Luna's “ Life Is Beautiful ”

その時々を生きるのに必死だった。で、ふと気がついたら、世の中が変わっていた。何が起こっていたのか、記録しておこう。

それでは、みなさま、ごきげんよう

2011年11月13日 | 一般




これまで訪問して下さったみなさま、ほんとうにありがとうございました。

閉鎖まで、わたしの好きな歌をお聴き下さい。




http://www.youtube.com/watch?v=CB4EgdpYlnk






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アメリカ時代の入り口に立って(続)

2011年11月13日 | 思想・哲学・倫理

(承前)



 

三橋さんのブログにはさらに興味津々の情報が掲載されています。

 

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さて、TPPと言いますか、TPP関連の報道ですが、凄まじいことになっています。本日と明日と、二日続けて本「情報戦争」について取り上げたいのですが、まさしく、「ここまでやるか!」と叫びだしたくなるほどの偏向報道、イメージ操作の繰り返しになっています。特に酷いのが新聞で、珍しく「テレビの方が新聞よりは、まだまとも」というおかしな状況になっています。


【【マスゴミねつ造報道検証!】TPPについて谷垣氏の発言すべて10月15日 】


アナウンサーからTPPに関する谷垣総裁の見解を尋ねられ、、
谷垣総裁 「まだ情報が少なくてですね、もう少しいろんな問題点を解明しなければいけないと思います。ただ、全然、協議もしないということでいいのかどうか。それは協議をしながら国策にかなうかどうか、日本の国益のかなうかどうかを、判断していかなければいけないんじゃないかと思いますね」
アナウンサー 「どういう情報が必要なんですかね?」
谷垣総裁「これはね、農業の問題ばかりが取り上げられますけど、24の分野があるわけですね。そこで、どういう風にしたら、その分野がどうなっていくのかということについて、もう少し情報を集めて、我々も検討していかなければいけないと思います。与党の方も議論を始めて、だいぶ大激論になり、混迷もしているようですが、我々は高村正彦さん、外務大臣をやられたベテランに、外交、経済連携調査会を作って頂いて、そこで大いに議論していこうと思っています。
 24の分野とは、色々な分野があります。医療とかそういった分野もあれば、農業もあり、そういった問題に情報を集めてきちんと議論をしていく。それから、特にこの問題は、外交・安全保障といった分野からの議論も必要だと思います」
 アナウンサーから自民党の「TPP参加の即時撤回を求める会」についてふられ、
谷垣総裁「参加するかどうかは、本当に参加するかどうかはもう少し議論しなければなりませんね。それと、まだ国論も集約していませんから、野党として国論をどうやって集約していくか、その役割も果たさなければならないと思います。
 きちんと議論していこうと。あんまり拙速に判断してはいけないと思います」


 上記の谷垣総裁の発言が、いかに日本の大手紙に報道されたか。

 

『毎日新聞 TPP:「交渉参加し、判断するべきだ」…谷垣総裁
 自民党の谷垣禎一総裁は15日のテレビ東京の番組で、政府が交渉参加を検討している環太平洋パートナーシップ協定(TPP)について「全体の協議もしないことでいいのか。協議しながら国策、国益にかなうか判断しないといけない」と述べ、交渉には参加すべきだとの考えを示した。(後略)』

 

『産経新聞 【TPP参加】交渉参加に前向き 自民・谷垣総裁が発言 党内に波紋呼ぶ可能性も

 自民党の谷垣禎一総裁は15日のテレビ東京番組で、環太平洋連携協定(TPP)交渉について「協議をしながら、国益にかなうかどうかを判断しなければいけない」と述べ、参加に前向きな考えを示した。(後略)』

 

『日経新聞 自民総裁、TPP交渉「参加すべき」 

 自民党の谷垣禎一総裁は15日午前のテレビ東京番組で、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加問題に関し「全然協議しないでいいのか。協議をしながら国益にかなうか判断すべきだ」と述べ、交渉に参加すべきだとの認識を示した。』

 

 お分かりでしょうが、谷垣総裁は「TPPの交渉参加し、判断するべきだ」などと一言も言っていません。単に、情報が足りないので、情報を集めて自党内で協議する、と言っているだけです。
 珍しいことに、上記について読売新聞がまともに報じています。

