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平成28年度富士総合火力夜間演習〜暗視装置

2016-09-10 | 自衛隊

「明日の夜間演習のチケットが手に入ったのですが行きますか」

と25日の予行前日に、同行のメンバーからかかってきたお誘いの電話に
二つ返事で参加することを承諾したわたしです。

一般に公開されておらず、関係者と招待者だけが見学できるという夜間演習、

ついにこの目で見る日がやってきたのです。

「撮影されるなら三脚を忘れないでください」

「三脚なんか使っていいんですか」

「全員スタンド席なので大丈夫です」

そこでふと心配になったのは、カメラのバッテリーでした。
メインにしているNikon1はバッテリーを異常に喰うので有名で、
わたしは総火演であれば、必ず前段演習終了時に電池を取り替え、
装備や演習以外の撮影は電池を使わないRX100で行うことに決めているくらいです。

ただでさえ電池を消費しそうな夜間撮影、2つの電池で朝から撮り続け、
さらに夜の演習の最後まで
撮ることができるのでしょうか。

「心配いりませんよ。夜間演習は30分で終わりますから」

あ、そうなの?
しかし、たった30分の演習をわざわざ一般に公開するとは・・・。



我々一行は昼間の演習が終わり、バスで御殿場まで戻ってから、
各自の車に乗ってファミレスで休憩をしました。

わたし以外は全員男性でしたが、皆さん見かけによらず甘党らしく、
パンケーキやらなんとかアラモードなどの可愛らしいものを食べておられました。
ここで隣に座っていた一団もどうやら「常連メンバー」だったらしく、
同行者の一人はあとで

「ファミレスの隣に”いつもの人”がいた」

などとおっしゃっていたのですが、おそらく向こうも
全く同じことを思っていたと思います。

かくいうわたしも、昨年の観艦式のとき、たしか「むらさめ」の甲板で
近くに座って超大型マグナムレンズで撮っていた同じ人をこの夜発見。
陸空海のイベントにどこにでも現れるコアな「撮り自」の人って、
もしかしたらいつも同じメンバーなのではないだろうかという気がしました。


さて、7時からの開演に先立ち、わたしたちは4時半に現場に到着しました。

夜の演習には送迎バスが出ないので、全員車での来場になりますが、
参加人数が少ないので、皆会場に近いところに駐めることができます。

昔は昼の総火演そのものがこんな感じで、官公庁などにいくとチケットが
窓脇に無造作に置いてあり、行きたい人(ものずき)が取っていくというもので、
本番であっても会場が全部埋まることなどなかったとこのとき聞きましたが、
なんだか信じられない話ですね。




現地ではこの日の朝のように、スタンドの外壁に沿って並びだして
ほとんどすぐ
開場になり、中に入ることができたのでホッとしました。

スタンドに入ると最上段から順番に座らされるのですが、一応案内係も
”あいだを空けずにお座りください”というものの、昼よりは規制も緩い感じでした。



わたしは最上段の、前に席がないスタンドに座ることができました。
まあ、夜間演習なんて見るのも写真を撮るのも、こんな場所であっても
なんの関係もないということが後でわかるのですが(笑)


 
スタンドの最上段に立って開場の外側を見るとこんな景色。
昼間人でごった返していた同じ場所とは思えません。
食べ物を売っている店は一軒も開けていませんでした。

去年はこの右側のスペースに停めることができたそうですが、
なんの事情なのか、駐車場が遠くなったようです。
こちらの参加人数も増えているということなんでしょうか。



地面に敷かれたシートは迷彩柄のOD色なので、こうやってみると
まるで山間部に広がる水田のような眺めです。
最前列は報道とカメラのために確保されている模様。



日が沈む前で雲の合間からはときどき光が落ちてきます。
わたしは夜の部の参加のために着替えを持ってきており、
ファミレスで着替えてそのときに昼間の汗を濡れタオルで拭い、
実にさっぱりと爽やかな気分でこの場に座っておりました。

山間部の気候なので、日が傾くとすでに涼しくなりかけており、
この頃には冷たい風も時折吹くようになっていました。



やってくる人々も、気のせいか昼間のような殺気だった雰囲気もなく、
のんびりとしてまるで花火大会の始まりを待つような様子です。



そうこうしているうちにリハーサルが始まりました。



74式戦車と89式装甲戦闘車が現れ。



コブラも出てきてこんにちは。
夕焼けの逆光で叙情的なコブラが撮れました。



FV小隊が一線に並び、砲を目標地域に据えました。
まずコブラが試射を行います。



この日初めての照明弾と照明弾による攻撃。
上からひよひよと落ちてきているのが照明弾で、
さらに攻撃側は暗視装置を使って正確な攻撃を試みます。



照明弾というのは「candela」という単位でその明るさを表します。
こう見えて結構明るくなる、というか攻撃には十分な明るさなのです。

照明弾が落ちてくる様子は実に趣のあるもので、わたしなど
今年は行き損ねた大曲の花火大会の「昼花火」を思い出しました。



このあたりは自衛隊の人たち(もしかしたら賓客も)の席?



カメラマンの人たちもお互いの距離を十分に保てて撮りやすそうです。
自衛隊の写真中隊もここで撮影を行っていますね。



AH-1Sコブラの中には、C-NITE(コブラナイト)と呼ばれる
夜間行動能力向上型があるそうですが、おそらくこれもその一つでしょう。

機体の上下のワイヤーカッター、およびコクピット前にレーダージャマー送信アンテナ、
ローター下の受信アンテナが付いているのがC-NITEだそうですが、
上のコブラの写真をみると鼻先にポチッと何かがあるので、
これがレーダージャマー送信アンテナだと思われます。



90式戦車が射撃。
この頃、わたしは本番のために電池を温存する必要があったので
全てをデジカメで撮っておりました。



まだ明るいときには照明弾の効果はよくわかりません。

攻撃には暗視装置が使われますが、自然界に存在する微光を
増幅して視界を得る微光暗視装置と、赤外線装置があります。




スクリーンでは暗視装置の紹介が行われました。
75式照準用微光式暗視装置です。



69式暗視双眼鏡は微光式、偵察用。



微光暗視方式、偵察用個人携帯である暗視装置V3。
車の運転のときにも使われます。



赤外線方式の暗視装置V7。
離れた位置から観測ができます。


 
鉄帽に装着して使用する微光式個人携帯用の暗視装置V8。 



01(マルヒト)式軽対戦車誘導弾よう暗視装置は赤外線方式で、
発射機に取り付けて使用するタイプ。




82式対戦車誘導弾よう暗視装置も赤外線方式。
レーザー照射器に取り付けて使用します。



戦車・装甲車にも暗視装置が付いています。
89式装甲戦闘車に搭載された暗視装置は夜間において
広い地域の監視、
攻撃が可能になります。
赤外線方式です。



90式戦車の暗視装置は夜間においても目標を補足するだけでなく、
赤外線ん方式で移動する目標を自動的に追尾して攻撃ができます。



74式戦車の暗視装置は、赤外線を対象に照射するタイプもあります。



夜間における野戦、つまり夜戦が今ではこういった装置のおかげで
完璧に可能となったということなんですね。


続く。





 



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