Luna's “ Life Is Beautiful ”

その時々を生きるのに必死だった。で、ふと気がついたら、世の中が変わっていた。何が起こっていたのか、記録しておこう。

新刊書案内  「あなたのおじいさまはねぇ」

2013年04月15日 | トリビア






最新刊をご紹介します。自民党と民主党タッグでの壊憲に反感を持たれる方々にぜひとも読んでいただきたいブックレットです。

 

(以下引用文)-------------------------




今日は、昔、私の親しんだ方のお話をしようと思って伺ったわけでございます。昔々、われわれ日本人は戦争をしておりました。まわり近所に背を向けて戦争をしていた。それでなんとかして平和を取り戻さなければいけないというのが私の夫(三木武夫元首相)やそのお友だちの意見でございました。


一所懸命平和を唱えておりますと、官憲の目が光って、特高警察なんていうのが跡をつけ回すんですね。それで、それをまいて、真夜中になってから家にいらして、こそこそっと握り飯などを食べて、また闇の中へ消えていくというようなお友だちもございました。


でも私は、数少ない、そういう平和を願うお友だちは非常に大事にしなければいけないと思って、真夜中でも急いで何かお腹にたまるものをと心がけていたものでございます。ほんとうに、ほんとうに苦労して一所懸命に、平和のために働いている方が多うございました。


いま総理大臣をやってらっしゃる安倍晋三さんのおじいさまの安倍寛さんという人も、ほんとうに熱心に平和を説いていらしたのです。


でも、安倍晋三さんが総理大臣になると、すぐにその系図が出ましたけれども、安倍家のほうは一つも書いていなくて、お母さまのお里のことばっかり。岸家の孫だとかなんとかって書いてあるんですね。私にとっては、どうも何かが足りない。反対なんじゃないか。やっぱり、安倍(寛)さんのお孫さんなのだから、安倍(晋三)さんのお父さま、おじいさまのことをもっと語るべきではないかと思ったわけでございます。


けれども、新聞はそれを書きませんでした。そうなったのは、発表がなかったのではないかと思います。新聞社の人は、そんなに嗅ぎまわってものを書こうという態度ではない、発表されたままを書く。ということは、安倍家のほうはもうご先祖さまではなくて、岸家だけがご先祖として堂々とつながっている、という感じだったのかもしれません。


でも、私は、今の安倍総理のおじいさま(安倍寛氏)と親しゅうございました。仲良しにしていただいておりました。というのは、あの方は一所懸命平和を説かれたのです。日本中で、こんな戦争をしてはいけないのだ、平和でなくてはいけないのだ、ということを一所懸命説いていらっしゃいました。特高警察などが跡をつけ狙って、演説会では何かっていうと「弁士注意!」なんて、大きな声をお巡りさんがあげるんですね。でも、そんなことをかまっちゃいないで、一所懸命、一所懸命、大衆に向かって、いま日本はどうあるべきかということを説いていらした安倍寛さんという人の姿を思い浮かべます。


背がすらりと高くって、あんまり肉付きはよくなかったのですけれども、がっちりした体つきの方でございました。安倍寛さんには奥さまがいなかった。だから、ご自分のお家へ帰っても誰もいないから、夜遅くなって、「ああ、お腹すいた。奥さん、頼む」なんて言って入ってらっしゃるんです。私のところにいらっしゃれば、すぐ三木が迎えて、二人で非戦論を語ることができるというので、よく来てくださったんですね。三木と二人で、戦争をしないためにはどうしたらよいか、この戦争を避けるためにはどうしたらよいか、ということを相談しておりました。


歳にすれば、私と安倍さんはいくつくらい違ったんでしょうか。二十歳くらい違ったのかもしれません。安倍寛さんの立派なお話を聞いていると、おっしゃることはとってもわかりやすくて、すばらしい方に思いました。立派なことをおっしゃっているなと思いながら、一所懸命に聞いておりました。そして、少しでもあるものをとっておいて、明日いらしたら、安倍さんに食べさせたいと思ったくらいです。


というのは、その頃はだんだん食料が少なくなってきておりまして、なかなか美味しい牛肉も手に入らないし、新鮮なお魚も手に入りにくくなっておりました。少しでも栄養のあるものは、安倍さんのために、あるいは三木武夫のために、そして夜中にこそこそっと食事をして、また闇の中に消えて行く人たちのために、取っておきたかった。