 

『読売新聞 TPP、拙速判断いけない…自民は議論急ぐ考え
 
 自民党の谷垣総裁は15日、テレビ東京の番組で、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加について、「まだ情報が少なくていろいろな問題点を解明しないといけないが、全然協議もしないということでいいのか」と述べ、自民党内の議論を急ぐ考えを示した。
 谷垣氏は「国論もまだ集約していないので、野党として集約させる役割も果たしたい。あまり拙速に判断してはいけない」と述べ、慎重に議論する方針も示した。
 同党は今後、政務調査会に新設した「外交・経済連携調査会」(会長・高村正彦元外相)を中心に議論を再開する方針。TPP交渉参加問題では、石原幹事長らが賛同する考えを示しているが、農業関係議員を中心に反対論が多い。』

 

 谷垣総裁は「情報が足りないので、情報を集めて協議をしていく」と言っているわけですが、それが毎日や産経、日経の手にかかると「交渉参加すべし」となってしまうわけです。


 現在、自民党内ではTPP不参加派が多数派を占めています(実は、そうなんです)。上記のテレビ番組も、自民党内に反対派が多いことを受け、左下に「党内分裂? TPP参加の行方」という煽りテロップを出しています。現実には、自民党が割れるほどTPP賛成派の数は多くないのです。


 谷垣総裁は、[とりあえず、情報集めて、協議しようよ」という態度であり、これは現時点のトップとしては正しいと思います。ここまで情報が少ない中、
「交渉参加と参加は違いますから。いざとなれば途中で抜けられますから」
「韓国に負けないようにTPP交渉参加しましょう」
 などと言ったミスリードに流されて「交渉参加検討」をしている、現政権が異常なのです。

 

 皆様、昨日に引き続き、民主党内反対派、自民党内反対派、国民新党、たちあがれ日本の政治家の方々に、是非、皆様の声を届けて差し上げて下さい。国民の声があれば、政治家は動けます。 

 

 

またもや、要人の発言が「捏造」されました。

 

『小沢元代表、TPPに前向きも国内対策の必要性強調

 民主党の小沢元代表は、TPP=環太平洋経済協定について「自由貿易は最も日本がメリットを受ける」と述べ、前向きな姿勢を示す一方、国内対策の必要性も強調しました。(後略)』

 

『小沢氏、TPPに前向き 「自由貿易は日本にメリット」

 民主党の小沢一郎元代表は20日、東京都内でフリー記者らが主催する記者会見に応じ、TPP(環太平洋経済連携協定)について「自由貿易は最も日本がメリットを受ける。原則として理念的にはいいこと」と述べ、交渉参加に前向きな考えを示した。(後略)』

 

『野田降ろしにならない?TPP慎重派に温度差

民主党が21日、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加の党内論議を11月2日までに終える方針を固めた背景には、「反対論者の多くは、党内を混乱させてまで、野田首相を追い詰めないのではないか」との読みが執行部内に出てきたことがある。(中略)
 民主党内最大勢力の小沢一郎元代表グループも、元代表本人が自由貿易そのものには賛成のため、表だって反対活動に加わっていない。小沢グループ幹部は「TPPで『野田降ろし』にはならない」と話す。』

 

 以下、小沢一郎事務所のツイッター。

 

『今日、一部紙面等で『TPPについて「小沢氏前向き」』と報じられておりますが、それは誤りです。今の拙速な進め方では、国内産業は守れません。 』

 

 要するに、この「前向き」という言葉が極めて曲者というか、悪質なのです。すなわち、「TPP断固反対! TPP打破すべし!」とかやっていない政治家は、「○○氏はTPPに前向きな態度を表明した」などと捏造報道をされてしまい、TPP交渉参加のための既成事実積み上げに活用されてしまうわけです。


 先日、自民党の谷垣総裁が、
「参加するかどうかは、本当に参加するかどうかはもう少し議論しなければなりませんね。それと、まだ国論も集約していませんから、野党として国論をどうやって集約していくか、その詰めの役割も果たさなければならないと思います。
 きちんと議論していこうと。あんまり拙速に判断してはいけないと思います」
 と発言されていましたが、いよいよ(と言うか、こんなにギリギリで)TPPの全容がオープンになりました。


