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リスの喧嘩とワイルドターキー〜スタンフォード・ディッシュトレイル

2017-07-21 | アメリカ

当ブログと長年お付き合いいただいている方であれば、スタンフォードにある
ディッシュトレイルのリスについてご存知かもしれません。

というくらい、ここ何年か、わたしはシリコンバレーに来るたびに、
ここを訪れ、リスの写真を撮りまくってきたものです。
今年は西海岸での滞在もいつもほど長くないのですが、一度だけ、
朝7時という今まで来たことがなかった時間にカメラ持参で行ってきました。

そう、もちろんリスの写真を撮るためです。

トレイル(TRAIL)というのはもともと「引きずる」という意味があるそうですが、
アメリカでは州立公園や山間部、海岸沿い、小川沿いに、
市民が散歩したりバイクで走ることのできる小道のことをさします。

シリコンバレーはイメージよりずっと自然に恵まれていて、例えばグーグルでも
キャンパスと呼ばれる会社の敷地にヤギを飼うことのできるスペースがあったり、
すぐ近くが州立公園だったりしますし、フェイスブックも周りにトレイルがある
丘の中にポツンと建っていたりします。

スタンフォードディッシュトレイルは、高低差の大きな丘の一帯に
一周すると歩いて1時間少しの距離のトレイルを設けて解放しています。

最初にここにきた時には、いきなり足元にリスがいたのでびっくりしました。
もちろん大喜びで写真を撮りまくっていたのですが、地元民にとっては
リスなど珍しくもなんともない、雀とか野良猫みたいなものなので、
さぞかし物好きに見えていた(る?)ことでしょう。

ここにいるリスは、日本で見るシマリスとは大きさも模様も全然違う、
カリフォルニアジリス(地面に生息するリス)という種類です。

このリスでだいたい体長15センチといったところでしょうか。
シマではなく白い斑点があるのが日本人には大変珍しく見えます。

エントランスを入っていくと、まず心臓破りの坂?を登っていくのですが、
そのあと道は二手に分かれます。
右は降り、そして左はさらにきつい登り。

わたしは心臓破りの後の選択として、どうしても右に行ってしまうのですが、
ものすごいスピードで左を駆け上る人もいます。

この二人の男女は右側選択組でしたが、とにかく飛ばしていました。
カップルでマラソンにでも出るつもりかもしれません。

今回初めて早朝に来てみたのですが、期待していたよりリスがいませんでした。
しかも、カメラを向けると一瞬固まったのち、脱兎の勢いで逃げてしまうので、
望遠レンズの出番です。

花の種らしい綿毛を食べていたリス。
綿菓子みたいな感覚かもしれません。

道沿いの木に何か違和感を覚えてよく見ると、スズメバチの巣でした。

いつもは息子をサマーキャンプに送り届けてから、つまり9時ごろから歩いていましたが、
この時間はその頃と全く違い、空気がひんやりして寒いくらいです。
それが太陽が昇ると同時に猛烈な暑さとなり、昼間はとても外を歩けるような状態ではありません。

湿度が低いシリコンバレーでは、朝と夜の温度差が激しく、夜は寒くてコートが要るくらいになります。

朝早くならリスもたくさん出て来ているだろうと思ったのに、そうでもありません。
やっぱり夜行性で暗い時に活発なんでしょうか。

夜行性といえば、ここにはマウンテンライオンやコヨーテもいます。
わたしはお目にかかったことがありませんが、トレイル内に二つも
この看板があるということは、遭遇する人も結構いるのでしょう。

ただ、わたしは今回、道端にそのいずれかののものだろうと思われる
糞をいくつか発見しました。
そのいずれもがリスの毛がふんだんに混じっていたことから、
彼らの主食はどうやらリスらしいことを知ったのでした。

 

歩き出してしばらくいくと、リスの巣穴がたくさんあるゾーンに来ます。
ここでリスを見ることを期待していたのですが、今年はついに
二度目となるリスの喧嘩を撮ることができました。

