ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

19年目の9月11日〜アメリカ滞在

2020-09-15 | 歴史

MKの大学も本格的に授業が始まり、さっそく「忙しくなった」そうですが、
初めての自炊生活もなかなかいい出だしのようで、

「もうポットでご飯を炊くのは完璧」

と豪語しております。
なんでも底にコゲを作らない火加減を早くも会得したとのこと。
いざというときのためにトレーダージョーズの中華風オレンジチキンとか、
美味しいかどうかはわからないけど点心とかの冷凍食も用意して、
どんなに勉強で忙しくなってもとりあえず自分で何とかできるように
最低限のことはしたつもりでしたが、期待以上です。

ところが困ったことに、「遅くても8月31日」と予告していたはずの
ドームムーバー(学生専用の荷物預かり&配送業者)が、コロナのせいで
予定を2週間すぎても来ず、さらには連絡を取ったところ

「いつになるのかわたしたちにも全くわからない」

それ荷物なくしたんじゃないの?と疑いたくなりますが、とりあえず
布団とモニターが届かないのは困る、ということで、布団を買い、
モニターのために大きめのiPadを購入することにしました。

こちらのAppleも来店時間を予約してピックアップするシステムです。

何とアメリカのアップルでは今MKのような事態を予想したかのような

「学生証を見せれば一割引のうえ、イヤフォンプレゼント」

というセールを行っていました。
まあ、iPadを注文したらiPadだけでは済まず、Apple Pencil、
お高いApple純正ケースも買うのが普通なので、古い型のイヤフォンをつけても
アップルにすれば痛くも痒くもないわけで。

「イヤフォンは90ドル出せば最新式のモデルにできます」

というセールスもなかなかうまいっすね。

日本ではマスク着用をめぐって機内でトラブルを起こした人がいて
着用そのものについていろいろと問題にしている向きもあるようですが、
何度もいうようにこちらではどんな店舗の入り口にも「マスクガード」がいて、
マスクをしていないとお店に入れてもらえないので嫌も応もありません。

カートを返すとそれを拭いて消毒する係の人も配置されています。

たとえばピッツバーグでは州警察が定期的にコンプライアンスチェックを行い、
認可された施設に不備があればバシバシ警告を行います。

チェックを行う執行局は、抜き打ちで、店に出入りするすべての顧客、
及び従業員が常にマスクを着用しているかどうかを確認します。

また、飲食店ではテーブルやブースに6フィートの間隔、または
物理的な壁があることを確認し、最大収容人数の制限が掲示され、
実施されているかどうかを厳しくチェックするのです。

さて、「アメリカの最も長い日」であった同時多発テロ事件から
今年も19年目の9月11日がやってきました。

今日はこの日1日の911関連番組をご紹介していきます。

まず、朝からFOXでは当時ニューヨーク市長だったジュリアーニ氏を迎え、
(といってもオンラインでの出演ですが)当時の思い出を語らせていました。

ジュリアーニといえば、今回のCOVID 19関係でのNY市の対応が酷いので
彼をもう一度市長にという声が上がっているとか何とか。

ジャック・キーン氏は911当時現役の陸軍大将として事件に関わりました。
退役後、キーン大将はトランプ政権から何度も要職を提示されていますが、
政治の世界に入ることを拒み、ご意見番として活躍しているという人です。

セレモニーに参加する犠牲者の遺族にインタビューをしています。

ご存知の通りワールドトレードセンターの跡地には
フリーダムタワーという名前の高層ビルが建てられました。

トランプ大統領はキャンペーンでペンシルバニアにいましたが、
そこからエアフォースワンでシャンクスビルに向かいました。
わたしも今回改めて気がつきましたが、ユナイテッド93が墜落したとされる
シャンクスビルはペンシルバニア州だったんですね。

ビルに航空機が突入した後の人々の様子。
この子供たちは現在二人とも大学を卒業したくらいでしょうか。

今年の慰霊式はCOVID19のパンデミックを受けて一般公開されず、
例年のようにミュージシャンの生演奏もなく、時間も短縮されました。

大統領選を控えたメモリアルなので、対立候補のバイデンも
同じように
シャンクスビルを慰問したということです。

お互いこのメモリアルを
いかに大統領選に有利にするか、あるいは
突っ込まれるようなミスをしないように慎重に、とか、とにかく

そんなことばかり考えているんだろうなー、とわたしは
若干皮肉な気持ちで見ていたのですが。

ファーストレディのメラニアさんの装いは、黒の長袖のコートドレスと
非常にTPOを踏まえた感じのよいものと思われました。

わたしが注目したのは、大統領夫妻が遺族の代表と並んで
花輪を捧げるというセレモニーをこれから行うというとき、
トランプ大統領がさりげなくメラニア夫人の手を握ったことでした。