 皆様、上記の情報を是非とも地元の政治家に転送し、
「官公庁が14も関連しなければ資料一つ作れないほど、凄まじく広範囲なTPPについて、きちんと議論を経ていない現時点で交渉参加を決意するなど、国家として自殺行為だ!」
 などと、皆様の言葉を伝えてください。

 


こちらのブログより転載。


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2011年11月新刊のちくま新書から出た作品でこういうのがあった。


「ヒトラーの側近たち」。大沢武男・著。


この本のエピローグにはこういう文章があった。

 


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ナチ政権が成立したとき、ヒトラーを囲む側近閣僚たちはきわめて若い世代であり、43歳の首相ヒトラーを中心に30代が最も多く、平均年齢は40歳ちょっとという、前例を見ないほど若い構成の内閣だったのである。

 

しかも彼らは党史の浅いナチ党の閣僚であったため、急速に出世して大臣という権力の座に就いた人物が多く、ちゃんとした政治的、官僚的な経歴を持ち合わせていないものが大方を占めていた。

 

 

 

(上掲書より)

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若手の人間はとかく理想や理論に走りやすく、生身の人間という事情を深慮しない傾向があるのだろうか。確かにそういう傾向はあると言えるかもしれない。つまり、未成熟さ、ということか。そういえば、小泉さんはこういう人物だった。

 


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小泉以前の自民党で総裁の座を目指すためには、政治家に必要とされる明確な要件があった。まず組織の面で、派閥のボスとなり、親分の意のままに行動する数十名の手勢を持つことが絶対の条件であった。トップに上り詰めるためには選挙を支える家子郎党が必要とされた。

 

次にキャリアの面で、財務(旧大蔵)、外務、経産(旧通産)という主要閣僚と、幹事長、政調会長、総務会長という党三役のうちで、できれば二つ以上のポストを経験することが必要であった。重要なポストに就いてリーダーとしての経験、力量を積むことは、政党に限らずあらゆる組織に共通する話である。

 

この仕組みは、政府と自民党という既存の権力空間の中における人材育成システムであった。そして、長期安定政権の時代にはそれなりに機能し、橋本龍太郎、小渕恵三の時代まではこの仕組みの中からリーダーが出現した。しかし、小泉以降、この仕組みは崩壊した。既存の権力空間で長いキャリアを積んだインサイダーに対して国民が嫌悪感を持ち、訓練の仕組み自体が無意味になった。

 

…(中略)…

 

その結果、自民党においては中間の鍛錬、育成の期間を省略し、組織の掌握や政策決定に向けた調整の経験を十分に持たない政治家がいきなりトップリーダーになるということが起こるようになった。

 

 

(「政権交代論」/ 山口二郎・著)


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一方の利益や、一方的な理論に突っ走ってしまうのは調整力の無さや将来的な展望力の無さという「未熟さ」があるからだ。かつての自民党では、総裁に至るまでの鍛練となる「道順」が暗黙のルールとしてきめられていた。だが、小泉さん以降、人気やある勢力にとって便利な人物が、急に表れては総裁にたてられる。短命総理になるのも無理からぬことなのだろう。











若い世代は、理想論や理論に現実を合わせようとする。経済学は、ホモ・エコノミクスを前提に、論理が組み立てられるが、人間はいつも合理的に行動するわけではない。いや、合理的に行動しないから人間は魅力的なのだ。だが、経済学の若手論者は、経済学理論の原則に合わない結果とその結果をもたらした人々のほうが悪く、理論の整合性のために、そういう輩は排除せよ、自己責任だという。

 

だが自然科学はそんなことは言わない。既存の法則に合わない結果が報告されたら、既存の理論を護るためにそのデータのほうを抹消しようという自然科学の学者などいるだろうか。科学の進歩はそういう既存の理論に合わない観測データの存在を認め、それを調べることで進歩してきた。老練な人間も、人間の暮らしを支える経済というものを扱うときには、理論通りには動けない人間の弱さ気まぐれさを十分に考慮に入れるのだ。

 

