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スペースシャトル「エンタープライズ」〜イントレピッド航空宇宙博物館

2016-02-24 | 博物館・資料館・テーマパーク

「イントレピッド」航空『宇宙』博物館という名称は、
このハドソンリバー沿いの空母を利用した広大な博物館に、
宇宙関係の「あるもの」が展示されているからこそつけられたものです。

それが、冒頭写真のスペースシャトル「エンタープライズ」。

アメリカという国の桁外れな部分だと思うのですが、こんな超弩級の歴史の証拠が、
もし民間に払い下げられて展示されるということになったら、他の国、例えば日本なら
これ一つだけで「エンタープライズ博物館」でも作って公開することでしょう。

ところがここでは、空母の上に特別コーナーを作って、他のものと一緒に
あっさりと公開しているというこだわりのなさ。



「イントレピッド」の元艦尾だった部分。
ガラス張りになっている部分は、ここから外を望むことができ、
気が付きませんでしたが、もしかしたらここにレストランでもあったのかもしれません。
もちろんガラス張りの部分は博物館になってから改装されたもので、
さらに航空甲板の上に積み重ねるようにして大きな格納庫のような展示室があります。



この部分を、今までお話ししてきた航空機が展示してある甲板から見たところ。
わざわざスペースシャトルを展示するために、専用の建物を増築したのです。

スペースシャトルを見るには、本来の観覧券とは別料金が必要となり、
入り口でチケットを買う際に、博物館のとスペースシャトルの分がセットになっているものを
選ばなくては、右側の扉の内側に係員がいて入れてもらえません。



さすがはアメリカ、流しっぱなしのモニターにも手を抜きません。



この博物館では、ハッブル宇宙望遠鏡の画像などを直接取り入れて
解析したり説明するキュレーターが駐在しています。

たとえばこの1月10日に行われたばかりのイベントは

「教育デモンストレーション・ハッブルは何をするのか?」

と題して、元スペースシャトルの乗組員と共に画像を見ながら
説明を聞くというものですし、定期的に

「ラストミッション・トゥ・ハッブル」「ハッブルと我々の変わりゆく宇宙」
「ハッブル・アンド・ビヨンド!」(ハッブルだけでなく)

といったようなテーマでの大々的なイベントが持たれています。
ことに青少年に対する教育プログラムは大変充実していて、次世代の興味を
科学宇宙に向けるための熱意の深さを思わせます。


ハッブル宇宙望遠鏡は地上約600km上空の軌道上を周回していますが、
そもそも最初にこれを打ち上げたのはスペースシャトル「ディスカバリー」。

そう、つまりここにその機体が展示されているディスカバリーが、
1990年に宇宙に打上げて以来、順調に地球に宇宙の映像を送り続けているのです。

ハッブル望遠鏡の実際の大きさはちょうどバスくらい。
今までトライされた宇宙望遠鏡で最も成功を収めていると言われ、
軌道を回っている今も、スペースシャトルが何度かこの望遠鏡を訪れ、
宇宙飛行士が観測装置を補修したり、新しいカメラなどを取り付けてきました。

ハッブル宇宙望遠鏡が人類にもたらした大きな成果は、

銀河系を取り巻くダークマターの存在を明らかにした

多くの銀河の中心部にブラックホールがあるという宇宙モデルの確認

ダークマターなんて、恥ずかしながらスターウォーズの世界の話かと思ってました。
普通に構成物質のことだったんですね。ってそっちはダークサイドや。



NASAがイントレピッド博物館に引退したスペースシャトルオービター
「OV-101」を譲与したという証明。



まずですね、なぜこんなコーナーがあるかなんですが。

これはいうまでもなく「スタートレック」の出演俳優たち。
普通の格好をしている今は亡きレナード・ニモイがあまりに普通の人なのでびっくり。

このころのアメリカのSFものには「困ったときの日本人」という言葉があり、
難問を解決したりする「智慧者」としてのキャラによく日本人が登場しまして、
初代困ったときの日本人、「ヒカル・スールー」(日本人とフィリピン人のハーフ)
を演じたジョージ・タケイの姿が写真に見えます。 

それはともかく、スタートレックのファン「トレッカー」であれば、
スペースシャトル第1号の「エンタープライズ」という名前が、「スタートレック」の
宇宙船と同じ名前であることはとっくにご存じでしょう。

