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復興事業は日本の景気を下支えしている・・・小出しに、しかし着実に進む復興

2013-03-13 07:41:00 | 時事/金融危機
 

311の翌日の新浦安の様子です。

「住みたい街No.1」の街は、液状化で一瞬にしてボコボコになってしまいました。

あれから2年・・・。














■ 復興はゆっくりだが着実に進んでいる ■

311から2年が経過しました。
東北の被災地の復興が遅々として進まないと言われていますが、
実は液状化の影響で、道路や上下水道や戸建ての住宅が被害を受けた新浦安も、
復興のペースは決して早くはありません。
最近になってようやく、歩道の復旧美化工事まで辿り付きました。

■ 限られた財源の中で優先順位を付けて進む復興 ■

ディズニーランドという優良企業を抱えているとは言え、
浦安市の財源も無尽蔵ではありません。

ですから復興は優先順位を付けて行なわれています。


1) 上下水道などインフラの復旧。

2) 道路の応急処置

3) 被災者への補助金などの緊急支援

4) 護岸など安全に関わる施設の復旧


ここら辺が初年度に行なわれた様です。
ここから先は、長丁場となります。

6) 学校などの建物の復旧工事

7) 道路下の見えない空洞の埋め戻し

8) 下水管などの本格改修

9) 歩道の美化回復工事

12年度は、インフラの本格回収がメインの復興事業だった様です。
これは13年度も継続して行なわれるでしょう。

残っているのは、新浦安駅と舞浜駅の駅前の改修美化工事です。

■ 地元や周辺の業者を潤す震災復興 ■

震災直後は、どこからこんなに業者を集めて来たのかと思う位、
多くの業者が集まって、市内のあちこちで応急の復旧作業が行なわれました。
その後も、復旧工事は土木業者を中心に安定した仕事を生み出しています。

景気が低迷し、公共事業が縮小していた折、
多くの中小零細企業が、震災復興の工事で仕事を得る事が出来ました。

市民からすれば、復興は早いに越した事はありませんが、
地元の業者からすれば、大規模な工事が一気に発注されて
地元以外の業者にも仕事が流れるよりも、
出来るだけ、仕事を小出しにしてもらう方が、経営が安定します。

市の台所事情と、地元の業者も利害は一致します。

■ 復興バブルから景気回復を願う世間と、復興景気の長期化を願う地元 ■

東北の復興が遅々として進まないことが問題になっていますが、
東北の被災地の土建業者からすれば、大手ゼネコンが仕切る様な大型事業よりも、
ほそぼそと、末永く仕事が続く事を望んでいるかもしれません。

住民にしてみても、「復興」という名目で
一気に近代的な街並みになるのには抵抗があるでしょう。

街並みだけが変わっても、地元の漁業を中心とした生産力は変わらないので、
生活が豊になる訳ではありません。

世間は「復興バブル」を望んでいる様ですが、
地元の住人としては、産業の誘致など、
将来的な生活の安定を望むはずです。

復興スピードにしても、10年、20年と地元にお金を落とし続けるペースが
本当は望ましいのかも知れません。

■ 成熟社会の公共事業 ■

日本全体としても公共事業の持つ意味あいが
社会の成熟と共に変化しています。

高度成長期は、大型なプロジェクトが経済成長を促しましたが、
現在は、「維持管理」が公共事業の中心になりつつあります。

高度成長期に建築された道路や橋やダムなどは、
今後次々と寿命を向かえ、延命させるだけでも補修費用が膨大に発生します。

これらのメンテナンス費用は、地方に派手でば無いかれども
安定した事業を長期的に生み続けます。
これは、成熟社会の公共事業の有り方としては間違ってはいません。

■ 政治的に目立った成果を求める政治家 ■

政権交替前に「公共事業」への反発が高まったのは、
無駄な公共事業が財政を圧迫した事によります。

政治家は選挙の為には目立った成果を必要とします。
長期的なインフラの整備には行政の仕事なので、
政治家の手腕を発揮する事が出来ません。

政治家は、空港を作ったり、箱物を作る事で存在をアピールしてきました。
農道空港などが顕著な例ですが、
農道整備といいう名目で、地方に農業用の空港を整備しました。
結果は、全く使われる事無く、保守費用をたれ流しています。
「地方の農産物を飛行機で消費地に運ぶ」という発想が常軌を逸していますが、
自民党政権化で農政族と農林省はこんな予算の無駄遣いをしていたのです。

先の自民党政権の末期には、公共事業の需給に完全にミスマッチが発生していました。
老朽化するインフラ整備に掛けるべき予算が、
必要もない、派手な事業に浪費されていたのです。

ですから、「コンクリートから人へ」という形の政権交替で、
悪しき慣習の継続を断つことは、無意味では無かったのです。

■ 国民にも発想の転換が求められる ■

必要なインフラを、行政が主導する形で的確にメンテナンスする。
これが現在の日本に求められている公共事業です。
地味ですが、必要不可欠です。

ここに政治の介在する要素は多くはありません。
結局、事業の優先順位を決めるシステムと、
それを監視するシステムさえ構築できれば良いのです。

ユーロッパなどでは、市民の監視体制がある程度確率されています。
地方行政の政治家も、派手なパフォーマーでは無く、
市民の代表的な存在です。

結局、政治は国民や市民の義務であるという認識が
ヨーロッパのデモクラシーには根付いています。

政治家は「偉い先生」では無いのです。
利権誘導とぴう権力を封じれば、政治家はただの人となり、
本来の姿を取り戻します。

■ 日本に求められているのは民主主義の成熟 ■

私たちは政治に文句を言います。

政府が悪いから景気が回復しない。
政府が悪いから、日本の国益が損なわれる・・・・。

しかし、選挙も棄権し、市長や議員の名前すら知らないで
「日本の政治はおかしい!!」と叫ぶ事は、何だか滑稽に感じます。

着実に復興する浦安の街並みを日々眺めながら、
一方では「浦安が被災地である」事を国に訴え続けた
市長の存在の意味などを、漠然と考える今日この頃です。