そういう老練さは、長年の鍛錬によって、対立する利害の両方の要求を取り入れた調整的な政策を生み出すものだ。一方的に肩入れして国民の暮らしを破壊的な影響にさらすなどという愚行はしないだろう。民主党政権はそういう意味で未熟なまま大きな問題を扱い、みっともない失政に終わらせ、その埋め合わせに、アメリカのみを益するものであり、かつ日本を変革するような自由貿易協定に参加しようという。

 

わたしたちはどうすればよかったのだろう。そう、わたしたちが、考えることを他人任せ=新聞・TV “ジャーナリズム” まかせにしてきたことに大きな原因があるように思う。わたしたちは、自分の国に関することについては、もっと積極的に、そう、労と時間を惜しまず参加してゆくべきだった。

 

今となってはすべてが見苦しいグチになってしまう。どうしていいかわからない。とりあえず、ベッドに横たわり、眠ろう。心配は明日からにしよう。もうブログに意見を言うのには、限界を思い知った。自分の筆力の問題、ブログ意見の無力さ、つながってゆかない無意味さ。そしてわたしたち個々人が割拠し、自分のメンツや意地の内側に立てこもっている間に、国家の官僚たちは政治家とマスコミを操って、自らの出世と、天下り先の創出とを成し遂げ、その財源のために国民の暮らしに手を付けるようになった。国民への見返りは、震災復興を御旗に見立てたTPP参加と復興増税の実施だった。どちらも国民の暮らしを破壊する政策だった。…

 

 

 




長い間ありがとうございました。「Luna's “A Life Is Beautiful”」は今回をもちまして更新停止とさせていただきます。このブログを書いてきてよかったことはひとつ、世の中のことを勉強できたことです。それまで関心を持たなかったことに知見が広がるというのは、それなりに意味があると思いたいです。それはきっとよかったんだろうと思います。



大変な時代が始まります。みなさんが、わたしをも含めて、生きのびれるように、幸運の星に祈り続けるとしましょう。ごきげんよう。











「カナダ国民は、何に調印したのかわかっていない。彼らは20年以内にアメリカ経済に吸収されるだろう」。

 -クレイトン・キース・ヤイター・レーガン大統領時代のアメリカ通商代表。
   アメリカ=カナダ自由貿易協定の締結後の非公式の発言。

 






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アメリカ人の時代の入り口に立って

2011年11月13日 | 思想・哲学・倫理




 

国民はみんな、郵政が民営化されても、派遣労働が増加して生活を立ててゆけない人が派遣村に集まっても、自分の家は何とかやってこれたので、TPPに参加するようになっても、自分の家だけはなんとかなるだろう、くらいにしか思っていないに違いありません。でも、今度だけはその楽観は粉々に打ち砕かれるでしょう。TPPがもたらす国民の暮らしの破壊は、おそらく戦後最悪の惨事となるでしょう。これは決してこけおどしなどではないのです。アメリカンスタンダードが日本をつくり変えてゆくからです。



3.11の大津波のとき、いち早く津波に気づき、避難を始めた人がいたようです。そういうひとたちは、逃げる途中で、避難路に面した家々のひとびとや、通りがかりに出会ったひとびとに、津波が来るから早く逃げるようにと大きな声で伝えたそうですが、ひとびとは反射的迅速な行動はとらなかったそうです。それどころか、人々は津波のことを話題にして談笑さえしていた人もいたそうです。海から遠くの自分たちのところまで致死的な大津波が到達するとは想像できなかったのではないでしょうか。責めることはできないし、もとよりわたしは責めるつもりもありません。わたしはそういう人以上にかっこよく、賢い行動がとれたかと聞かれれば、しょんぼりするしかできないでしょうから。しかし、海水は来たのです。真っ黒に濁った不気味な水の大群が。

 

今回のTPPもまったく同様でしょう。いままでも農産物は自由化されてきた。だが都会暮らしの自分たちにそれほど危機をもたらしたわけではなかった。派遣村が話題になっても、自分の家族にはそんなに悪いことは起きなかった。リーマン・ショックの時は、給料も下がり、ボーナスも減り、さすがに恐怖だったが、乗り切れた。だからTPPっつても、おなじようなものだろう、と、おそらくみんなそんなふうに感じているに違いありません。ブロガーは、TPPはやられた。次の話題に移ろう、と思っているでしょうか。

