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飯盛り侍、最終巻…♪

2016-03-12 10:46:31 | Weblog
『飯盛り侍 すっぽん天下』 井川香四郎著 講談社文庫
シリーズ最終となる第4巻。
第3巻が出てから最終巻が出るまで、思いのほか早かったな。
本能寺の変があり、秀吉勢と毛利方の和睦が成ったところで第3巻は終わった。
第4巻では明智の三日天下もとっくに終わり、秀吉の天下となって数年。
弥八っつぁんは成り行きで秀吉の台所奉行となる。
その間に徳川家康が着々と、周到に策を廻らしていく。
読んでいてふと思った。
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康。
私は信長好きだ。
徳川家康も決して嫌いではない。
だけど、秀吉だけは、どうしても好きになれない。
だれが書いても、だれが演じても、秀吉が秀吉である限り好感をもてない。
『飯盛り侍』で描かれている秀吉にも、薄っすらと嫌悪感を抱いた。
ま、それはさておき…。
縁あって、秀吉亡き後は徳川家康に仕えることになった弥八っつぁん。
そしていよいよ天下分け目の関ヶ原。
ここでも飯盛り侍の面目躍如。
徳川方の武将が陣取った場所によって食べ物を変えるという。
また駆け登るのと迎え撃つのとでも身体の負担が違うからと、用意する兵糧を変える。
そして向かい合っている敵陣にまで美味そうな匂いが漂っていけば、それで敵兵の戦意を削ぐことにもなると用意万端怠りない。
結果、徳川方の勝利である。
腹が減っては戦は出来ぬという言葉があるが、まさに兵糧で戦を勝利に導いた。
“常勝のローマ軍はロジスティクス=兵站で勝つ”
と塩野七生氏も書いておられたもんね
ま、関ヶ原の勝利で大団円。
徳川の天下となり、その後、家康の死の直前に弥八っつぁんは放逐されたそうな…。
第1巻の冒頭、龍造寺家の足軽だった日から数えて何年経ったことだろう。
弥八っつぁんもそれなりの年齢に達していることでしょう。
またまたどこぞの大名に仕えているのか、それとも市井で飯屋でも営んでいるのか…。
「俺ぁ食い物で戦ばしとっとよ」
と言った飯盛り侍も、太平の世となった日々の中で今度は人を幸せにするために料理をしているといいなぁ。
食い物を主軸にした珍しい時代劇だった。
視点を変えて読めば、ちょっとした栄養学の勉強にもなりそうだな
コメント
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