Luna's “ Life Is Beautiful ”

その時々を生きるのに必死だった。で、ふと気がついたら、世の中が変わっていた。何が起こっていたのか、記録しておこう。

トリビア 3

2007年05月10日 | トリビア

【愛国者】


 部分の利害のほうが全体のそれよりも大事だと考えているらしい人。
 政治家に手もなくだまされるお人好し。
 征服者のお先鋒をかつぐ人。




【愛国心】


 自分の名声を輝かしいものにしたい野心を持った者がたいまつを近づけると、
 じきに燃え出す可燃性の屑物。

 ジョンソン博士は、あの有名な辞典の中で、愛国心を定義して、
 「無頼漢の最後の拠りどころ」
 と言っているが、
 私はむしろ、
 「最後の」ではなく、「最初の」と言いたい。


(「悪魔の辞典」/ アンブローズ・ビアス・著)

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アンブローズ・ビアスは1842年に生まれ、第一次世界大戦が勃発した1914年ごろメキシコの革命戦線に従軍して行方不明になった新聞や雑誌にニヒルなコラムを書いていた人です。いろんな職業を渡り歩いた人でしたが、今日、この「悪魔の辞典」で有名です。「悪魔の辞典」は風刺作品です。短い文章で痛烈なので、読んでいて楽しいです。風刺感覚を身につけたい人にはゼヒお読みになってください。

「愛国心」の定義をわかりやすく言うと、野心的な人は「愛国心」を理由にして騒動を実際に起こしたり、あるいは物騒な雰囲気を醸成したりするが、やがて燃え尽きるかのように消えて行く、ということです。

後半は、とにかく騒ぎを起こしたい人は、まず愛国心を理由に選びたがる、ということです。もっともルナの身近では、「愛国心」より「阪神タイガース」を理由にしてどぶ川に飛び込んだり、騒いだりする人の方が多いですが…。

生活に押しひしがられている人は、鬱積した感情を何かに理由をつけて発散させようとすることは今日よく知られていますが、自己を喪失した人も、民族主義や原理主義的な宗教またはイデオロギーをかざしたがるものですよね。民族主義や国家主義はアイデンティティ・クライシスを容易に癒すものなのでしょう。

しかしそれもやはり、「すぐに燃え尽きる屑」なのです。

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長野県の南安曇郡高穂町にある上原良司(「きけ、わだつみのこえ」第1集の冒頭に「所感」と題する、特攻出撃直前に書かれた遺書で有名な人)の実家を訪ねたときだった(昭和63年)。上原の妹、清子(医師)は、長い取材のあとで、次のような言をなにげなく漏らした。

「兄たちが特攻隊として飛びたつとき、指揮官たちは次々と、『われわれもすぐに君たちのあとを継いで飛び立つ』といって激励したそうです。でも誰もそのあと飛び立たなかったと聞いています。その言葉を信じた兄たちは、その事実がわかったとしたらどんな気持ちになるでしょう」。

私(著者)にとって、この言は今なお重く響いている。そういう指揮官たちの象徴として、マニラの死守を叫んでいた陸軍の第4航空軍司令官の富永恭次中将のように、特攻作戦を進めながら自らは勝手に台湾に “逃亡” してしまったケースがある。同じ陸軍の第6航空軍司令官・菅原道大中将のように、「自分も最後に出撃する」と約束しながら、次々と特攻隊員を送りだした指揮官もいる(彼も、結局飛び立たなかった)。

生き残ったこのような指揮官たちが、戦後になって特攻隊員たちを慰霊、追悼する側に立って、声高に国民に慰霊を要求するのは、きわめて不謹慎である。むしろ彼らは「特攻隊犬死に論」の裏返しの行動をとっているに過ぎないのだ。特攻作戦の内実をこうして詳細に見てゆくと、特攻隊員たちを二重三重に裏切る光景が顕わになる。


(「特攻と日本人」/ 保坂正康・著)

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これらの指揮官たちは、特攻から逃げました。その死に恐怖したのはなぜでしょうか。特攻という死には意味がないとその逃亡や裏切りという行動によって示しているのです。保坂氏は彼らをあたかも冒涜者であるかのように書いておられますね。たしかに自ら送りだした若い隊員たちの人生を棒にふらせ、彼らの命を冒涜しているのです。

彼らがもし、靖国崇拝を脅迫によってでも主張しているとしたら、おそらくは自らの罪悪感がその動機となっているのかもしれません。こんなものは断じて「愛国心」などと呼ぶべきものじゃないし、それをして「愛国」という単語で表現してはならないものだと、わたしは思います。

特攻隊員たちの死を無駄にしない唯一の方法は、同じ過ちを決して繰り返さないことです。歴史から謙虚に教訓を得、それを政策と生活に反映させてゆくことです。日本独自の神話的世界観というきわめて主観的な思考に埋没した昭和10年代。そこから学んだ教訓は、外国民族のアイデンティティは自分の国のそれと同様、尊重しなければならない、ということです。決して自国の利益のために、外国民族の文化を否定したり、低く評価してはならない、ということです。だからわたしはアメリカによるイラク侵攻は間違いだと思うし、そんなものに決して協力してはならないと思うのです。

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2007-05-10 22:50:05
http://ameblo.jp/jollyrancher/ このブログ、やらせか?実名も顔写真もでてるしプライバシーの侵害で甚だ迷惑ですわ
返信する
はじめまして (ルナ)
2007-05-11 23:54:04
こんばんは。

最初、よそのブログの中傷かな、とおもって一たん公開を止めちゃいました。上記のブログを見ると、おっしゃるとおりでしたので、公開に戻しました。

プライバシーが侵害されていると感じたなら、ブログ元に苦情を申し立てることができます。まいけるさんが以前、贋まいけるブログのことでgooに救済を申し立てて、問題が解決しました。

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