやりとりしていたのでその紙を突きつけて交渉しろといったんですけど、
3ヶ月経っても色んな値上がりの理由をいうばっかりで全くらちがあかないんです。
そのころ、向こうの軍の高官がわたしのところに表敬訪問にやってきたので、
こんなことがあるが知っているかと言って、彼もその場で
そんなことは信義に悖ると意見が一致したんですが、彼がアメリカに帰って1週間で
値段が元に戻ったんです。
あれっていったいどういうカラクリだったんでしょうね。
例えばアメリカの将軍が民間に天下るから1年目の給料を日本に払わせろ、
みたいな話だったんじゃないかとわたしは思ってます。
というわけでわたしは国のために、一個につき1億2千万円も節約したんだから、
2千万円くらいくれと言いたいですね(笑)
わたしはアメリカ別に嫌いではありませんし仲良くするべきとは思いますが、
こういうことがあって信奉者などではなくなりました。
なにしろあの国には騙されないようにしなければなりません。
世界においては
「信じるものは騙される」
が基本ですよ。
アメリカの本音は日本に武器はもたせたくないわけです。
しかし独立国だから持つなとは言えない。
そこでどうするかというと、まず、ミサイルの脅威を煽るんです。
もっと日本はミサイル防衛を固めなければならない、と。
今現在の自衛隊は「守りに編した」軍事力です。
守りに偏するというのは攻撃のための武力を持つことは予算的に難しくなる。
現在北朝鮮のミサイルを撃墜する体制は、海上自衛隊のイージス艦が搭載しているSM3、
これで日本の空は「薄く」覆われています。
この上で東京とか大阪の大都市は、空自のPAC3で二重に守られています。
そこに集中すれば10のミサイルくらいは撃ち落とすことができるでしょう。
もし100発撃たれたらもちろん何発かは入ってきますが、そんな可能性はまずない。
日本では年間7000人が交通事故で死亡するのですが、北朝鮮のミサイルに当たって死ぬ確率は
交通事故に遭う確率の100分の1くらいなんで、よっぽど運が悪いと言う計算になります。
それより、
「一発撃ってみろ、そしたらその5倍10倍撃ち返してやれるぞ」
と言えるだけの備えを持っていることが抑止力だと思うんですね。
日本は海自など、アメリカのシステムを使っています。
これは「アメリカと手を切ることができない」ということでもあります。
システムというのは今ソフトウェアで中身が見えないだけに、余計そうなります。
自衛隊はアメリカの友軍として行動するときには相当強い軍だと思います。
しかしアメリカと袂を分かって行動するときにはそうではないというのが現実です。
アメリカはこれを狙ってやっています。
F-35戦闘機を日本に売っておけば日本はアメリカから決して自立できない。
F-4ファントムもそうですが、こういう買い方をしている限り。
軍の自立は国家の自立と同義です。
軍が自立していないのに国家が自立できるわけがありません。
そのためには兵器の国産化を進めていくべきだと思います。
日本もそろそろ戦闘機の開発を進めていかないと、技術者が胡散霧消して
第二次世界大戦が終わったときと同じような状態になっていまいます。
いま三菱重工がMRJという中型の旅客機を作っていますが、三菱重工は
戦闘機の技術者をMRJのためにかろうじて確保しているんです。
この技術者が流出しないためには5年以内に日本が国産戦闘機の開発に
入ってくれないといけない、といわれています。
「心神」という戦闘機を、なんとか早くそういう段階に進めてほしいですね。
(註: 現在米国はあの手この手で戦闘機の共同開発を持ちかけていますが、
それも日本の技術力を恐れているからに他ならないとわたしは思います)
兵器が作れないと、日本はサウジアラビアやクウェートみたいな国になってしまいます。
日本の原発技術は世界一なんですが、もし原発廃止とでもいうことになると、
当然原発技術者がいなくなります。
いま、原子力工学に進む優秀な学生が大学でも減っているそうです。
国の方針というものは影響がこれほど多いんですが、早く戦闘機も
国産にするという道筋をつけてほしいんですけど、アメリカの本音はこれを日本にやらせたくない。
それに、外国製の武器を使う限り最高性能のものは絶対に入ってきません。