 

だが、TPPはちがう。この激震がもたらす大津波は、確実に自分のもとまでどす黒い水を送り込む。信じられないくらいに犠牲者が増える。3か月、4か月と何事もなく時間は過ぎるだろう。だがあるとき、住宅地の向こうで煙が立っているのを見るだろう。火事か、と思うかもしれない。それが大きな水しぶきであるのを認めた時にはもう遅い、逃げ切ることはできない。

 

どこで判断をまちがえたのか。野田さんが総理になるのを阻止することはわたしたち国民のだれにもできなかった。これはどうしようもないことだった。だが、経団連と財務省は野田総理を誕生させる影響力を十分もっていたし、彼らはその影響力を行使した。民主党に投票したのだって、わたしたちは小泉構造改革で破壊されたわたしたちの暮らしと安全を回復させてほしいという思いからでたことだった。だが、民主党はみごとに変節した。その変節に、わたしたち国民にも責任があるとでもいうのか。そう、ただひとつ、わたしたちはあまりにも完全主義だったかもしれない。政治とカネの問題に注意を取られ、バッシングしやすかったこともあってか、小沢という影響力のある人物をわたしたちは葬った。だが、戦術としては、小沢を切り札として活用できたかもしれない。小沢よりもっと凶悪な影響力を見分けることができなかったか。仙石=前原グループという経団連の送り込んだ刺客を。民主党は寄せ集め世帯だったので、いくつかのグループがひとつに束ねられていた。わたしたちが前原の脅威に気づくなら、小沢という毒を温存しておいて、あの前原を下してしまえたかもしれない。そのくらいのずる賢さは、政治のことについては必要だったのかもしれない。結果からふりかえってみれば、民主党というのは、財務省と経団連が送り込んだ、みごとなトロイの木馬だった。いまさらグチグチ言ってもしようがないことだが。

 

最後に、マスコミのことを転載して、このブログの幕としようと思う。ブログを書き始めたのは2005年の3月末日だった。今年で満6年と8か月ということになる。よくも続けてこれたものだ。だが、わたしの筆力の限界のため、あまり共感は得られなかったようだ。にぎわう大ブログには縁遠い存在だった。でも、わたしはわたしなりに一生けんめい書いてきたと自負できる。それはそれでいいとしよう。

 

思えば、小泉郵政選挙もマスコミの影響の産物だった。あのときにはまだマスコミは反省を述べたりもしたものだった。だが今は違う。マスコミははっきり、政・官・財と蜜月関係を持つようになり、国民を犠牲にすることをいとわないようになったようだ。

 

 

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TVが権力の内側にいたのは昔からだが、ここまで露骨に権力擁護に走り、権力側もまた露骨に利益誘導するようになったのは最近のことである。

 

「小泉政権時代に政治の “劇場化” が急速に進み、政治家はTVをフルに利用し、その手法を官僚も取り入れて、御用学者、御用コメンテーターへの『教育』を強化した。一方で、TVの側もあけっぴろげに自分たちの要求を出すようになった」(民法記者)

 

その要求のひとつが、地デジ化に際して検討されていた「電波オークション(*1)」潰しであり、「クロスオーナーシップ改革(*2)」潰しであった。


(*1)電波オークション;
日本では、政府が公共財産である電波を、恣意的に割り当て、既存のTV局に無料で免許を与えてきた。それを改め、周波数帯域の利用免許を競売にかけて、新規事業者にも電波を解放しようという制度。諸外国では多く導入されている。民主党は08年のマニフェストで導入を掲げていたものの、昨年の電波法改正案からは完全に外された。

(*2)クロスオーナーシップ改革;
新聞社が放送業に市販参加するなど、特定の企業が多数のメディアを傘下にして影響を及ぼすことを「クロスオーナーシップ」という。民主党政権誕生時、原口一博総務相(当時)らはクロスオーナーシップ規制の法制化を目指したが、2010年成立の改正放送法では規制強化が見送られた。

 

そして増長しきったTV界は、ついに国民のカネにも手を伸ばそうとしている。「TV減税」(通信・放送システム災害対策促進税制)の創設だ。

 

