「欧州の外交官らは、米国政府がイランに対し、核開発計画を阻止するため空爆を行うのではないかと懸念している」(英『ガーディアン』紙 07年1月31日付)
また戦争の機運が現実味を帯びてきてます。仕掛人は言うまでもなく、アメリカ合衆国です。先週の「週刊金曜日」に、ルポライターの成澤宗男さんが、ブッシュ政権の動向をレポートした記事を投稿しておられます。
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このところ世界の主要紙・誌では、こうしたきな臭い観測に満ちた記事が目立つ。きっかけとなったのは、07年1月10日のブッシュ米大統領による対イラク「新方針」発表の演説であり、焦点だったイラクへの増派以上に力点を置いてイランを批判した。
「イランはイラクで(反米勢力が)米軍を攻撃する物質的な支援を与えている。…われわれは支援の流れを阻止する。イラクの我々の敵に先端兵器を供与し、訓練を施す組織網を見つけ出し、粉砕する。…われわれは他の諸国と共に、イランが核兵器を入手したり、地域を支配するのを阻止するために働く」。
この演説と同時に、ペルシャ湾に展開中の原子力空母アイゼンハワーに加え、二隻目の同型艦ステニスの投入と、米軍基地を抱えた湾岸諸国に敵のミサイルを打ち落とすパトリオット地対空ミサイルの配備も発表した。
さらにその後、「もしイランがイラクでの軍事行動をエスカレートさせて、わが軍とイラクの市民に危害を及ぼすなら、断固反撃する」と述べたのに続き、1月26日にはイラクの米軍に対し「米軍やイラク国民に脅威と見なされたイラン人の拘束・殺害」を命令。同時期に「武装勢力が道路爆弾に使う簡易爆発装置(IED)をイランが供与している」(国家安全保障会議広報官)といった政府高官の批判もいっせいに噴き出した。
このIEDはイラクにおける米軍兵士死者の約4割を生む強力な兵器となっており、あたかもイラクにおける米軍の苦戦はイランのせいであるかのようなブッシュ政権の宣伝にいまや欠かせない「材料」となっている。
だが米『ロサンゼルス・タイムズ』紙1月23日付が報じているように、「政府の『イランの関与』についての主張を裏付けるような証拠は乏しく、シーア派が多数の南部に駐留する英国軍も、イラン製の武器を発見したことはまったくない」というのが実情だ。もっともブッシュ政権はイラク戦争も「大量破壊兵器」といったウソの口実で仕掛けており、裏を返せばそれだけ事態は切迫している。
イラン包囲網の増強の動きが新たな戦争に直結するのかどうかはまだ未知数な面は残るが、冷戦時代は対ソ連タカ派としてならしたZ・ブレジンスキー元大統領補佐官は先月末、上院外交委員会で証言に立ち、「ブッシュ政権はイラクでの失敗をイランのせいにし、対イラン攻撃の口実を捏造している」と批判。陸海の退役将軍3人も連名で2月4日、「イランへの武力攻撃は中東とイラク駐留米軍に破局的な結果をもたらす」と警告し、外交による問題解決を求める異例の声明を発表するなど、開戦をめぐって緊迫感が高まっているのも確かだ。すでにホワイトハウスは、国内外の目をイラクからイランにそらすだけでなく、「イランの体制打倒なくしてイラク戦争の解決はないとの認識に傾いている」(JJ Steinberg “War Plans Versus Iran Updated”)とされ、今後不測の事態が懸念される。
(「週刊金曜日」2007年2月16日号)
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「他の諸国と共に」って、それに日本も含めてるつもり? (^^; 冗談じゃないですよ。ああ、でも安倍さんなら、アメリカに忠実に従うのかなあ…。もう、防衛庁ではなく、「省」ですもんね。「ついにアメリカ陛下に貢献できるときが来た」っていう感じ?
