ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

伊勢神宮参り~志摩観光ホテルと「パワースポット」

2013-10-26 | お出かけ

息子の秋休みを利用して伊勢神宮参りをして参りました。
今年の10月、20年に一度の社殿を建て替える儀式、式年遷宮を迎えるからです。

式年遷宮の年、伊勢神宮に参拝する客は大変な人数になるそうで、
先日読者の森のくまさんが明野航空祭に合わせて行かれたところ
「人に酔った」
というご報告をくださったように、神殿に近づくことすら大変な状態が
ここのところずっと続いているのだそうです。

どうせ行くなら、とついでに一泊してきました。



新幹線で名古屋まで行き、そこから近鉄に乗り換えて2時間。

 

近鉄の駅にはお伊勢さん参りらしい中高年の団体客。
「第62回伊勢神宮式年遷宮」という幟の前にいます。

伊勢神宮で最初に式年遷宮が行われたのは飛鳥時代。
間に戦乱で途絶えたことはあっても、ずっと続けられてきた
日本の神社の頂点に立つ神社の大事な行事です。

たくさんのツアーも組まれているようですね。



近鉄の車両は、古いものになると未だにタバコの匂いがこびりつき、
決して快適とは言えませんでした。

車両で見かけたのも、中高年のグループばかり。



終点の賢島に到着。



この駅にも式年遷宮の幟。
駅前からは本日のホテル「志摩観光ホテル」のシャトルバスが出ています。

「30分です」

と仰るので

「(ホテルまで)30分かかるんですか!」

というと、

「いえ、30分に出発です」

駅の横の坂道を登ったらもうそこはホテルでした。
歩いてもおそらく3分くらいだったんではないでしょうか。
普通のホテルなら、駅前なので歩かせるところですが、このホテルは
何しろ「あの」志摩観光ホテル。

それこそ宿泊客は中高年ばかりなので、たとえ3分でも坂道を客に歩かせたりしません。
チェックインに時間があったので、ラウンジでお昼にしました。



ラウンジからの眺め。
このホテルは「華麗なる一族」の舞台になったことで有名です。
作者の山崎豊子氏は、ここのレストラン「ラメール」(海)でずっと夕日を眺め、
万俵家が一同に会すあの正月の食事シーンを書き上げました。

このシーンを、読んだことのあるわたしが読んだことのないTOに説明してあげました。

「娘がここで『サ・セ・ボン・グー。
嫌だわお父様、今日は日本のお正月ですのよ』って言うのよね。
つまり、万俵家では、食卓で、日本語、英語、フランス語を毎日ローテーションで、
フランス語ならフランス語しか使ってはダメ、って決めてるわけ」
「うちもなんとか二カ国語ならできるな」
「ママはそれだめじゃね?」
「何を失礼な。自分がちょっと流暢にしゃべれるからって。
それから、娘が『お父様、二階のロビーで素晴らしい(真珠の)珠を見つけましたのよ』
ってネックレスをおねだりするの。
見ただけで真珠の善し悪しなんてわかるものかな」
「わかるんじゃない?華麗なる一族なんだから」

作者の山崎豊子さんは先月29日亡くなりましたね。
そう言えば知り合いのお医者さんから、
「豊子ちゃんの小説の、何とか博士(忘れた)って、僕がモデルなんだよ~!」
と聞いたことがあります。
この方は某大阪大学の教授でしたが、この小説とは決して「白い巨塔」のことではありません。

その方も、もうすでにこの世の人ではなくなってしまいました。



ラウンジではきゅうりとハムのサンドイッチを頂きました。



ようやく2時になり、部屋に入ることが出来ました。
さすがの老舗ホテル、全体に漂う古ぼけた感じは否めません。
当然ですが、インターネット環境など全く配慮されていません。

わたしは携帯のWi-Fiをいつも使っているので無問題でしたが、
通信速度が異様に遅いのには参りました。
旅行中くらいインターネットなしで過ごしたいのは山々ですが、
わたしの場合、何と言っても毎日ブログをアップするという使命があって・・・。