東日本大震災を名目に、TV、ラジオ、通信業者の災害用設備新設の法人税優遇(2年間の特別償却)と固定資産税優遇(課税標準を5年間、3分の1に圧縮)というずうずうしい要求である。ところが総務省は概算要求の税制改正要望にすでに盛り込んでおり、誰も批判報道しないこの改正は、すんなり通る可能性が高い。いうまでもないが、震災でTV局だけが特別に救済される根拠など本来はない。

 

ついでにいえば、民放キー局の親会社である大手新聞も同様のことをたくらんでいる。消費税増税の必要性を紙面で主張する一方で、「新聞代は消費税免除に」と陳情し、野田内閣はそれを認める方針である。

 

こんな連中が、野田内閣が進める大増税、年金1千万円カットを、「仕方ない」、「国民も痛みを」と後押ししているのである。

 

アムステルダム大学教授で、日本の権力構造に詳しいカレル・ヴァン・ウォルフレン氏が指摘する。「TVをはじめとする日本メディアの根本的な問題は、国家権力の中枢にいるエスタブリッシュメントたちの考え方に無批判にしたがっているだけで、彼ら自身にそれを深く理解し、批判する力がないことです。たとえば、日本の財政赤字はほとんどは日本国内からの借金で、国外から借りているわけではない。むしろ日本は米国債を大量に保有しており、政府があおる財政危機とは明らかに実情と異なる。政治家や官僚のことばを垂れ流すことはすなわち国民をだますことにつながる」。

 

(「週刊ポスト」2011-11-11号より転載)

 

2011年7月中旬の出来事である。


日本新聞協会が主催し、大手各新聞社の論説委員を集めた会合が開かれた。そこに、与謝野馨経済財政政策担当大臣(当時)が招かれ、新聞社側は、「消費税をアップしても、新聞の購読料には軽減税率を適用してほしい」と「陳情」したのだ。


それに対し、与謝野氏は、「復興増税の件、よろしく頼む」と答えたとのことである。

 

日本新聞協会が与謝野氏に陳情した「軽減税率」とはなにかといえば、文字通り増税や新税導入などをした際の「軽減措置」のことだ。新聞ビジネスでいえば、この先消費税が5%から10%にアップした場合、購読料値上がりでさらなる読者離れが起きることは確実だ。消費税が5%の現在でも、新聞産業は経営が悪化しており、購読料アップで読者が減ると、これまで以上にリストラを実施しなければならなくなってしまう。

 

つまり日本新聞協会や各大手紙の論説委員たちは、自社の経営悪化を回避するために、消費税増税が決定しても新聞の購読料への課税は「対象外」にしてほしいと陳情したというわけだ。日本国家や日本国民のためではなく、言論の自由とやらのためではなく、自社の経営のために「自分たちは例外にしてくれ」と頼んだのだ。それに対して与謝野氏は、「新聞に軽減税率を適用してほしければ、復興増税のキャンペーンをしろ」という条件をだした。

 

これがはたして、選挙で選ばれた政治家(与謝野氏は比例復活だが)や、自称「社会の木鐸」たる新聞社のやることか、といいたい。

 

…(中略)…

 

■大手マスコミの増税志向 (2011年6月19日)


政府の復興構想会議でも財源を増税に求めることを決め、財務省主導の増税路線にマスコミも乗っかっています。某大手新聞社に大物の財務官僚OBが天下ったりしていて、財務省の増税シフトに対して大手マスコミは賛成モードです。消費税が上がっても大手新聞社は困らないカラクリがあります。大手新聞は「新聞購読料は消費税対象外」という要求をし、その要求に財務省はOKを出している様子です。財務省と大手マスコミはすでに蜜月状態にあります。


山内康一・みんなの党、衆議院議員のブログより

 

 

日本のマスコミは官僚の天下りを散々に批判しているが、その急先鋒たる読売新聞の社外監査役に、2010年7月まで財務事務次官を務めていた丹呉泰健(たんごやすたけ)氏が就任している。きわめて重要な事実なので繰り返すが、2010年まで財務省事務方のトップ(次官)を務めていた人物が、同年11月に読売新聞に天下ったのだ。

 

 


(「増税のウソ」/ 三橋貴明・著)






つづく

コメント (7)
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