さて、話を戻しますが、イラクにおけるアメリカの「民主化安定」工作は逆に中東地域の情勢を混迷させるという皮肉な結果をもたらしているようです。というのは、こういう事情があるようです。
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ブッシュ政権は「イラクの民主化」という思い入れで作り出したシーア派主導のマリキ政権の「弱者の恫喝」に揺さぶられて撤退さえままならず、スンニ派を抑圧し、「シーア派のイラク」を作り上げることに力を貸しているにすぎない。
イラク戦争後の中東で、もっとも力を得たのはシーア派イスラム、もっといえばシーア派のイランであった。何よりも、イラン・イラク戦争で血みどろの戦いを続けてきたサダム・フセインを米国が排除し、シーア派主導のイラクを「作ってくれた」。つまり、米軍撤退後は「イランの影響力を限りなく高められるイラク」が作り出されたのである。
しかも、米国のイラクにおける「反イスラム的行為」、つまり刑務所での虐待、住民虐殺などがイラン国民の感情に影響を与え、イラン国民は2005年秋、反米・反イスラエル強硬派を標榜する「革命原理派」のアフマディネジャド大統領を選出した。こうして米国にとって「もっとも危険で過激なイラン」が生まれた。核開発疑惑に関しても国際社会の懸念をよそに、いっさいの妥協も協調もしない強硬な姿勢をつらぬくイラクの隣国、という姿が現れたのである。
【サウジとイスラエルへ及ぼす影響】
しかもそういうイランを登場させたブッシュ政権の行動は、中東における米国の同盟国であるサウジアラビアやイスラエルにとってあまりにも愚かで危険なものである。なぜなら、サウジにとっては同胞であるスンニ派のイラクが、米国の力を借りたシーア派によって弾圧され、存在感を失うことは悪夢のような皮肉である。シーア派主導のイラクとなれば、ペルシャ湾の北側にイランの影響力が重く広がることになるからだ。そうすると、イラン・イラク戦争期に、スンニ派のサダム・フセイン政権を支援してきた努力が灰燼に帰すという、サウジの政権の基盤を揺るがしかねない事態となるのである。現に、親米派のバンダル王子(サウジ国家安全保障相)は、「イラクのスンニ派を救う」意識が強く、とりわけイランのシーア派のイラクへの影響力に強い警戒心を抱いている。
イスラエルの状況はさらに深刻である。イラク戦争については「フセインの排除はイスラエルの安全にプラス」との判断が働き「イラク戦争はイスラエルのための戦争」という言説さえ生んだ。しかしフセインを排除してみたら、その後ろから「シーア派イスラム」という「イスラエルの生存さえ否定する」もっとも怖ろしいモンスターが躍り出てきた。イスラエルはイランの支援を受けたレバノンのヒズボラの攻勢を受けてレバノン侵攻に踏み出し、消耗戦を強いられた。
またパレスチナ情勢も、米国とイスラエルの強硬路線に刺激されて武闘派のハマスが政権を掌握して混迷を深め、今となっては「対話ぐらいは成立したPLOのアラファトが懐かしい」と言われるほど血みどろの緊張関係に追い詰められている。
ブッシュ政権が本音ではイランの核施設攻撃計画を持っていることは、これまでも再三指摘されてきた。昨年4月末まではイラン中部のウラン濃縮工場への戦術核攻撃さえ検討しており、統合参謀本部の反対で断念したと言われる。しかし、この計画が息を吹き返しつつある。
イラク増派を決めた新政策でも明記しているごとく、「イラクにおけるイランとシリアの影響力排除」を実現しなければ、同盟国たるサウジ、イスラエルの離反さえ招きかねない。イランの影響力を削ぐ戦略を考えつめると、イランが国際社会を揺さぶるカードとなっている「核開発」を叩き潰すというシナリオが再浮上する。国連などを通じた制裁圧力で屈服させるのが望ましいが、軍事力でイランの野望を削ぐという選択肢も確保しておくという意思を固めつつあるといえる。