窓はこれだけしか開けられません。
英虞湾に向いているだけでもいい部屋なんだとは思うんですが・・・。
やはり昔の旅館の豪華版、って感じです。

  
部屋から見える景色。
真珠養殖の筏が所々に見えます。

この頃は雨がかなり強く降っており、近くの水族館に行く気にも慣れず、
夕食の予約時間まで部屋でのんびりとしていました。

東京で仕事があったため後から来たTOが到着するのを待って、
レストラン「ラ・メール」に食事に行きました。



わたしは実は家族と昔ここに来たことがあるはずなのですが、
小さかったので全く記憶にありません。
広いダイニングルームは、ほとんどが年配の客。

志摩観光ホテルは、近年もっと海に面した場所に新館を造り、
そこには若い人たちが泊まるようにきっとインターネット環境も整っているのでしょう。



このようなシャンデリアがゴージャスの証であった時代がありました。



宿泊とディナー朝食がセットになったプランなので、
何が出てくるのかはメニューを見るまでわかりません。



このようなプリフィックスメニューですが、事前に、
アレルギーとか嫌いな食材について聞かれました。



このトマトスープはとても美味しかったのですが、
息子が「生のトマトがアレルギー」と言ったところ、
火を通しているにもかかわらず「トマトが濃厚なので」という理由で
息子のだけがパンプキンスープに代わっていました。
トマトスープはむしろ大好物なので、こっそり取り替えてやりました。



前菜の、エビ、タコ、イカなどシーフードのサラダ。
この小さいのも一応「伊勢エビ」。
ここは伊勢なので。



再び伊勢エビのアメリケーヌソース。
エビの味はあってないようなものですが、このソースが絶品なので、
非常に美味しく頂くことが出来ました。



お口直しのグラニテ。確かザクロだったかと・・・。



メインの肉料理は、松坂牛とポークのレクタングル(長方形)仕上げ。
変な名前ですが、要は四角いハンバーグです。
ハンバーグとするより、何となく高級感がありますね。
しかし、素材がいい上、さすがは華麗なる一族万俵家御用達のホテルのキッチンだけあって、
そのような大衆っぽさの感じられない上品なお味でした。
嵩を出すため(笑)お肉の下にはポテトを敷いて上げ底にしています。

 

デザートは小さなパンケーキの上に乗ったムース。
キャラメリゼされたナッツがアクセントです。

さすがは志摩観光ホテル。
老いたりといえども、関西の財界人初め古くからの客がついている老舗ホテルは
何と言ってもプライドにかけても味を落としていません。



次の日の朝。
昨日あれだけ降ったのに、伊勢参りの日にはピタリと止むあたり、 
(決してわたしではなく)日頃のTOの行いがいいからに違いありません。

今回のお参りも、彼の強い希望で実現したものです。



ホテルを一歩出ると、強いキンモクセイの香りがしました。
関東では少し前に終わってしまっていて、関西ではいつも
一足遅いので、この季節関西旅行をするわたしたちは、
例年この金木犀を年に二度楽しんでいます。



この特急電車で一時間、賢島から伊勢まで乗ります。



伊勢駅前は妙にあちらこちらが奇麗にされていました。
もしかしたら遷宮に合わせて駅周辺も再開発されたのでしょうか。



駅前で予約していたタクシーの運転手さんと待ち合わせます。
伊勢参りのためにガイドツァーを頼んでおいたのです。
運転手さんの案内で、まず下宮から。
ここもきれいに舗装されたばかりと言った感じ。

 

観光客はあまり知らない、運転手さんが解説してくれた一本の楠。
一本なのに幹の根元で割れたまま成長したので二本に見えるのです。
樹齢は千年なのだそうで、これを割ったのは平清盛だとか。
伝説にすぎないのだとは思いますが。

 

わたしはしょっちゅう靖国神社で手水を行うので慣れていますが、
TOと息子は運転手さんにやり方を教えてもらっていました。
手洗い場も建て直ししたらしく、きれいです。

皆さんはまさか柄杓に口を付けたりしてませんね?
正しいやり方はちゃんと手にすくって手から口に含みます。



ここも新しくできた資料館のようなところ。



神楽の舞台になったりする池の上のステージ。
この池は勾玉の形をしています。
昔々、わざわざその形に池を作り上げたんですね。
日本人って、凝り性だなあ。



この日ガイドをしてくださった運転手さん。
こういうところでタクシーをしているだけあって、博識でした。
ズボンのポケットからヴィトンの財布がちら見えしています(笑)
「ワシは小物にはこだわるんや!」

