詠里庵ぶろぐ

詠里庵

ツィメルマン

2006-05-05 22:52:09 | コンサート・CD案内
公開講座を聴きに行きました。開演15分前に新宿文化センター着きましたが、大ホールの1階は満席で2階しか空いていませんでした。それもほどなく満席。カップルの多い普通のコンサートと違い、ピアノを勉強しているとおぼしき女性が圧倒的多数。この人達は一斉に楽譜を取り出しメモを取ったりしていました。あとは普通通り一般の音楽ファンと思われる老若男女が連れをなしていました。もう一つ特徴的だったのは、連れもなく単独で真剣な顔つきの青年壮年中年男がチラホラいたこと。このがさつな男達はきっと私と同じピアノヲタク達と思われます。

 ステージに現れたツィメルマンは、私服でした。ああ、彼も我々と同じ人間なんだ、という感じがしました。ところでよく見ると、ノーネクタイのジャケットスーツにリュックサックを背負っています。これって誰かさんの通勤スタイルと同じではないか。リュックには何が入っているのかと思いきや、後半のステージでやおら取り出したのはPowerBookと白い電源! そこまで誰かさんと同じか!と感激しました。

 さて、公開レッスンやNHKのピアノレッスン番組などで理想的な展開は何でしょう? まず生徒(モデルピアニスト)が一曲を通してミスもない素晴らしい演奏をします。しかし何かもっと良い演奏があると感じられます。でも具体的にどこがどうしっくり来ないのかわかりません。そこでマエストロ先生のレッスンとなり、今度は途中で遮っていろいろ指導を始めます。それを聴いて、なるほど、そこをそう改善すればいいのか。全体の構成もそうすればいいのか。目から鱗! という展開が理想的です。

 そのためには、もちろんアルゲリッチのようなピアニストをモデルピアニストに持ってくるわけにはいきません。それではレッスンが成り立ちません。NHK番組の生徒さん達は、この目的に合致する生徒さん達をうまく選んでいると思います。

 今回のモデルピアニストが関本昌平と聞いて、どのくらいレッスンとして成り立つのか、私は少し不安がありました。彼のピアノはまだ聴いたことはなかったのですが、ショパンコンクール第4位というのは、場合によっては1位の人より将来性があることは歴史の証明済みだからです。

 その予感は半分は当たったような気がします。初めにショパンのピアノソナタ第2番を通して弾きましたが、それは見事な、素晴らしいものでした。このまま彼の演奏が続いて2時間のリサイタルになったとしても、8,000円払ったことに不満は覚えなかっただろうと思われるほどでした。
 ツィメルマンもしきりに「彼が完璧な演奏をして何もコメントすることがないという、レッスンとして最悪のことになったらどうする、とスタッフと話しましたが、まさにそれが起きたようです」とか「これから言うことはそういう別の解釈もあり得るという話です」などと言っていました。

 そう言いながらもツィメルマンのしたコメントは大変興味深いものでした。それについては、ちょっと長くなりましたのでまた後日続きを書きます。

コメント
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