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「君を乗せて」空自中央音楽隊〜平成30年 自衛隊音楽まつり

2018-12-03 | 自衛隊

前回、「出演太鼓チームの写真を全部上げる」としておきながら、
大変失礼なことに掲載漏れがありましたので追加しておきます。

 

この名前を付けた人はセンスがある、といつも思う、

松本アルプス太皷

長野県松本駐屯地は第13連隊が所属します。
この7月の人事で、同駐屯地からは12年ぶりとなる
普通科部隊の特技過程(前線を担うための武器使用訓練)に
女性自衛官二人が加わることになったという地元ニュースを目にしました。

市民タイムス記事

「迫撃砲を撃つしおりとさくら」って、もうこの字面だけで萌えそう(笑)

姫路城の別名「白鷺城」からその名をとった

姫路 白鷺太皷

名前といい、白に紫の襟をあしらった衣装もまた美しい。
この名前もよくお見かけするから常連チームかな?

彼らが所属する姫路駐屯地は、レンジャー部隊などが出動して

姫路城天守閣の清掃

を行ったとき、「まるでニンジャなんだけど」と
世界的な話題となったことがありました。

白鷺太鼓のメンバーにも、この時忍者呼ばわりされた
清掃作戦参加隊員がいるんじゃないでしょうか。

後掲載していないのは熊本西連太皷の写真なのですが、
前方からの写真に失敗してしまいました。

熊本西連太皷は西部方面特科連隊に所属するチームです。

 

ちなみに太鼓名を書いた幟を持つ隊員ですが、よく見ると
この長くて大きな幟をまっすぐ立ててそれを保ち続けるだけでなく、
この写真の全員による演舞の時には、幟の下方を持って
全員で、あるいはウェーブのように右から左に順番に
はためかせたりして、ものすごく仕事をしていました。

地味で当人は目立たないけど結構力がいる大変な任務だと見た。

 

さて、ここからが第4章、テーマは

「空の挑戦〜広がる、明日の空へ〜」

スクリーンにはF-35Aが映し出され

「我が国の防衛に多大なる貢献が期待されます」

というアナウンスが行われました。

自衛太皷の演奏が終わった後、中央に太鼓セットが残り、
空自音楽隊とのコラボ演奏が始まりました。


太鼓の総本山となる北海自衛太皷がその役を果たすのは当然ですが、
空自のステージということで、入間修武太鼓の奏者も加わっています。

太鼓は宮崎駿監督映画「もののけ姫」の戦闘シーンに使われた
久石譲作曲、

タタリ神

から始まりました。

久石譲のオリジナルスコアには和太鼓が指定されています。

『タタリ神』もののけ姫より

パリ公演でもちゃんと和太鼓が登場しています。
音楽まつりでの演奏はこのためにアレンジされたものですが。

自衛太皷を用いた導入は意外で、今年は趣旨替えをしたのかな?
と思ったら、その次からおなじみ白と青の衣装が登場。

同じ宮崎映画の「天空の城ラピュタ」のファンファーレ、

「ハトと少年」

に乗せて二人のカラーガードが白い旗を靡かせます。

どういう基準で選ぶのかはわかりませんが、カラーガードは
音楽まつりでの空自のシンボル的存在です。
毎年、北は北海道から南は宮古島まで、全国の航空自衛隊基地から
選ばれたたった20数名が、この音楽祭のステージを飾ります。

選考の方法はわかりませんでしたが、きっとオーディションとか
選考会とかを経て決まるんではないでしょうか。

左はソロでファンファーレを演奏するトランペット奏者。
トップを飾ったカラーガードのうち一人は、どうやら
体操部出身者ではないかと思われます。

左手に旗を持ったまま残りの片手をついて回転。
バク転ではありませんが横転でもありません。

やったことがないからわかりませんが、多分旗を持って
回転するのは持たないより難しいと思います。

主人公のパズーが城壁の上でトランペットを吹くシーンの音楽です。

メロディは原曲とは少し面持ちの違う行進曲風に代わり、
これも空自のシンボルであるストレートラッパ隊が登場。

ストレートラッパは装飾用のバトンのようなラッパのことで、
この女性演技隊をこのように呼んでいます。

ちなみに今回こんな入札情報を見つけました。4年前ですが。

航空自衛隊ストレートラッパ隊の衣装外

これも入札して外注しているんですね。
入札を執り行っているのは市ヶ谷なので、普段この衣装は市ヶ谷に
格納されているのかもしれません。

にしても衣装「外」ってどういう意味なの。

 

