を聴いたか? というコピーをどこかで見たように思いますが、私は、ファジル・サイを見たか?と言いたいところです。もちろんCDを買って聴くのでも相当衝撃的ですが、見たらさらにすごかったというのが、コンサートでナマを見聴きして思った感想です。これほど全身全霊で音楽に没入し、聴衆をもミューズの神の世界に一緒にひきずり込むような演奏は見聴きしたことがありません。いや、よくあるような、真上を向いて瞑想して弾いていたかと思うとカッと目を見開いて鍵盤に顔面を打ちつけんばかりにガガーンとやる、などの「どっかで見た」ような入れ込み方ではないのです。比喩的に言うと、あちらの世界に行ってしまった憑依した巫女のようなところがあります。しかしおどろおどろしいのではなく、こんなに心のきれいな人はいるんだろうかと思わせるようなやさしい表情と心配そうな表情が交代し、そのため彼一人でなくこちらも一緒にミューズの世界にひっぱりこまれる思いでした。体の動きは大きく、向こうの壁を向いたりこちらを向いたり、体をひねってほとんど後ろを向いて瞑想しながらの演奏場面もありました。演奏はもちろんCDから想像されるユニークなものでしたが、視覚的スタイルと融け合って極めて個性的なものでした。個性は強すぎると合わない場合もあるものですが、彼の個性には私は共感を感じます。
曲目はモーツァルトイヤーを反映して前半が「きらきら星変奏曲」「トルコ行進曲付きソナタ」、それに「幻想曲ニ短調」のところを急遽変更してバッハの「パッサカリアとフーガハ短調」。後半がバッハ=ブゾーニのシャコンヌニ短調と熱情ソナタ。曲目変更の意図はわかりませんが、変更により演し物全部が「変奏曲」になりました。またこのパッサカリアとフーガは譜めくり人をつけて楽譜を見ての演奏でした。暗譜する前のレパートリーを披露してくれたことになり、嬉しく思いました。演奏はあまりにユニークで、細かく書くと長くなるので書きません。ぜひコンサートに行ってください。
アンコールはかの「ブラック・アース」と自身の編曲による「サマー・タイム」と「トルコ行進曲ジャズ版」という盛り沢山。カプースチンのようなすごいスピード感を随所に含む超絶技巧を披露してくれました。メインプログラムがヨーロッパものばかりで彼の故郷のトルコ物も聴きたいと思っていた矢先なので、ブラック・アースには「待ってました」という気分になりました。この人、この先もっと有名になるはずだから、そのときブラック・アースはラフマニノフにとっての「前奏曲嬰ハ短調」みたいになるかもと思いました。ラフマニノフはアンコールの最後にこの前奏曲を弾き、聴衆は「待ってました」とばかりに最初の三つの音が鳴ったところで拍手を入れたといいます。ブラック・アースも私は最初の和音のあと心の中で拍手を送りました。
曲目はモーツァルトイヤーを反映して前半が「きらきら星変奏曲」「トルコ行進曲付きソナタ」、それに「幻想曲ニ短調」のところを急遽変更してバッハの「パッサカリアとフーガハ短調」。後半がバッハ=ブゾーニのシャコンヌニ短調と熱情ソナタ。曲目変更の意図はわかりませんが、変更により演し物全部が「変奏曲」になりました。またこのパッサカリアとフーガは譜めくり人をつけて楽譜を見ての演奏でした。暗譜する前のレパートリーを披露してくれたことになり、嬉しく思いました。演奏はあまりにユニークで、細かく書くと長くなるので書きません。ぜひコンサートに行ってください。
アンコールはかの「ブラック・アース」と自身の編曲による「サマー・タイム」と「トルコ行進曲ジャズ版」という盛り沢山。カプースチンのようなすごいスピード感を随所に含む超絶技巧を披露してくれました。メインプログラムがヨーロッパものばかりで彼の故郷のトルコ物も聴きたいと思っていた矢先なので、ブラック・アースには「待ってました」という気分になりました。この人、この先もっと有名になるはずだから、そのときブラック・アースはラフマニノフにとっての「前奏曲嬰ハ短調」みたいになるかもと思いました。ラフマニノフはアンコールの最後にこの前奏曲を弾き、聴衆は「待ってました」とばかりに最初の三つの音が鳴ったところで拍手を入れたといいます。ブラック・アースも私は最初の和音のあと心の中で拍手を送りました。
面白い企画を企てるピアニストだなと認識しておりました。
本番で楽譜めくりで弾いた話題もいろいろなブログで批評がありましたね。
ところで、事後承諾になってしまいましたが、Pf.の<詠里庵>でのショパン熱に触れて非常に共感を覚え、弊ブログにRSSさせていただきました。半分クローズドで綴っておりますが、RSSの件ご了承のほどお願い申し上げます。