WIND AND SOUND

日々雑感 季節の風と音… by TAKAMI

トイレにいきたい!

2011-09-09 | 実父


9/1 

家の用事をしていて、父のところに行くのが少し遅くなってしまった。

部屋に入ったら、父は食事を始めたばかりだったけれど、私の顔を見るなり「トイレに行きたいから、ここから降ろしてくれ」と。
顔を歪めて、不快感をあらわにしていた。
私は、咄嗟に父の手をとったけれど、父は、渾身の力をこめて私の手を掴んて、ベッドから降りようとしている。
父の腕の力がまだ残っているのは「引っ張りあいこ」のときに知ったけれど、今日はそのときにも増して、必死の様相だった。
ものすごい力で震えながら起き上がろうとしていた。

どうしてそこまで…

「お父さん、便はおむつの中にしたら、すぐに介護師さんが取替えにきてくれるよ。」
「そんなんわかっとるけど、したくてもできんのじゃ!」

ヒロコさんから、父は介護師さんにめんどうをかけるのが申し訳ないという気持ちがあって、
自分で用を足そうとするという話をずっと以前に聞いていた。
入院したばかりの半年も前、自分でベッドから降りてトイレに行こうとして大失敗をしたときの話。
でも、今は、少し違う。
絶食していたり、おかゆ以外なにも食べられなかった頃と違って、
今は出される食事を完食しているのだから、便もそれなりだと思う。
人間の本能として、着衣のまま、寝たままで排便するというのは、とても不快に違いない。

私は父の言うとおり、ベッドから降ろそうと試みる(ふりをする)けれど、父には、自力で起き上がって、立つことなんかできないのだ。
不快この上ないというふうに顔を歪めながら、おむつの中に排便したようだった。

すぐに介護師さんを呼んで、取り替えていただくようお願いしたけれど、、父はまだ終わってないと思ったのか
「取り替えさせてくれないんです、すみません、もうちょっと待ってください」と…
暫く待って、とりあえず出た分だけでも、残りもまたすぐに取り替えるからということで、
やっと納得して、取り替えていただいたようだ。


看護師、介護師さんたちも、私が実の娘だと、だんだんわかってきていると思う。
私は娘なのに、なんで父親のおむつ交換をしないんだろうと思われているだろうなあ、、、


中断した食事を再開して、それからは、スッキリ気分がよくなったらしく、父の機嫌はよかった。

父は、介護服の足の部分のファスナーを締めるなと言ったらしく、太ももの付け根から足がむき出しになっていた。
太ももの脂肪も筋肉もなく、骨とシワシワの皮だけで、膝の関節部分だけがとても大きく見えた。
切なかった。

「哀れげなやろう…」
父は、自分の太腿をさすりながら他人事のように言う。
「ほんとやねー、皮がたよんたよんや。リハビリせないかんね。」

お父さん、入院して半年経って、突然ご飯が食べられるようになったんやから、
それまで全然食べられずに、もうこのままひからびていくんかと思っとったんやから、
リハビリも、まずは寝返りからやわ。赤ちゃんといっしょや。
ちょっとずつ動いて、ベッドから降りられるようになろうよ。

気休めじゃなくて、ほんとに心からそう思わないと、こんなこと言っても伝わらないと思う。

このまま父の認知が進んで、自分の体の状態がわからなくなり、子供から赤ちゃんに帰っていって、ついには天に召されるのが幸せかもしれないし。
奇跡の復活を遂げて、今いちどダンス教室のフロアーに立てるなら素晴らしい。
世界一頑固な父は、きっと自分の本能で自分のこの先を選ぶ。
私は、それを介助してあげればいいのだ。


朝からなにも食べてなかった私は、「スパイシーモスバーガー」を買いにいって、ついでに父に「かき氷」買ってくるね…といって、中座したのだけど、
部屋に帰ってきたら、父は熟睡していた。
私がモスバーガーを、もぐもぐと無心に食べていると、介護師さんがおむつ交換に来てくださった。
「今、熟睡してます」というと、介護師さんは、「しめしめ、じゃあ今のうちに」って感じで、処置をして下さった。父は全然起きなかった。
きっといつも、おむつ交換には手こずっているんだろうな、、、

昼食どきの排便事件で、父はきっと体力消耗しまくって、疲れて寝てしまったんだ…


せっかくのかき氷、解けちゃうけど、多くぃむリミット。起こさず黙って部屋を出た。




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おみやげ買ってきたよ

2011-09-09 | 実父


8/27

さて。
高知旅行の父へのおみやげ、何にしよう…
食べ物は、瓶詰めひと瓶でも、口に合わなかったり、ずっと食べ続けると飽きることもあるしなあ…
ということで、タオルにした。
表面は手ぬぐい、裏はタオル地のかわいい和柄。
1本は金魚、1本はパステルのチェック。
かわいらしくて、使うのがもったいないと父は言うので、無理やり紙の帯を破って、早速食事のときのエプロンがわりに(^_^;)

この日も父は全部食べて、薬まで自分で飲んだ。
飲みにくい粉薬を、これまでは、3~4口に分けて口に入れてあげていたのに。

「そんなことも自分でできるようになったん? 私のすることがなくなるやん。」

「やさしいこと言うのー」と、父は涙ぐんでいた。


そうそう。
前回(前々回だったか?)見舞ったとき、父の点滴がはずれていた。
「お父さん、点滴もうせんでもようなったん?」
「うん、もう治ったんや」

私は、父が突然食べられるようになったので、点滴が不要になったのだと思った。

ところが、あとでひろこさんからのメールによると、父はカテーテルを差し込んでいる傷口が痒くてたまらず、点滴を外してしまったのたそうだ。
そして、ドクターから、
「高齢者、特に認知のある患者さんには、よくあることで、痒さに絶えられず点滴を外す患者さんはかなり多い。
鍵付きの介護服を用意してください。」
といわれたそうだ。

大静脈への点滴のおかげで、ひからびていた父は復活したのに、このままだと、いくら食事が食べられるようになっても、また徐々にひからびていくんだろうか…

父は、この日、介護服を着ていた。
ファスナーを閉じ終わったところに強い力を入れないと開けられないスナップがついているもの。
開けるにはコツがいるので、私もよく外し方がわからない…
もしわかったとしても、父にせがまれて「外せ」と言われても、わからないと言い続けるだろうな。

父との時間は、週に2度、数時間ずつ。
あとは、数十分のお見舞い程度。

その間に対応しきれない我儘を父がいっても、「そんなこと私はようせんよ」といって、その場しのぎでやり過ごす。
ベッドから降ろせ…という我儘。
でも、ヒロコさんは、毎日父に付き添って、全部を背負っているのだ。
私は、その1割の荷も負ってあげられない。





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