ペルシャ湾情勢は、新年に入って緊迫を高めている。米国は空母エンタープライズ、アイゼンハワーに加え、極東からステニスを2月までに配備、3空母艦隊という体制を整えつつある。潜水艦や機雷掃海艇をも配備しており、新年に起こった日本のタンカーとの衝突事故は、ペルシャ湾の緊迫を示すひとつの傍証である。
常識的には、米国がイラン攻撃に踏み込む可能性は低く、攻撃がもたらす中東情勢のさらなる混迷を考えれば、あってはならないシナリオであるが、いまやあり得ない、との断言ができない情勢である。少なくとも、航空兵力やミサイルで核施設を攻撃できる態勢を準備していることは確かである。また米国にとってイランは、1979年のホメイニ革命以来、テヘランの米大使館占拠事件をめぐる人質救出作戦の失敗など「ペンタゴンのトラウマ」ともいえ、26年間も国交断絶を続け、憎悪を蓄積してきた相手なのである。
【日本への影響は…?】
イラン攻撃がもたらす日本にとってのインパクトはイラク戦争どころではない。中東に原油供給の9割を依存する日本にとって、ペルシャ湾、ホルムズ海峡の安全は死活要素である。しかも、イランとはホメイニ革命後も断絶せず、正式の国交を保っている。積年の中東との良好な関係を活かして、米・イラン間の意思疎通に日本が果たしうる役割は小さくはない。
(「新たなる危機-イラン攻撃の可能性」/ 寺島実朗 / 「世界」2007年3月号より)
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終わりがない戦争の危機。終わらせるつもりもないのでしょうか。国民の求心力を維持するために、戦時下体制を続ける、というのは独裁者の手管だそうですから。そもそもアメリカはなぜ中東に手を出すのか。産業界の思惑通りに政治が操作されているのだとしたら…。商売人に政治を任せれば、市井の人々は宗教や文化が違うと言う理由で見下され、戦争に巻き込まれて命を落として行くのです。アメリカがイラン包囲網の構築のために、中東に戦力の重点を置くとしたら、たしかに東アジアの方面は、別の金持ちの国に安全保障の責任を担わせようとするのでしょうね…。外交力がないために国際関係を築けないある国なら、容易に武力に頼ろうとするでしょうから…。
また戦争の機運が現実味を帯びてきてます。仕掛人は言うまでもなく、アメリカ合衆国です。先週の「週刊金曜日」に、ルポライターの成澤宗男さんが、ブッシュ政権の動向をレポートした記事を投稿しておられます。
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このところ世界の主要紙・誌では、こうしたきな臭い観測に満ちた記事が目立つ。きっかけとなったのは、07年1月10日のブッシュ米大統領による対イラク「新方針」発表の演説であり、焦点だったイラクへの増派以上に力点を置いてイランを批判した。
「イランはイラクで(反米勢力が)米軍を攻撃する物質的な支援を与えている。…われわれは支援の流れを阻止する。イラクの我々の敵に先端兵器を供与し、訓練を施す組織網を見つけ出し、粉砕する。…われわれは他の諸国と共に、イランが核兵器を入手したり、地域を支配するのを阻止するために働く」。
この演説と同時に、ペルシャ湾に展開中の原子力空母アイゼンハワーに加え、二隻目の同型艦ステニスの投入と、米軍基地を抱えた湾岸諸国に敵のミサイルを打ち落とすパトリオット地対空ミサイルの配備も発表した。
さらにその後、「もしイランがイラクでの軍事行動をエスカレートさせて、わが軍とイラクの市民に危害を及ぼすなら、断固反撃する」と述べたのに続き、1月26日にはイラクの米軍に対し「米軍やイラク国民に脅威と見なされたイラン人の拘束・殺害」を命令。同時期に「武装勢力が道路爆弾に使う簡易爆発装置(IED)をイランが供与している」(国家安全保障会議広報官)といった政府高官の批判もいっせいに噴き出した。
このIEDはイラクにおける米軍兵士死者の約4割を生む強力な兵器となっており、あたかもイラクにおける米軍の苦戦はイランのせいであるかのようなブッシュ政権の宣伝にいまや欠かせない「材料」となっている。
