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世界一太った双子の苦悩〜アメリカ肥満事情その2

2019-05-07 | アメリカ

 前回に引き続き、「My 600 lbs Life 」で紹介されていた太った双子の話です。

今や260~70キロの体重に揃ってなってしまった双子の姉妹、
ブランディとカンディ。
やっぱり生まれた時から太っていたわけではありません。

おそらく1歳くらいの写真でも、ごく普通のアメリカの赤ちゃんです。
しかし、彼女らは成長するにつけ、同じように太っていったといいます。

お誕生日の写真だと思われます。
こういうのを見ると、やはり親の食べ物の与え方が間違っていた、
ということを思わずにいられません。

「molested」というのはいじめられた、ということだと思われます。
いくら太っている人が多いアメリカとは言え、子供の肥満は流石に
大人ほどではないので、いじめの対象になったのでしょう。

小学校低学年の姉妹はもうすでにかなりの肥満となっています。

彼らの母親は彼女らほど太る体質ではないため、娘が揃って
ズンドコ太っていくことにあまり危機感がなかったようです。

「もしそれが深刻なことだと知っていたら・・・」

なんて言って泣いていますね。

異常に太っている子供の親ももちろん太っていますが、
得てして子供ほどではないので、日常に流されるままに問題を看過し、
子供のために何かをすることなく気がついたら手遅れになっているのです。

自分が食べるものもジャンクフードにアイスクリーム、レンジフード、外食。
当然子供にも惰性で同じものを与え続けるうちに
取り返しがつかない状態になってしまい、どうすることもできません。

前回のジャスティンくんは太っていてもその後頑張って体重を落とし、
一流大学に入学することができましたが、これほど異常に太っている子供は
失礼ながらあまり勉強もできないのではないかという気がしますね。

蔑まれ続けてきた姉妹は、より一層内にこもって、
何をするのも姉妹だけ、という人生を送ってきました。

世間と関わらなければ誰にも傷つけられることはない。

その生活は二人でようやく成り立つものであり、片割れがいなくなれば
自分も死んでしまう、そう思っていたかもしれません。(伏線)

不思議なことに、超肥満の彼ら彼女らが仕事をしているのを見たことがありません。
この「全部食べ物に消えてしまう」というお金にしても一体
どうやって手に入れているのか、番組では説明されることはありません。

生活していくために最低限のことをし、残りの時間は何をするかというと、
特大のソファに寝転がって、何か食べながら一日中テレビを見るのです。

右側の本棚にあるのは本ではなく、全てビデオです。

しかも彼女らの食べるものといえば・・・・

カロリーだけは高いが脂肪を増やす以外の
なんの役目もしなさそうな食べ物を口にする時、
彼女らは全く幸せそうではなく、苦痛に満ちて見えます。

こんなものを大量に食べ続け、1日寝そべってテレビを見ていれば
すぐに死んでしまうことは誰よりもわかっているのです。

「わたしは自分の体重にじわじわと殺されつつあるんだわ」

かろうじて体を動かすのはトイレに行く時だけ。

「最悪の事態になる前に止めなくてはいけないのに」

母親の容貌には若い頃の美貌の名残りが伺えます。
しかし、この家庭にも父親の姿はありません。
こういうことも双子の肥満に無関係ではないかもしれません。

無気力な目をして、それでも彼女は訴えるのでした。
このままではいけないとわかっていると。

「精神的にも健康から言っても、そしてお金だってちょっとは・・」

ん?「Little bit」?お金は「大きな問題ではない」ってことですよね。
どうやって収入を得ているのか本当に不思議。


さて、そこで彼女らはこの番組に応募し、「なんとかしてもらう」ことにしました。

ところで、自分では現状をどうしようもできなくて、藁をもすがる思いで
この番組の被験者に応募してくる肥満者はたくさんいるのだと思いますが、
テレビですので全員がその対象に選ばれるわけではありません。

