◎日本大衆の深いレベルの情動動かす
(2015-10-09)
出口王仁三郎の霊界物語全81巻で、入蒙記は別巻とされ、特別な位置づけである。なぜそうなのか。理由がようやくわかった。
出口王仁三郎は、未決囚でありながら、裁判所の許可を得ないまま、合気道の開祖植芝盛平らを伴い国外の蒙古に飛び出し、蒙古を教化しながら数か月の布教の旅をしているところ、張作霖軍によって捕らえられ、パインタラにて、一行全員が刑場に引き出され、銃殺寸前まで行った。辞世の句まで詠んだ。
そこで幸運にも生還できるのだが、その強運故に別巻としたのではない。帰国後日本国内では、英雄が帰国したが如き大報道をされ、大いに歓呼された。その後99日間収監されたのではあるが。
出口王仁三郎は、パインタラで逮捕された時に、「大成功だ」と叫んだという(出典:新月の光(上巻)/木庭次守P139)。
これこそが、入蒙記が別格となっている理由。出口王仁三郎は、この冒険で日本において英雄として歓迎され、日本全土にその名をポジティブに伝播することに成功したのだ。イエスの十字架刑が世界席巻のきっかけとなったように。
この事件が、日本大衆の深いレベルの情動を彼に向かわしめたのだ。