
香港のデレク・ツァン監督『ソウルメイト 七月と安生』の韓国版。済州島からソウルを舞台にしたリメイク作品。この島から出ることが出来ないハウンと自由にここからソウルに出て行くアン・ミソ。小学生の頃に出会い、それからずっと一緒に生きる(たとえ離れても)ふたりの20年に及ぶ日々を描く。いや、その後だってずっと一緒だ。
ハウンが亡くなった後、彼女の生まれたばかりの娘(ハウンと名付ける)を引き取って育てている。7年の歳月が過ぎた。
ふたりはふたりでひとつ。反発して喧嘩もするけど、お互いが一番大事だし、自分より相手を思いやる。だからお互い傷つくけど。
絵を描くことが大好きだけど、まるで違うタッチの絵を描くふたり。好きな絵を描いて世界中を旅することを夢見る。好きになった男の子も同じ。だからアンはハウンに譲る。自分の気持ちを抑える。
オリジナル作品を既に見ているけど、お話を完全に忘れていたから(見た時にはあんなに感動したくせに!)とても新鮮に見ることが出来た。見ている途中も前作を思い出すことなく、先の展開も忘れていたまま(大丈夫か?オレ)最後まで見てしまった。
終盤は怒濤の展開で納得のラストに至る。ハウンは恵まれた暮らしを手にしていたが、自由に生きることができなかった。アン・ミソは不自由な暮らしの中から、自由に生きようとした。豊かさ、貧しさ。単純にそんな分け方は出来ない。だけど、ふたりはセットになりひとつの生き方を示す。
ふたりの娘(ハウンが産み、アンが育てた)を連れて自らの絵画展に行く。そこには彼女たちの描いた絵が展示されている。これが生きた証だ。韓国からシベリア鉄道でヨーロッパに向かう旅。乗れなかった飛行機で世界を駆け巡ること。夢は叶う。ふたりだから。
オリジナルより幾分甘い映画に仕上がった。きれいな風景もそんな甘さを助長する。だけどこの優しさは嘘じゃないし素敵だと思う。お互いを思いやる姿に胸打たれる。オリジナル以上の作品になっている。