私は歳がだいぶ隔たっておりましたから、話が分かったような、分からないような、なんでございますけれども、何かそうしたお方たちのやることに共感を覚えるというか、敬意を表して、せめてなんとかしてお腹の足しになるようなものをと思って、一所懸命心がけていたものでございます。


安倍寛さんは、いつも何にも不服をおっしゃらずに、食べたらすぐに「さあ行こう」と言って、また闇の中に消えておしまいになりました。私は、ご苦労さまだなあと思いながら、どうぞまた今晩、また明日、というようにしてお見送りをしたものでございます。あの方がいったん口をついたらほんとうに凛々しくて、素敵な演説をなさっているのはよくわかっておりましたから、安倍先生のいらっしゃるときには、本当にできるだけのことをして差し上げなければいけないと思っておりました。


安倍さんは奥さまもいらっしゃらず、孤独で一所懸命日本中を走り回って、国民のために、あるいは、将来の日本のために働いていらした人でございます。帝国議会の衆議院議員でしたが、1942年の翼賛選挙では、三木と同じく翼賛政治体制協議会の推薦を受けずに当選し、当時の軍部主導の議会を厳しく批判してがんばられた方です。


それを、今の新聞は何も書いてくれない。私はもう、腹が立って仕方ありません。もっともっと、新聞社の人がそこまで書いてくれれば…おじいさまの安倍寛さんがこういう方だったということを、この平和な日本をつくるためにどんなにかご苦労なさったのかということを、書いてほしかったのです。


今の私たちに、戦争も知らない、ほんとうに平和な時代をつくってくださったのは、安倍寛さんたちだったと思うのですけれども、それを新聞は一つも書かない。私は、新聞社の人は若いから何も知らないんだ、どうしてこれを教えてあげる人がいなかったか、と考えてみました。でも、いまや新聞社の社長だって何だって、みんな戦後に生まれた若い人ばっかりなのですね。戦後60年ですから、そろそろもう定年退職しなければいけない人たちが、新聞社を支配している。それじゃどうにもならない。


私は、少しでも声を大にして安倍寛さんのことを申し上げたい。こういう人が立派な言葉で、国民のために平和を説いたことを、皆さまにも知っていただきたいと、心から思います。

 

 

 

 

(「あなたのおじいさまはねぇ」/ 三木睦子・談/ 「いま、憲法の魂を選び取る」・岩波ブックレット№867 より)



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新聞社は嗅ぎまわって何かを書くのではなく、発表されたことをそのまま書く、っていう感想が、3・11原発災害以降のわたしたちには、ずしんと響く言葉ですよね。



この文章は、2007年6月9日、安倍さんの最初の政権時代に、9条の会の学習会で語られた、三木武夫元首相の奥さまのお話です。



このブックレットは、税込み525円のたいへんに財布にやさしい刊行物です。「壊憲」に向けて濠を埋めて行く第二次安倍政権の対米隷属外交への強烈な怒りを込めて、ぜひお勧めしたいです。大きな本屋さんでしか購入できないかもしれません。セブンイレブンで受け取れば送料、手数料なしで買えますので、ぜひネットでご注文ください。






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四月に想う

2013年04月03日 | 一般







■ 出発の季節




言葉の持つ ふしぎな響き


たとえば… 出発


なんという明るい匂いだろう

 




けれど 遠いむかし


暗い響きを帯びる出発もあった

 




この地球が砲煙弾雨に包まれた日だ


… ひとびとは死への道を出発し続けた

 




出発 という心打つ言葉に


いつでも 明るさを持たせたい


さわやかな喜びと光を担わせたい

 




未知なるもの に向かう道を


四月 あなたが出発する


わたしも 花を求めて出発する


目立たぬ草木にも 


春は花を恵むのだ

 

 

 



「行為の意味」/ 宮澤章二・作


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ひとは誰のために生きるのだろう。

 

ひとはみな自分のために生きる。


どこかよその軍事大国のためじゃない、


会社のためでもない、


誰かの利益のために、自分を犠牲にしてはならない。


悲壮な死に美を見いだすひとたちは、


死ななければ自分は認めてもらえないことを、内心ではとても怒っている。


そんな暗い人生を送ってはならない。


誰に認められなくても、ひとはみな偉大な存在だ。


人間といういのちを一生けんめい生きるひとはみな、


未知なるものに、怖れをふり切って立ち向かうひとはみな、


すごい存在だよ。


だから、


わたしたちを、犠牲の死を遂げたり、


英雄的な殺人を行うよう追い込む社会を作ってはならない。


すごいわたしたちをむだに死なせてはならないから。




 

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