詠里庵ぶろぐ

詠里庵

久しぶり

2005-09-24 08:51:30 | コンサート・CD案内
のCD紹介です。まずは当然ピアノ音楽が好きなのですが、古今のピアニストにかけてはもうこの人にお任せというスペシャリストを何人も知っています。たとえばPianophiliaブログ。この方には入手困難な貴重音源を聴かせてもらったりしてお世話になっています。

そこでここではピアニストの紹介というより曲あるいは作曲家に焦点を当て、ピアノ曲に限らず紹介して行こうと思います。書いてる時点で購入可能なものに限りたいと思います。今日紹介するのはNHK-CD(KICC3024)「尾高賞受賞作品2」の一枚。中身は

(1)矢代秋雄「ピアノ協奏曲」(1967)
(2)湯浅譲二「クロノプラスティック」(1972)
(3)松村禎三「管弦楽のための前奏曲」(1968)
(4)柴田南雄「コンソート・オブ・オーケストラ」(1973)
Pf:中村紘子(1)、指揮:岩城宏之(1)(2)(4)森正(3)、NHK交響楽団

お奨めは(1)と(2)。特に(1)は大変美しく躍動感もある曲。世界的には有名曲ではありませんが、現代ピアノ協奏曲の代表的古典(変な言い方?)に位置づけてもおかしくない曲ではないでしょうか。最初から最後まで心が寸分も離れることなく、ハマってしまいます。完成させるの時間かかったろうなと思わずにはいられない、無調気味の不思議な和音の連続と緻密な構成。1976年に46才で亡くなった矢代は大曲は片手で数えるほどしか残していない寡作な作曲家ですが、どれも本当に緻密。

(2)は「オーケストラのための可塑的時間」の和名を持ち、初演の放送にかじりついて聴いた懐かしい曲。これは上記4曲の中では最も前衛音楽的で、メロディー・コード・リズムを三要素とするミュージックとは対極にある、音の彫刻作品です。空間それぞれの地点に固定された彫刻のような出だしと空間がねじれて行くような後半の対比が面白いですね。

(3)は松村禎三の作品としては私の好きな方。バッハのフーガのように単旋律から何重にも重なる声部に進む音楽は、無調にしても味わいがあります。

(4)もいい曲で好きですが、前年の(2)があるので、影響受けたんじゃないかと思ってしまうのを禁じ得ません。

どれも ー 少なくとも(1)(2)は ー 歴史に残ってもらいたいもんです。
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