アンサンブル・ド・ミューズ ニュースレター

レッスンの事、日々の出来事などいろいろと…。

お喋りに花が咲いた…♪

2016-03-13 10:20:02 | Weblog
数日前のこと、初対面の女性とお喋りして盛り上がった。
60代半ばだという彼女、お洒落に手を抜いていない素敵なひとだった。
ふとした話の成り行きから私がバレエ教師だということがわかると…、
「踊ってるときの笑顔って、作り笑いとほんとの笑顔と違いますよね
と訊いてきた。
彼女はフラを習っているそうで、クラスメートの中には頓珍漢なことする人もまぁいるんですって。
「口開けて歯を全部見せれば笑顔って、ソレ違いますよね
「違いますねぇ… 笑顔って笑顔になる理由がありますからね」
「ソレってたとえば…」
道端に咲いているお花を見てキレイだ可愛いと思える、表を歩いていたらお花の佳い香りがして幸せな気分になる、スッと風が通った時に気持ちがいいと思う…etc.etc.…、そういうことか、と…。
「そう。感情や記憶や思考にともなって表情があるから…」
その時その時の振り付けの意味合いに応じた感情の記憶を呼び出して、つまり記憶の引き出しを開けて表情を生み出していく。
歯を見せれば笑顔とか、眉間にしわをよせれば悲しみとかそんなものではないわね。
フラの場合はとくにそうでしょ。
手の動きのひとつひとつが全部言葉を表しているわけだから、言葉の意味と無関係に取って付けたような笑顔もどきを貼りつけてもねぇ…
「そうですよね、そうですよね。じゃぁ、ちょっとしたことにも喜べたり感動したりして、それを外に出せるってことは大事ですよね
うん、それは大事。
日常的に感じたことを言葉や表情に出来ないなら、振り付けに応じた表情で踊るってことは難しい。
「口開けて歯を見せてるだけじゃ、見てる人には伝わらないってことですよね
まぁ、伝わらないね。
まず自分が何かを感じてないとね
「もうひとつ訊いてもいいですか?」
彼女が通っている教室では生演奏でのレッスンをしているんですって。
で、その時その時で曲のテンポが変わることもある。
そうすると“Aの振りからBの振りに移るところの間(=ま)が違う”と文句をいう生徒さんがいる、と…。
「テンポが変わってるだけで、間はそのテンポに応じたものだっていうだけのことですよね
そりゃそうだ。
「4分の4拍子で1小節が4拍、16小節として64拍。その64拍を60秒で演奏するか、72秒で演奏するかの違いだけだからね。60秒なら60秒に応じた間、72秒なら72秒に応じた間、それだけのこと。“間が違うんじゃなくてそもそもテンポが違う”ってことを理解しないとね
「でもその人、毎日お家で練習してるんですって…」
「ん~。たぶん練習してるうちにちょっとずつちょっとずつ勘違いが生じていつの間にか違うものになっちゃってるんだろうねぇ…。そういうことがあるから下手な自習はしないほうがいい場合もあるのよ。妙な癖なんかついちゃったら直すのが大変なの」
「あ~、やっぱりぃぃ…
と、踊りのことから人間関係のことまでいろんなお喋りをして楽しかった
でね…。
私が立ちっぱなしで平気だってのは単なる当たり前。
でも60代半ばの彼女が何かに寄り掛かることもなく自分の脚だけで、すっきり背筋も膝も伸ばしたまま立ちっぱなしでいられるってのは大したものだと思う。
相手がよろよろもたもたと立ってるのが辛そうにしてたんじゃお喋りする気にはならないものね
コメント
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