兵器輸出の絶対原則で、
「自分の国と同じ性能を持ったものは決してよその国に売らない」
というのがあります。
ソフトウェアで2ランク3ランク落としたものを輸出するんです。
航空自衛隊と米軍はどちらもF-15を使ってますが、アメリカの方が性能がいいんです。
アメリカが能力向上してから、日本に古い形を輸出してるんですから。
それはアメリカに限ったことではなく、世界中がそうやっているんです。
インド軍の人物と話したとき、インド軍はスホーイを輸入してるんですが、
うちのスホーイは中国軍のより性能がいいと自慢していたので、
ロシア空軍の参謀に会う機会があったときに本当かと聞いてみると、
「当たり前だ。国境を挟んでいる国にいい武器を売るわけがない」
といっていました。
国際社会は善悪で動くのではなく、利益で動くんです。
例えば北方領土の一括返還をアメリカとドイツが支持しているんですが、
日本人は人がいいから両国が日本の味方であるかのように考えてしまいます。
ロシアは国後択捉を返すとずっと遠回りしなくてはいけない。
だから一括返還を求められても物理的に難しいということなんですが、
ロシアが一部返還して日本と仲良くなるのは、アメリカとドイツにとって困るのです。
つまり、一括返還しか選択肢がないとなると、ロシアが日本に北方領土を返還する日は
決してやってこないわけで、それは同時に
日本とロシアは永久に和解しない
ということを意味するのです。
アメリカとドイツはそのために一括返還を支持しているとも考えられます。
日本に味方するふりをしていますが、自国の利益のことしか考えていないんです。
日本人というのはこういう腹黒さを国民性としてもたないのですが、
国家指導者には是非こういう狡さを持っていてほしいですね。
(後半に続く)
確かにベストは全て国産で賄えればそれに越したことはありません。
潤沢な国家予算、国民の了解があれば、可能でしょうが、今の時代、両方とも不可能でしょう。
航空機、武器の開発費は膨大になるでしょうし、上手くいかない場合もあるでしょう。
日本の場合、開発費に多額をかける事も出来ないし、大学の協力も当てにできないし、多量生産も無し、これはダメだったとは許してもらえない。
技術の蓄積もいるでしょうし、設備の維持管理、技術屋の育成等が国家予算が出せない部門もある。
「心神」もステルス計測が日本に設備が無く、アメリカに依頼したが断られて、フランスで実施したと聞く。
防衛産業も桜林氏が本に書いておられるようですが、今までは各企業の相当な協力と言うか、好意があってですが、富士重工業(AH64のライセンス問題)のような事もあります。
可能な物は国産し、ライセンス生産、共同開発、少量の物は買う等をミックスして行くしかないと思います。
特に問題なのが、会計法等でがんじがらめで、船屋としてもこうしてあげたいと思っても出来ない事があります。
第二次世界大戦当時、我が国は有名なゼロ戦を作りました。世界を驚かせた素晴らしい戦闘機です。こんな飛行機が作れるんだから、今だって頑張れば出来るはず。防衛省だけでなく、経済産業省までもがそう思っているから、MRJの開発を後押ししているのだと思います。
ゼロ戦の開発の契機になったのは、日中戦争です。開戦当初、我が国の戦闘機は中国が装備する欧米の戦闘機に決して勝るものではなく、その戦訓から軽快な運動性能と長大な航続距離が戦闘機には不可欠であるという認識の下、ゼロ戦は開発されました。当時、欧米の戦闘機は数百キロの航続距離しかない時代、ゼロ戦は二千二百キロを飛ぶことが出来ました。
素晴らしい戦闘機を作ったのは、有名な堀越二郎率いる三菱航空機の技術陣です。今でも、おそらく日本の技術者はそういう装備品を開発出来るレベルにあると思いますが、装備品の開発では、技術者のレベルも重要ですが、何を追及するかという方向性(運用要求)も重要です。
ゼロ戦の場合は、日中戦争での戦訓があり、軽快な運動性と長大な航続距離が最重要であると、源田実ら当時、実際に戦っていた海軍の戦闘機乗り達は、迷うことなく要求しました。
第二次世界大戦後、我が国は戦ったことがありません。そのため、今後予想される戦いでは何を重視しなければならないのか、考えるためのネタがありません。一方、アメリカは十年に一度くらい戦争をし、そのネタには尽きません。