だが米『ロサンゼルス・タイムズ』紙1月23日付が報じているように、「政府の『イランの関与』についての主張を裏付けるような証拠は乏しく、シーア派が多数の南部に駐留する英国軍も、イラン製の武器を発見したことはまったくない」というのが実情だ。もっともブッシュ政権はイラク戦争も「大量破壊兵器」といったウソの口実で仕掛けており、裏を返せばそれだけ事態は切迫している。
イラン包囲網の増強の動きが新たな戦争に直結するのかどうかはまだ未知数な面は残るが、冷戦時代は対ソ連タカ派としてならしたZ・ブレジンスキー元大統領補佐官は先月末、上院外交委員会で証言に立ち、「ブッシュ政権はイラクでの失敗をイランのせいにし、対イラン攻撃の口実を捏造している」と批判。陸海の退役将軍3人も連名で2月4日、「イランへの武力攻撃は中東とイラク駐留米軍に破局的な結果をもたらす」と警告し、外交による問題解決を求める異例の声明を発表するなど、開戦をめぐって緊迫感が高まっているのも確かだ。すでにホワイトハウスは、国内外の目をイラクからイランにそらすだけでなく、「イランの体制打倒なくしてイラク戦争の解決はないとの認識に傾いている」(JJ Steinberg “War Plans Versus Iran Updated”)とされ、今後不測の事態が懸念される。
(「週刊金曜日」2007年2月16日号)
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「他の諸国と共に」って、それに日本も含めてるつもり? (^^; 冗談じゃないですよ。ああ、でも安倍さんなら、アメリカに忠実に従うのかなあ…。もう、防衛庁ではなく、「省」ですもんね。「ついにアメリカ陛下に貢献できるときが来た」っていう感じ?
さて、話を戻しますが、イラクにおけるアメリカの「民主化安定」工作は逆に中東地域の情勢を混迷させるという皮肉な結果をもたらしているようです。というのは、こういう事情があるようです。
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ブッシュ政権は「イラクの民主化」という思い入れで作り出したシーア派主導のマリキ政権の「弱者の恫喝」に揺さぶられて撤退さえままならず、スンニ派を抑圧し、「シーア派のイラク」を作り上げることに力を貸しているにすぎない。
イラク戦争後の中東で、もっとも力を得たのはシーア派イスラム、もっといえばシーア派のイランであった。何よりも、イラン・イラク戦争で血みどろの戦いを続けてきたサダム・フセインを米国が排除し、シーア派主導のイラクを「作ってくれた」。つまり、米軍撤退後は「イランの影響力を限りなく高められるイラク」が作り出されたのである。
しかも、米国のイラクにおける「反イスラム的行為」、つまり刑務所での虐待、住民虐殺などがイラン国民の感情に影響を与え、イラン国民は2005年秋、反米・反イスラエル強硬派を標榜する「革命原理派」のアフマディネジャド大統領を選出した。こうして米国にとって「もっとも危険で過激なイラン」が生まれた。核開発疑惑に関しても国際社会の懸念をよそに、いっさいの妥協も協調もしない強硬な姿勢をつらぬくイラクの隣国、という姿が現れたのである。
【サウジとイスラエルへ及ぼす影響】
しかもそういうイランを登場させたブッシュ政権の行動は、中東における米国の同盟国であるサウジアラビアやイスラエルにとってあまりにも愚かで危険なものである。なぜなら、サウジにとっては同胞であるスンニ派のイラクが、米国の力を借りたシーア派によって弾圧され、存在感を失うことは悪夢のような皮肉である。シーア派主導のイラクとなれば、ペルシャ湾の北側にイランの影響力が重く広がることになるからだ。そうすると、イラン・イラク戦争期に、スンニ派のサダム・フセイン政権を支援してきた努力が灰燼に帰すという、サウジの政権の基盤を揺るがしかねない事態となるのである。現に、親米派のバンダル王子(サウジ国家安全保障相)は、「イラクのスンニ派を救う」意識が強く、とりわけイランのシーア派のイラクへの影響力に強い警戒心を抱いている。
