Luna's “ Life Is Beautiful ”

その時々を生きるのに必死だった。で、ふと気がついたら、世の中が変わっていた。何が起こっていたのか、記録しておこう。

原発のコストのからくり

2012年12月02日 | 反アメリカンスタンダード宣言







ヤフーブログで、石原慎太郎フリークに、原発がなければ日本経済は立ち行かない、とボケている人物に絡まれています。しかしそのような言説がそれらしく広まっているのであれば問題だと思います。もちろん、多くの人びとはそんな言説に振り回されてはいないでしょう。しかし、うちのヤフーのほうのブログに絡んでいる人物のように本気で思い込んでいる人びともおり、橋下の「ファシス党」が人気を得ている日本の現状ですから、ちょっとこんな資料を提供しておこうと思います。以下はヤフーのほうでアップした記事のコピーです。







 日本の火力発電はほとんどが天然ガス、LPガスで動いている。天然ガス火力の発電は、発電単価でみれば一目瞭然だが、圧倒的に原子力発電より安い。さらに安いのは石炭火力。日本では高騰する石油ではほとんど火力発電に使われていない。


ではなぜ、日本の発電で燃料費が増えているのだろうか。また、日本の電気料金が世界で最も高額なレベルだと言われるのはなぜだろうか。それは国家による電力会社優遇制度があるからだ。「総括原価方式」といわれている。



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アメリカでは、原発よりLNG(ガス)火力のほうがはるかにコストが安い。だからアメリカでは、電力会社がコスト高の原発よりも、石炭火力とガス・コンバインドサイクル(ガス火力発電システム)が大普及してきたのである。


その後、アメリカで新規の原発建設計画が打ち出されてニュースになったが、それも政府の補助金が付かなければ電力会社は原発を建設できない、というのが実情だ。さらにいまアメリカでは、「シェール・ガス革命」によるガス価格の急落が起こっており、現在ではコストの安さではガスが圧倒的に優位になっていて、原発建設は論外になっている。

ところが、低価格のはずのガスが日本では、アメリカでの価格の8倍の値段で輸入している。これは国際市場原理を無視した日本の電力会社の怠慢経営が原因である。

その原因とは「総括原価方式」にある。電力会社は公益事業者であるという理由から、、国家から保護を受けており、今もって3%の利益率(事業報酬率、あるいは適正報酬率とも呼ばれている)が保障されているのだ。

一般企業であれば、原価を圧縮して利益率を高めようとする。
(註:原価が100、利益が12だったとする。原価を90に圧縮すれば利益12の原価に対する割合は大きくなる。)

ところが日本の電力会社は、原価に対して一律3%の利益率が政府によって保証されている。
(註:つまり、原価が100であるよりも200であった方が、原価に対する3%の利益率により、利益は3から6に増える。これが日本の電力料金が世界一高い事情をつくっている原因。)

かつては、この利益率が8パーセントだった。だから、原発建設費 + 運転・維持費 + ウラン燃料費 + 使用済み核燃料(高レベル放射性廃棄物)の処分費用 + 廃炉費用 + 地元への交付金・寄付金+メディアによる「安全神話」宣伝費などで出費がかさめばかさむほど、浪費すればするほど利益額が増えて儲かる仕組みになっている。

したがって電力会社は、一般企業が必死になって払っている原価を縮小しようという努力をまったくしないでも、寝ていても利益が転がり込んでくる。そのため、アメリカの8倍もの輸入価格で天然ガスを購入しても、痛くもかゆくもない。痛いどころか、出費がかさめばかさむほど利益額が増えるのだ。

だからガス料金を下げる努力をしなくても、その出費分は消費者の電気料金に転嫁するのである。われわれ消費者が、電力会社の怠慢のツケを支払っている、というわけだ。これによって関連業界が潤うというのだから、ネズミ講の詐欺と呼ばずになんというか。

なぜガスを世界市場価格の8倍で買うのかといえば、石油価格との連動性になっていて、ガスを石油の値段で買う仕組みになっているのだ。

こうして電気の原価が高くなればなるほど、電力会社は利益を増やしてきた。これが安いはずのガス火力発電の焚き増しのために費用がかさばった理由だ。そしてこれが電気料金の値上げに直結した。