このマーチングの間、後ろのスクリーンにはずっと
ブルーインパルスの演技が映し出されています。

そうか、彼女らの衣装はブルーインパルスを表していたんですね。

「ゴンドアの思い出」で静かなメロディをリコーダー(多分)のソロが拭いた後、
曲は「ロボット兵」に代わり、ただならぬ騒然とした雰囲気に。

この時、後ろのスクリーンではスクランブル発進するF-15の様子が
緊迫感のある雰囲気に乗って映し出されていました。

全体の照明は赤、カラーガードが使用するフラッグも赤基調のもの。

白とブルーの爽やかなひらひらした雰囲気だけが空自ではない!
と言わんばかりの変化に満ちた構成です。

「天空の城ラピュタ」という題材そのものが空自にぴったりですし、
その中から短時間に次々と移り変わるアレンジにも感心しました。

ストレートラッパ隊の二人がその中を決然と歩んでくるこの部分のクライマックス。
この二人は戦闘機、そしてスクランブルで国籍不明機は撃退されたと(たぶん)

この後はバンドが作る円の中を白と青がひらひらと踊りまくります。

今年は下手なことをするのを一切やめ、プログラムオートにして
シャッター速度もISOもカメラさんにお任せしたのですが、
シャッター速度は1/30〜1/250の間で適度にブレてくれました。

わたしのようななんちゃって一眼持ちには実にありがたい賢さです。

これなどピントが甘すぎるとは思いますが、おかげで
ストレートラッパの回転軌跡が綺麗に出てくれました。

ヘリコプターの写真を撮る時、ローターの回転を撮るために
シャッタースピードをあえて落とすようなものですね。

この時の曲の名前がどうしても出てきません。
うちで引いている有線の「どんぐりの森のメロディ」(笑)というチャンネルを
ずっとつけていたらそのうちわかると思うのですが。

ピアノソロで「君をのせて」が始まりました。
「天空の城ラピュタ」の音楽について詳しくなくとも、
この曲を耳にしたことがないという人は少ないのではないかと思います。

バンドが風車の形を象り(難しそう)それが回転するステージを
黄緑色の旗を持った二人が縦横無尽に走り回ります。

ところで、この部分のピアノを弾いていたのは
空自の歌手森田早貴一等空士だったのに気づかれましたか?

彼女のプロフィールを改めて見ると、

「ヴォーカル&ピアノ担当」

ということで、どちらも専門として音楽隊に所属しているようです。

卒業大学は愛知県芸、つまり横須賀音楽隊の中川麻梨子三曹と同じ、
(中川三曹は確か大学院も出ていたと思いますが)
専攻は声楽なのでピアノは副科ですが、お上手だったんでしょうね。

音楽大学というところは、たまに副科も本科並みに上手い人がいるものですが。

そういえば東京音楽隊の新しいキーボーディストも確か県芸だった記憶が。
県芸、何が起きているのだ・・・。

「君を乗せて」はセンチメンタルなマイナーのメロディで始まりますが、
「さあ、出かけよう」の転調の部分から雰囲気が明るく
前向きなものに変わります。

これは、やはり宮崎作品「母を訪ねて三千里」のテーマソング、
「さあ、出発だ 今 日が昇る」の部分と同じコンセプトです。

つくづく「さあ、」って転換に便利なフレーズね。

ここで一瞬ですがカンパニーフロントを持ってくるのが心憎いじゃないですか。

後はクライマックス一直線で、今年も空自らしいスマートな中に
結構硬派なマーチングで魅せるステージが終了しました。

おっと、まだ終わってなかった。

最後に飛行機の形を作って「空の精鋭」を後半だけさらっと演奏。

いつもの「全員の上をブルーインパルスが航過」という演出はなくなり、
その代わりこの「航空機」が滑走路を飛び立つ様子が投影されました。

あのフラッグが通り過ぎる「お約束」もいいものでしたが、
この演出もなかなかスマートな空自らしくて(・∀・)イイ!!と思いました。

空自中央音楽隊が捌けると今回会場に最初から鳴っていた
「藁の中の七面鳥」(なぜこの曲?と思ったけど最後で謎が解けた)
のメロディの中、陸自の支援隊が赤絨毯を敷く作業に入りました。

これも音楽まつりの恒例として、裏方である支援隊が紹介されるのです。

まるで演技のように全員の動きは美しく揃っています。

この絨毯敷き作業も、練習やリハーサルを行うのでしょうか。

「立場は違えどこの音楽まつりに挑戦する思いで
この音楽まつり進行を陰で支えてまいりました」

紹介のアナウンスにもさりげなく今年のキーワードをちりばめて。

東部方面隊から編成される演技支援隊、敬礼です。
音楽まつりというイベントが、そもそも陸自が毎年主導で行なわれているそうです。

演技支援隊を指揮するのは第32普通科連隊の二等陸曹。

彼らが聴衆に敬礼すれば、音楽まつりはいよいよ最終章を迎えます。

 

続く。