慰霊式典の行われた会場ではトランプ大統領が去った後、
無人の式台が映されていましたが、日本の国旗があるのに気がつきました。

右側の誰かわからない人が涙ぐみながらコメントをしている画面の下には
ここで墜落したとされる飛行機の乗客の唯一の日本人、
キノシタ・タカシさんの名前がちょうど表示されています。

早稲田大学理工学部の学生で20歳だったという報道がありました。

グラウンドゼロの慰霊碑は犠牲者の名前の横に
花が立てられるような窪みがあるデザインで、
この日は遺族などが訪れ、花を備える様子が映されました。

ここでCMとなったのですが、このロスランドキャピタルという
金融資産運用会社は、退役軍人が戦艦「アイオワ」の主砲の前で
当社の運用がアイオワの一撃のように力強い、みたいなことをいう
パトリオティックなコマーシャルを挟んできました。

事柄が事柄だけに、慰霊追悼番組のスポンサーには
あまりふざけたCFを打っているところは名乗りをあげなかったようです。

夜はヒストリーチャンネルが淡々と事件発生からビルの倒壊までの時間、
カメラが捉えた映像を映し出していくというドキュメンタリーが放送されました。

最初の航空機衝突が起こった直後の市民の様子には
大変な事故が起こったなあという騒然とした様子があるものの、
まだいうならば余裕というか対岸の火事的を見るような呑気さが感じられます。

ハンディカムを持っている人が撮影をしていますが、もし今なら
全員が携帯を構えて撮影をしており、その直後から
全世界に詳細な映像がSNSに溢れたことでしょう。

ビルを見守っている人たちが、高層からジャンプしている人がいる、
と騒然とし出したころです。

「何か落ちてる!」

「紙じゃない、紙ならあんな落ち方をしない」

「オーマイゴッド!」

という会話が録音されています。

そのとき、記録によると最初の衝突からわずか17分後、
南タワーにも航空機が衝突し、撮影者は悲鳴をあげます。

「テロリストだ!」

一機だけの衝突なら事故の可能性もありますが、
もう一つのビルにも直後に突っ込んだとなると・・。

ここで彼らは初めてテロであることに気がついたというわけです。

彼らは悲鳴を上げながら

「逃げなきゃ!」

とカメラを回したままエレベーターに乗り込むのですが、
次々と高層ビルが狙われていると彼らが考えるのもむりからぬことだったでしょう。

9時5分ごろ、別の高層ビルに住んでいる人がベランダから映したものです。

「酷い・・」

「中はどれだけ熱くなってると思う?」

「地獄だ」

事故当時88階にいた人から電話を受けた消防署オペレーターの通話です。
部屋の出口にいるので人をよこして欲しい、と通報者は懇願しています。

通報を受けるなり現場に急行して突入の機会を伺う消防士たち。
通報している人に、今人が向かっている、とオペレーターは説明しています。

皆が煙の吹き上げるビルの上方を凝視しています。

北タワーではすべての非常階段が破壊されていましたが、
南タワーでは一つの非常階段が使える状態で残されていました。

それで避難した人々もいましたし、消防士たちは階段を使って
救出のために上に向かって行ったのです。

「もう人が向かっていますからできるだけ早く助けにいきます」

と言っています。

救出のために現場に駆けつけたニューヨーク市消防局の消防士343人と、
ニューヨーク市警察などの警察官71人がビル倒壊で亡くなっています。

映像には「バタリオン2(第二分隊)入ります」という消防士からの声が残されています。

地上部隊とビルにあがって行った消防士の通信です。
救出を要請している人がいると連絡を受けて現場に着いたら、
もう彼らは飛び降りてしまった後であるという連絡を受け、
それを確かめているのです。

「その人たちはもう飛び降りてしまっていますか?」

「そうです」

ビルは倒壊前であり、次々と救援の消防車が駆けつけています。
ニューヨークの街である消防署前を通りかかったら、この署において
これだけのファイアーファイターが911で亡くなりました、
という慰霊のプラークが貼ってあるのを見ました。