原発推進者たちが二言めには、「原発がなければ、電力コストは上昇する」と主張して、この脅しを受けたかなりの企業が「原発必要論」に傾斜している。いわく、「全国の原子力発電所の運転停止が長引いた際、来年の夏は、全国的に電気料金が10パーセントほど上がる。経営合理化ではこのコストを吸収できない(2012年5月21日、枝野幸男経済産業相)」などというのは、もちろんこの「総括原価方式」を知ってのことだから、私は電力会社とメディアと経産省と政治家はグルだというのである。

逆に、原発を維持していることが、どれほど電力会社の経営を圧迫しているか。

電力会社が一年間に原発の維持・運転に要する費用は、2011年3月の有価証券報告書によれば、電力会社9社合計(原発のない沖縄電力を除く)で1兆7040億円にも達する。電気料金の燃料費というのは、原発のために数年先のウラン燃料まで買いつけてあるので、その維持管理費の分の費用が運転停止中の原子力発電所でもコストにかかって、大量の無駄な出費が決算にでているのである。

2011年2月27日、日本産業医療ガス協会の豊田昌洋会長が記者会見して、東電が4月から1kw時あたり平均2・51円(17%)の電気料金値上げをしようとしていることに対して、「電気料金を算定する原価から原子力発電にかかわる費用をすべて除けば、値上げ幅を0.9円程度に圧縮できる」と主張し、「燃料の増加など理屈に合う部分は受け入れるが、発電していない原発費用まで含めるのは、ビジネスの原理としておかしい」と東電を強く批判したのはそのためである。

また、原発依存度が高い電力会社ほど純損益が悪化していて赤字が巨額になっている。東電は福島事故によって破たんしているので現状では赤字は無限大だが、東電を除外すれば、関西電力、九州電力といった原発にどっぷりつかっている会社が、純損益▲2500億、九電が▲1700億である。原発のない沖縄電力は500億ほどの黒字になっている。

過日、同志社大学の室田武教授が、電源別の発電コストを正しく比較して教えてくれた。室田教授は、もともとわが国で最初に、電力会社の「総括原価方式」のトリックを明らかにした先駆者である。福島原発事故の後、大手メディアが室田教授をほとんど取材しないのは、まったくおかしなことである。

室田教授によれば、電力会社に電気を売る卸電気事業者として日本原子力発電(日本原電)は敦賀原発と東海大二原発を運営していて、原子力発電所しか運転していない。それに対して卸電気事業者の電源開発(社名。Jパワーとも呼ばれる)はこれまでのところ、火力と水力がほとんどで、火力はすべて石炭火力である。この両社の卸電力単価を調べると、

           原子力        石炭火力

2006年     10円/kw時     7円/kw時
2007年     13円/kw時     7円弱/kw時
2008年     14.5円/kw時   9円強/kw時
2009年     12円/kw時     7.5円/kw時
2010年     11円/kw時     7.5円/kw時

…というように、石炭火力に比べて、原子力が非常に高い卸電力単価で電気を売っている。つまり、日本の実際の市場で原子力がコスト高であることは明らかである。むしろ、原発がなくなれば、電気料金は値下げされる運命にあるということだ。また、この調査から、石炭火力がコスト面での優等生であることがわかるだろう。


今夏の関西地方で電力不足が起こらなかったことが実証されたため、経団連や日本政府などが、言うに事欠いて、「原発がなければ、電気料金値上げのため、日本企業が海外手逃避する」といった新たな脅しをかけ始めてているが、ほとんどの日本企業の海外移転は原発が54基も猛烈に運転されていた時代に起こった現象である。原発に依存する日本が世界一高い電気料金だったからなのだ。





(「原発ゼロ社会へ・新エネルギー論」/ 広瀬隆・著)


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新聞、TVメディアとは全然違いますよね、この情報。原発以外で頼れるのは火力発電のみ、とまるで火力発電が原発よりコスト高であるかのようにいう、マスコミと政府と官僚を抱き込んだ電力マフィアの情報に洗脳された人々が言うのですが、火力発電のほうが安く電気を提供してきているのです。