イスラエルの状況はさらに深刻である。イラク戦争については「フセインの排除はイスラエルの安全にプラス」との判断が働き「イラク戦争はイスラエルのための戦争」という言説さえ生んだ。しかしフセインを排除してみたら、その後ろから「シーア派イスラム」という「イスラエルの生存さえ否定する」もっとも怖ろしいモンスターが躍り出てきた。イスラエルはイランの支援を受けたレバノンのヒズボラの攻勢を受けてレバノン侵攻に踏み出し、消耗戦を強いられた。
またパレスチナ情勢も、米国とイスラエルの強硬路線に刺激されて武闘派のハマスが政権を掌握して混迷を深め、今となっては「対話ぐらいは成立したPLOのアラファトが懐かしい」と言われるほど血みどろの緊張関係に追い詰められている。
ブッシュ政権が本音ではイランの核施設攻撃計画を持っていることは、これまでも再三指摘されてきた。昨年4月末まではイラン中部のウラン濃縮工場への戦術核攻撃さえ検討しており、統合参謀本部の反対で断念したと言われる。しかし、この計画が息を吹き返しつつある。
イラク増派を決めた新政策でも明記しているごとく、「イラクにおけるイランとシリアの影響力排除」を実現しなければ、同盟国たるサウジ、イスラエルの離反さえ招きかねない。イランの影響力を削ぐ戦略を考えつめると、イランが国際社会を揺さぶるカードとなっている「核開発」を叩き潰すというシナリオが再浮上する。国連などを通じた制裁圧力で屈服させるのが望ましいが、軍事力でイランの野望を削ぐという選択肢も確保しておくという意思を固めつつあるといえる。
ペルシャ湾情勢は、新年に入って緊迫を高めている。米国は空母エンタープライズ、アイゼンハワーに加え、極東からステニスを2月までに配備、3空母艦隊という体制を整えつつある。潜水艦や機雷掃海艇をも配備しており、新年に起こった日本のタンカーとの衝突事故は、ペルシャ湾の緊迫を示すひとつの傍証である。
常識的には、米国がイラン攻撃に踏み込む可能性は低く、攻撃がもたらす中東情勢のさらなる混迷を考えれば、あってはならないシナリオであるが、いまやあり得ない、との断言ができない情勢である。少なくとも、航空兵力やミサイルで核施設を攻撃できる態勢を準備していることは確かである。また米国にとってイランは、1979年のホメイニ革命以来、テヘランの米大使館占拠事件をめぐる人質救出作戦の失敗など「ペンタゴンのトラウマ」ともいえ、26年間も国交断絶を続け、憎悪を蓄積してきた相手なのである。
【日本への影響は…?】
イラン攻撃がもたらす日本にとってのインパクトはイラク戦争どころではない。中東に原油供給の9割を依存する日本にとって、ペルシャ湾、ホルムズ海峡の安全は死活要素である。しかも、イランとはホメイニ革命後も断絶せず、正式の国交を保っている。積年の中東との良好な関係を活かして、米・イラン間の意思疎通に日本が果たしうる役割は小さくはない。
(「新たなる危機-イラン攻撃の可能性」/ 寺島実朗 / 「世界」2007年3月号より)
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終わりがない戦争の危機。終わらせるつもりもないのでしょうか。国民の求心力を維持するために、戦時下体制を続ける、というのは独裁者の手管だそうですから。そもそもアメリカはなぜ中東に手を出すのか。産業界の思惑通りに政治が操作されているのだとしたら…。商売人に政治を任せれば、市井の人々は宗教や文化が違うと言う理由で見下され、戦争に巻き込まれて命を落として行くのです。アメリカがイラン包囲網の構築のために、中東に戦力の重点を置くとしたら、たしかに東アジアの方面は、別の金持ちの国に安全保障の責任を担わせようとするのでしょうね…。外交力がないために国際関係を築けないある国なら、容易に武力に頼ろうとするでしょうから…。