北タワービルの103階から助けを求める人とビルのオペレーターのインターコムの会話です。

そこには100人以上の人々がいて皆が同時に自分のことを伝えようとしていました。
オペレーターは

「煙を避けるために姿勢を低くして待っていてください」

「だからそこにいてください。
わたしは消防士ではありません。
そこにいる消防士たちに伝えますから」

「もし可能なら窓を壊してください。
わたしに言えるのはそこに座って救助を待ってくださいということです。
消防士には救助に行くようにもうすでに伝えてありますから」

と何度も同じことを答えています。

近隣に出店していたファーマーズマーケットの関係者は
すべての商品をそのままにして避難し、誰もいなくなっています。

4ブロック離れたタワーから撮られた映像です。
窓にたくさんの人がしがみついているのを認めたあと、
その中の一人が落ちていくのに「オーマイゴッド」と叫び、

「ワイヤーとメタルが焼けている物凄い匂いが漂ってきている」

街角に佇んでビルを凝視している人々の中の一人が
携帯ラジオの音量をあげて、周りの人がそれに聞き入っています。

二機の飛行機がWTCに突っ込んだのに続き、少し後に
ペンタゴンにも飛行機が突入したというニュースが流れています。

ニューヨークの地下鉄は一部が崩壊したので運行を中止している、
というニュースが続いて流れています。

マンハッタンは閉鎖されたので誰も立ち入らないように、
という警告をアナウンサーが発しています。

「9月11日火曜日の朝、この日を我々は記憶し続けるでしょう」

ここからチームを率いて78階まで救助に上がり、その結果殉職した
オリオ・パーマー消防士が残した通信と、それを聞く地上の消防士たちの
表情が現れました。

「78階まで到達したが壁が崩れているので気をつけなければいけない」

「シャフトに挟まれてしまったら大変だ」

「トミー、(同僚)もうロビーまで戻ったか?
エレベーターロビーに戻ってきましたか?
エレベーターがめちゃくちゃになっているので、
コマンドポストに早くもどれ」

「要救助者が何とかして40階までいってエレベーターを使えるか確認する。
ここにはけが人がたくさんいる」

「火災は二箇所あるがたいしたことはない。
すぐ消火できると思う」

「今何階にいる、オリオ?」

「サウスタワーの南階段だ」

「78階か?」

「消防士を二人ほどこの階段まで要請することになりそうだ」

「わかった、10−4、階段に向かう」

そのとき近隣のビルから現場を見ていた人が叫んでいます。

「ビルが崩れそうになっているぞ!」

午前9時59分、ユナイテッド航空175便の突入から56分後、
ワールドトレードセンター南棟が崩壊しました。

近くで見守っていた人々が迫ってくる煙に追われて全力疾走しています。
この後、

「わたしは69歳だがこの歳で走りまくったよ」

とカメラマンに答えている人がいました。

10時28分、アメリカン航空11便の突入から102分後、
南棟に続きワールドトレードセンター北棟が倒壊しました。

塵芥を吸い込んで咳が止まらず座り込んでしまう人。
ベストをつけているので港湾会社の職員でしょうか。
仲間が水をわたしています。

屋内で係維を見守っていた近隣オフィスの人々が外に出てきました。
なんとかして自宅まで帰ろうとしています。

倒壊直後に止むに止まれない思いで消防隊に差し入れしていた人。
飲み物を入れたコンテナにはフランスの旗がつけられています。

見渡す限り真っ白な塵芥の積もるなか、この男性はどういうわけか
軽装のままビルの方向に向かって走っていくのでした。

見ている人がそっちにいくなと止めています。

 

WTC死者は合計で2763人。

その内訳は民間人2192人、消防士343人、警察官71人、
ハイジャックされた旅客機の乗員・乗客が147人、
ハイジャック犯のテロリストが10人となっています。

ジェット機の衝突によって北棟・南棟ではエレベーターが停止し、
200〜400人が閉じ込められた状態で死亡したとされています。

また、ツインタワーからの転落もしくは飛び降りによる死者は
最低でも200人と推定されていて、消防士の殉職者のうち1人は
落下してきた人の巻き添えとなっています。


この日街中の星条旗は半旗に掲げられ、「アメリカの一番長かった日」を悼みました。