しかしながら不幸中の幸い、彼女らは「年頃の、しかも双子」という
テレビ製作者から見て大変「絵になる」条件でした。

この番組にレギュラー出演している、肥満の人の外科手術を専門にする
外科医のオフィスは西海岸にあります。

番組に選ばれた彼女らはそこに行くのに車の長旅を決行。

移動中の食事はほとんどドライブスルーで注文したものを、車の中で食べます。
とにかく二人は「人目に触れたくない」のです。

「皆がわたしたちを見て色々いうので人前に出たくない」

そう言いながらストロベリーサンデーをドライブスルーで注文。

年頃の女性としてはそういう視線や軽口に耐えられないのです。

スモークハムのサンドイッチを4つ(つまり一人で二つずつ)注文。

「わたしたちのどちらが欠けても生きていけないの」

母親がドクターのオフィスで先に来て娘たちを待っていました。
緊張の面持ちでまず計量を行います。

妹のカンディの体重は587.9パウンド。266.7kgです。

姉のブランディは274キロ。

姉のブランディは自分の体重を直視することさえままならない模様だった、
と妹のカンディ。

267キロも274キロも同じじゃないか、という気がしますが、
姉より7キロも軽い?妹はちょっと余裕こいていますね。

番組でおなじみ、ヨーマン・ナウザラダン博士登場。
博士はイラン系でテヘラン大学を出ています。

いつも患者に言うように、博士はまず50パウンド(22kg)
一ヶ月の間に落とすことができたら、手術を考えよう、と言い渡します。

手術のリスクを軽減することと、患者に、自分の生活を
改善し、真剣に自分の体重に向き合う覚悟があるか試す意味があります。

長丁場の治療に備え、二人は家を借りたようです。
早速一ヶ月で22キロ痩せるために審議中。

手を自分のお腹に乗せているお揃いのポーズがちょっと可愛いですね。
太った人の番組を見ると、ほとんど全員が
自分のお腹をテーブルがわりに食べ物のお皿を置いて食事を取っています。

健気にもカロリー計算した食べ物を用意して、とにかく
これを食べ続ければなんとかなるだろうと作戦を立てます。

しかしこうなってもやっぱり自分たちで料理をしようとは思わないのね。

「とにかくわたしたち、やるしかないのよ」

不安そうなお姉さんのブランディ。

そんなブランディの顔に初めて笑顔が浮かびました。
一ヶ月食べ物を工夫しただけで30キロの減量に成功したのです。

妹のカンディは約32キロのウェイトロス。
見た目は全く変わってませんが。

しかし、博士は彼女らが減量の目的を達成したにも関わらず
検査結果が出るのを待つ間、手術を行うことを延期しました。

どうもどちらかに気になる点があったようです。

手術を先延ばしする理由、それは二人の心臓です。

「カンディ、君のEKG(心電図)はちょっと異常だった」

30キロ以上の減量をしたといっても二人とも堂々の200越え。
今の状態で手術をすることにはリスクが多すぎる、とドクター。

「一ヶ月でもう13〜4キロ痩せてください」

「がーん」(´・ω・`)「がーん」(´・ω・`)

ここに至って、二人は突然やる気モードになって料理の真似事を始めました。
カロリー計算したものを食べるだけで30キロ痩せたので、自信と弾みがついたようです。

「わたしたちの人生はまさに今やっていることにかかっているのよ!」

食べ物だけではなく、軽い運動も始めることに。
まあ、他にすることがないんですからやるしかないよね。

運動といっても、椅子に座ってベルトを引っ張ると言うだけのものですが、
それでも今まで何もしてこなかったのですから効果は絶大。

なんと、前回の計量から32ポンド(14.6キロ)落とし、
体重は226キログラムに。

「もう少しで500パウンドを切るわ!」

うーん、これが彼女に取っての「大台」ですか。

さらに、また一ヶ月後、カンディはそれから19キロ減らし、
目標の500パウンドを大きく下回る218キロに。

この嬉しそうな顔をご覧ください。

というわけで、まず妹のカンディがバイパス手術を受けることになりました。

続く。