当初、この第1号機には憲法発布200年を記念して「コンスティチューション」という
名前がつけられそうになっていたのですが、あまりにも

「(そんな面白くない名前より)エンタープライズにしろ」

という声が多く、当時の大統領、ジェラルド・フォードが決断を下す形で
この名前になったということを説明しているわけです。
いかに当時「スタートレック」が人気があったかということなのですが、
それよりこんな国民だから、次の大統領に、もしかしたらトランプを選ぶかも、
と思ってしまうわたしがいる(笑)

説明が遠すぎて全く読めないのですが、どうやら「スタートレック」の俳優が
写真を撮っているのは「エンタープライズ」の前みたいですね。



歴代スペースシャトルについての詳しい説明もこんな風に。
そういえばコロンビアの爆発事故のときに、わたしはアメリカにいました。
もちろん大事件として扱われていましたが、日本のように
犠牲者の家族にインタビューするような湿っぽい報道はあまり見なかったと記憶します。



スペースシャトル輸送機の背中に乗ったエンタープライズ。
何かの冗談?といいたくなるくらいキュートな眺めですが、エンタープライズの
初飛行は、このように輸送機の背中に乗って行われました。

この写真は、「エンタープライズ」が「イントレピッド博物館」に
嫁入りすることが決まり、そのお披露目として、2012年4月24日、このように
ボーイング747の背中に乗せられて、ニューヨーク上空をデモ飛行しました。



そして、今その機体はこうやって展示されています。
「エンタープライズ」は軌道にハッブルを打ち上げるなどの任務を果たしましたが、
結局宇宙に行かないまま終わりました。

スタートレックの宇宙船の名前をつけられただけあって、チャレンジャーが爆発した時
これを改装して宇宙に送ることが計画されはしたようですが、
結局「エンデバー」の建造がご予算的にも合理的ということで見送られました。



「エンタープライズ」を見るには、建物の天井付近に宙吊りのようになっている
機体の周りを取り囲む通路に階段で上って行きます。
これが一番彼女に近い距離となるわけですが、もちろん触れられないように
ガラスで保護されています。




この素材なんですが、なんというか、金属ではないしまるで硬化ゴムみたい。

赤い文字の描かれた穴はリリーフバルブとありますが、余剰の空気を
バイパスさせるためのバルブ、ということなんでしょうか。



"FAILURE IS NOT AN OPTION"(失敗は選択肢にない=許されない)

って聞いたことありますか?
「アポロ13」の映画では、確かエド・ハリスが決めていたセリフです。
もしかしたら縁起の悪い13番目のアポロが故障で帰れないかもしれない!?
となったとき、映画ではNASAの皆さんがこの言葉を合言葉に頑張るわけ。

しかし、これはエドが演じていたジーン・クランツのセリフではなく、
この映画のためのキャッチフレーズだったというねorz

あたしゃケネディ宇宙センターにいったとき、このセリフが書かれた
アポロ13のマーク入りカープレートを思わず買ってしまったというのに、
日本では付けることができないばかりか、オリジナルでもなかったと・・。

それはともかく、ここに大きく「フェイリアー」(失敗)と書かれているのは、

ハッブル・テレスコープ

「STAR CROSSED」

NASAの15億円無駄遣い

という、まるで映画の宣伝のように皮肉られたニューズウィークの特集。 
まあ、無駄遣いで恥ずかしい失敗と捉える向きもあったってことでしょうか。



こちら、宇宙飛行士のトレーニング用プールの再現。
もちろん水はありません。



プールのように囲まれた壁の内部では、宇宙飛行士が水中を
宇宙の無重力状態と仮定して行うトレーニングが紹介されていました。
油井さんもこんな訓練をなさったんでしょうね・・。
そういえば、油井宇宙飛行士の任務は昨年の12月15日で無事終了しました。



なぜかソユーズTMA-6が持ち主からの貸し出し(持ってる人がいるって一体)により
ここに展示されています。 

ソユーズは国際宇宙ステーションと(つまり連合軍)往復するためのミッションで、
史上26回目の有人宇宙飛行となりました。
2005年4月15日打ち上げられ、半年後地球に帰ってきました。
宇宙滞在中にはISS(国際宇宙ステーションのこと)と結合したり分離したり
結合したり分離したりしたそうです(適当)

 

その時のソユーズ。
この時のソユーズは、イタリア人の飛行士とアメリカ人、ロシア人を載せて行き、
それまで滞在していた別のロシア人(1)アメリカ人(2)を乗せて帰りました。

昔、米露で宇宙競争をして国力を削ぎあっていたとは思えませんね。





おまけ*なぜかここにあったサンダウナー仕様のファントム。


続く・・・・かもしれない。