いきなりX字型にがっぷり組んでおります。

残念だったのは喧嘩の場所までかなり距離があって、ピントが合わなかったこと。
レンズを調整する時間もないまま喧嘩が継続してしまいました。

彼らは巣穴の近くで餌を食べていた中くらいのリス同士ですが、
今まで遭遇した喧嘩に共通するのは、喧嘩するのは同じ大きさのリス同士です。

決して大きなリスが子リスと戦っているという構図にはならないようです。

そして、必ずどちらかが圧倒的に強く、強い方がそうでない方を押さえつけます。

しかし、弱い方もやられっぱなしではありません。
背中に乗って反撃を試みますが・・・

「ていっ!」「やられたっ!」

ということで、この表情です。
わたしはこの写真を見て鳥獣戯画を思い出しました。

倒れたリスが体制を立て直す前に飛びかかろうとするリス。

飛びかかられた方は逃げ出しました。
しかし、なんで喧嘩なんてするんだろうなあ・・・。

ここで終わらず、強い方が追いかけて行ってだめ押しの乱闘があったのですが、
その時彼らはわたしのカメラに気がつきました。

「・・・・・・」「・・・・・・」

外敵がこちらを狙っているのに、俺たちはなぜ今まで喧嘩なんかしていたんだ。

・・・・とか?

まあ、人間でもミサイルが隣国から飛んで来ているのに、マスコミと結託して
自分の国の政権を転覆させることしか考えていない人たちもいますので、
リスのことを愚かだと決して笑えません。

どうしてリスが少ないのかといいますと、このとき空には
トンビなどリスの天敵が獲物を探して旋回中だったからです。

朝早い時間は鳥のご飯タイムというわけです。

こちらの鳥さんは、地面におりて、盛んに足を踏みならしていました。
何をしているのだろうと思ったのですが、もしかしたら足で音をさせて、
出て来た虫を食べようとしていたのではないかと思われます。

 

もしそうだったら賢い鳥だなあ。

半分くらい歩いたところで、トレイルの名前になっている「ディッシュ」が出て来ます。
大型のアンテナがここには二つあるのでディッシュトレイル、というわけです。

スタンフォードディッシュという名前ですが、大学とは関係ないと思われます。

その時、遠くにワイルドターキーの一団を見つけ、
わたしの胸が高鳴りました。

朝早いとこういう大型の鳥類も見ることができるようです。

ところでさきほどの写真をみていただければわかりますが、

「ワイルドターキーに遭遇したら」

という注意書きがあり、

●近づかないこと
●大型のワイルドターキーは大きな音を出せば逃げる

(ちなみにこの看板の’deterred'のスペルが'detered'となってます)
●向きを変えて反対の方に逃げること

とあります。

ということは、結構どう猛な鳥とされているみたいですね。

わたしが前回別の公園で遭遇した一団も、今回も、こちらが何もしなければ
襲う様子もなく、むしろゆっくりとではありますが逃げていく様子です。

唯一、このターキーだけがこちらをガン見して、何か怪しい動きをすれば
その時はこの俺が黙っちゃいないぜ的な空気を濃厚に醸し出しておりました。

わたしが写真を撮っていると、歩いていた他の人たちも立ち止まり、
何人かはスマホで写真を撮っていました。

今時は下手に小さなデジカメならスマホの方が画像が良かったりします。

慌てず騒がず。
ゆっくりとターキーの一団は、悠々と見える様子で歩いていきます。

ところで、日本でワイルドターキーと調べると自動的に「七面鳥」となるのですが、
七面鳥とワイルドターキーは全くシェイプが違いますよね。

四羽のターキーの後ろ姿。

そういえば、今年の夏のアメリカではやたらビートルズが取り上げられてまして、
なぜか写真集なんかがたくさん発売されているみたいです。

トレイルには高低差があるので、もっとも高いところまで登ってくると、
スタンフォード大学のフーバータワーが
こんな風に下の方に見えます。

ニコン1(いつのまにか代替わりして今のはV3)の望遠レンズを今回駆使しましたが、
思いっきり寄せて撮ったリスの瞳に自分が写っているので感動しました。

空にはまだ鳥が旋回していたので、いつもは柵の上にたくさんいるリスも、
今日はこの子たった一匹だけでした。

こういう時にいつもどおりに見つかりやすい場所にいるリスって、
危険を認識していないのか、
それとも自殺願望でもあるのか・・・・。

つい最近、「イルカは自殺する」(水の底に潜ったまま呼吸をせずに自発的に死ぬらしい)
という話を聞いて心からショックを受けたばかりなので、ついこんなことを考えました。

ちなみにイルカの場合、自殺の原因はストレスや絶望感などで、飼育されている場合、
飼育員など自分が親しかった人間に事前に別れを告げてから死ぬそうです。

なんて悲しい話なのー! 

というわけで、今年のスタンフォードのリスについてのご報告を終わります。