人ごみの中を何度もこのスタイルで案内している方だと思うのですが、

今まで一度もこの無防備なヴィトンが狙われたことがないとは、さすが伊勢神宮。

伊勢参りに来ている人の財布を掏る不信心なスリはいないってことですか。
まだまだ日本も捨てたものではないかも、ですね。





これから何かを建てる予定のある土地には、
このような囲いがされています。



この向こう側はお札を売っていたり、お神楽の申し込みをしたり、
そういう売店ですが、中には神職の方、巫女さんがつめていて、
そのせいか中に向けての撮影は禁止となっていました。



もともと遷宮は天武天皇が壬申の乱で勝利をおさめ、その「戦勝記念」
として神宮にご恩奉じの意味で行ったのが始めでした。
それまでは、神社が破損したり災害で何かあったときだけ行われていたのが、
定期的な立て替えを慣例として定められたのは女帝、持統天皇の時代です。



建て替えには8年を要します。
用材の搬入から始まって、新社殿の完成、その後、
遷御によって神霊が新社殿に迎えられると遷宮はクライマックスを迎え、
内宮、下宮、別宮の遷御が全て終わって、式年遷宮の完了となります。



下宮にある「三ツ石」。
今どきを反映して、ここは「パワースポット」などと言われているそうです。
手をかざすと温かい感じを受ける人が多いとか、
某総理大臣も手をかざした際に温かみを感じたとかいう噂があるそうですが、
これはある識者に言わせると「風評」のたぐいで、

こんなもの?にパワーはなく単なる道標みたいなものなので、
拝むならちゃんと神殿に祈りなさい、ということでした。

まあイワシの頭も信心からなんて言うことですし、皆が拝んだり
パワーを勝手に感じたりしたりするうちに、本当に霊験灼かになるかも知れません。

いや、もうすでにそうなりつつあるし(笑)

特に日本人はそういう何でもないものをいつのまにか「神様扱い」して、
本当に神様にしてしまう習性があるみたいなのですが、これもまた、
そう非難するには値しない微笑ましい現象だとわたしは思います。


というか、日本の神様って、そんなに心が狭くないと思うんですよね。



前日の雨で白濁した池。



この池にかかっているのは巨大な岩の「橋」。



水滴が穿ったこの橋の穴に、こうやって「お賽銭」をはめ込む、
それが日本人。
こんな人通りの多いところにお金が落ちていても、
誰一人それを取ろうなどとは夢にも考えません。



木の幹もその年代の気候によって成長の度合いが違います。





基本的に鳥居をくぐったら写真は撮らない方がいいと思うのですが、
皆おかまいなしに撮ります。
あちらこちらに「写真撮影禁止」と貼ってあるのに、それでも撮る。
大抵いい年をして、と思うような年配の人で、若者は見ませんでした。
たまたまかもしれませんが。




20年に一度の総建て替え、というのはあまりにサイクルが早すぎると思われませんか?

お寺は何百年経っていても、むしろそれが価値となったりするのですが、
神社、ことにこの伊勢神宮は、遷宮を神事として必ず行います。

その理由の大きなものは、今回知って驚いたのですが

「技術力の伝承」

つまり、宮大工とか、工芸職人の技術を維持し、次代に伝承するためなのだとか。


勿論それだけが理由ではありません。
次回、そんなことと、伊勢で味わった美味しいものについてご報告します。


 

 


 



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1 Comments

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ウルトラ警備隊 (エリス中尉)
2013-10-29 20:05:35
観ました!最高ですねこれ。
なんか笑ってしまうんですけど妙にぴったり。

ウルトラ警備隊に乗せた観閲式行進
http://www.youtube.com/watch?v=xdjKnNi6O2o


お返しに、「残酷な天使のテーゼ」に乗せた自衛隊MADを。かっこいいです。
http://www.youtube.com/watch?v=6MJB7Z4yihk

まさか電車がJRと近鉄の駅が共同運行とは知りませんでした。
今改めてみるとたしかにJRの文字がでかでかと・・・・。
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