それに、頼れるのは火力発電のみ、という認識もメディアに踊らされています。私が小学生だった時代は高度経済成長期末期でしたが、その時代は水力発電が主力でした。小学校の社会の授業では、水力発電が主力だと書かれていました。日本の高度経済成長は主に水力発電と火力発電によって賄われてきたのでした。いまほど家庭への普及はなかったものの、オフィスや、公共の建物ではクーラーはガンガン効いていました。これはあのアホ右翼の小林よしのりも同じ証言をしています。

今度はやはりメディアに騙されていない経済学者の書いたものをご紹介しましょう。




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まず原子力から離脱すると経済に悪影響を及ぼすという懸念についてみよう。最もポピュラーなのは、原発を停止すると、その分火力発電所を稼働させる時間が長くなり、化石燃料の焚き増しが増え、燃料費が増えて発電コストが上昇し、結果的に電気料金が上がるとする考え方である。

典型的なものは、革新的エネルギー・環境政策を策定するために設置されたエネルギー・環境会議(構成員は関係閣僚)の決定(2011年7月29日)で示されている試算である。これによれば、原発が定期検査で次々と停止し、このまま再稼働できない場合、2012年には原子力発電がゼロになる。その足りない分を石炭やLNG、石油などの火力発電所に依存すれば、火力発電の燃料費が増大し、全国で3兆1600億円ほど負担が増えるというのである。

ここにはいくつか検討すべき点が残されている。まず、燃料の焚き増しがどれだけあるかは、電力需要に依存しているという点である。省エネ投資、省エネ危機の購入などにより、電力需要を抜本的に引き下げることができれば、焚き増しはその分少なくなり、追加費用も減少する。したがって、節電をセットにして、焚き増しによる費用を考える必要がある。

仮に、節電がまったく行われず、電力需要が従来通りであるとした場合、再生可能エネルギー普及がまったく進んでいない現状では火力の焚き増しがあることは確かである。ただしここでも注意すべき点がある。それは原子力発電をなくせば(=廃炉にすれば)、火力用の燃料費が増える半面、原子力発電に罹っていた費用を節約できる。原子力発電をなくすことのコストのみを強調し、便益を見ないのでは一面的な議論に陥ってしまう。




(「原発のコスト」/ 大島堅一・著)


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さて、大島立命館大学教授の文章にあるとおり、再生可能エネルギーでは、日本は大きく立ち遅れています。意図的にそうしているのではないかと、わたしは個人的に疑っておりますが、実際に再生可能エネルギーはどれほどのポテンシャルを持っているのでしょうか。また折を見て、再生可能エネルギーについて、資料をご紹介します。


急に選挙が行われることになって、候補者を見れば、経済右翼と反動右翼ばかりが目について誰に投票していいかわからない状況です。顔ぶれを見る限り、だれが政権を取ってもわたしたちの暮らしのことを本気で顧みてくれるとは想像できません。でも、選ばなければならない。ただ、情報がきちんと伝えられていないのは深刻な現状です。原発報道がその典型です。石原のように尖閣騒ぎを起こして、地方の庶民の暮らしをどん底に陥れるわ、原発を再稼働させようとするわ、の、あたかもわたしたちが身分制度における下級庶民であるかのようなものの見方には心底憤りを覚えます。

とにかく、原発についての政府や産経新聞の情報は偏向であることが暴露されてきていますから、原発についてどういう方針かを見ることで投票行動の基準にできるかもしれません。候補者の原発に対する態度は、その候補者の目が黒いか濁っているかを見分けるバロメーターになるのではないかと思います。どうか産経=石原慎太郎派に洗脳されてしまった人々に踊らされないようにしてください。国家が大事だから、国民は国家のために死ね、といったのは戦前の日本の精神思考でした。みなさんは本当にそんな時代に戻っていいんですか。

近代立憲主義は、国民が生きることのための国家である、という前提に立っています。土台はわたしたちです。尖閣を守るために国民は血を流せと言う石原慎太郎や山谷えり子の考えは、たとえていえば土台を壊した高層建築物です。そんな建築物は立っていられません。だからそんな考えは空想の産物なのです。わたしたちはもう小泉郵政選挙のような失敗をしてはならない、東京都民や大阪府市民が人物を判断する基準としてもっている、「乱暴な口をきく人物、強気の発言をびしっと言ってくれる人物が頼りがいがある人物だ」というような、ゆがんだ考え方をしてはならないのです。







コメント (2)
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