アメリカ製の装備品は実戦で試され、その戦訓が生かされています。アメリカ人が血を流して作った装備品を血を流さずに買えるのなら、多少高くても、いい買い物なのではないかと私は思います。
専守防衛を旨とする我が国ですから、他国が戦いを仕掛けて来ない限り、戦うことはないでしょう。装備品の国産化は理想ですが、実戦で試されてはいない装備品が、実戦で試された装備品と比べてどうなのか、やってみないと誰にもわかりません。
田母神さんはもう卒業しているので、使えない装備で割を食うこともありませんが、現場は違います。
資金的にもその用途的にも、今の日本では国産兵器にそこまでこだわる必要があるか、
一言で言うとこういうことでしょうか。
「現状を鑑みるに今の形が現実的なのでは」という部分において
同じ意見をほとんど同時に出してこられたのでちょっと驚いております(笑)
戦闘機の100%国内生産は理想ではありますが、そのまえにまず
国家のあり方そのものが変わらない限り、絵に描いた餅のままで終わる話です。
田母神氏が変えたいのは現状の日本そのものの仕組みであり、
国内産業で全てを賄うということは氏にとってその先の派生的なことなんでしょうね。
つまり、今の日本では現実味のないことということになります。
ただ、それとは別に、戦闘機を作れるだけの技術力の確保は
なんらかの形でしてほしい、と素人のわたしは思ったりするんですが、
この辺だけはなんとかなりませんかね。
http://www.mod.go.jp/j/press/news/2010/08/25a_02.pdf
現在、開発が進められている心神も、この戦略に沿ったものですが、要約すると、一国で次世代戦闘機を作れる技術基盤を維持すれば、国際間共同開発でも優位に立てるという考え方で、私は理に適っていると思います。
こういう動きがあることは、よっぽどのマニアか業界人でないと知らないことです。田母神さんは話がうまいし、ほとんどの人がこういう動きがあるのを知らないのに付けこんで、煽っている?ような気がします。日本人はバカじゃないので、ちゃんとやっていますよ!
F-2の開発、生産に関しては田母神氏が詳しいとは思いますが、国産に横槍が入り、F-16をベースに共同開発、生産となりました。
炭素繊維を多く使用した機体で剥離、亀裂等で開発に時間がかかり、主翼ハードポイント片側5か所及び翼端ステーションがあるが同時に全てを使う事が出来ないし、改造余裕がないとして141機調達予定が94機で終了しました。
価格も大幅に上昇してF-15を上回った。
F-4、F-15、F-2と継続していた生産が現在途切れています。
造船所でも艦艇の建造には1200~2000社の参加が得られねばなりませんが、戦闘機には何社が必要か門外漢で分かりませんが、F-2の生産が終了して早数年、F-35の日本の生産比率が低い事もあるでしょうが、戦闘機の生産から撤退した会社があると聞いています。
造船所の下請けで家内工業でも大田区等に素晴らしい技術を持った会社がありましたが、年に1個とかの部品生産でも継続すれば良いでしょうが途切れると技術を温存せよとはなりません。
前のコメントにも書きましたが会計法は厳しい法律です。
生産しないが生産ラインの確保、技術屋さんの継続確保、安価になったので生産数を増やす、倉庫等がないので会社で保管等は出来ないと思います。
レートと呼ばれる工賃の中に、工場設備、技術力が含まれると言われるかもしれませんがレート査定は大変厳しく査定されます。(過剰請求問題がありましたが、この辺に問題があったのかなと想像します)
F-2でもありましたが企業として何個、何台、何機等生産があると言われればそのように考慮します。
でも国家予算は単年度、装備品で当初の予定とおり生産された物があるでしょうか?
ある企業が何個作るから型は1個何分の1と言われたが作ったのは半分以下、型代等真っ赤な赤字、これでは企業として成り立ちません。
C-2の貨物ドアの故障探究、対策に東大に依頼して断られています。
企業だけでは高度の技術開発、技術力の確保等は困難であり、国の指針と予算、法律、学者の協力等が必要と思います。