おじたん。的ぶろぐ生活。

おじたん。である。語るんである。

異常であって病気で無い者。

2004-11-23 00:40:25 | 我思う、故に書くなりよ。
小学生がもらわれてかれこれ1週間になろうとしている。

報道のこっち側にいる身からしても犯人の異常さが尋常で無い事が充分判る。だが、異常であって病気では無い。ここがポイントだ。

病気ならば、自己統制できないので簡単に露見する。裸でふらふら歩き回ったり、奇声をあげたり、周囲の状況に関係なく暴れまわるので、周囲は通報なり逃げるなりして露見する。また、病気であると診断されれば罪には問えない事になる。

異常であっても病気で無い者は、自分の身を守る術を知っていて、巧妙に社会に溶け込む。外見に異常さは見られず、普段のなりも社会にきちんと適応している場合が多い。だが、その趣味嗜好となると、尋常ではない。妄想の世界を具現化する努力に勤しみ、常人では理解出来ない世界に浸る。

何かのきっかけで常人の一線を越えると、今回の様な凄惨な事件として我々が知る事になる。我々が知らない所で類似の事件を既に行っている事も考えられている。手際が悪くない。ぬかりも無い。幾度かの実践を得た上での「完成形」を目指したのが今回の事案ではないかと思う。

簡単に言えば、ハンニバル。あのレクター博士と同じ分類に属する犯罪者である。方向性は違うが、異常ではあっても病気では無い。だから易々と捕まる様な事はしないのである。レクター博士ほど高尚な知識があるかどうかは判らないが、少なくとも最新のケータイの扱いには慣れているようだ。

快楽の度合いに因るとは思うが、しばらくなりを潜めて世間の動きを眺めるかもしれない。我慢出来なくなれば、また事件を起こすんだろうと思う。

日本でかつて類似の事件が起きているかどうか、ハッキリとしない。単なる殺人事件、性犯罪として報じられてしまうと我々には判らない。被害者の人権、加害者の人権を考慮すれば、ストレートに報じられる事も無いだろうし、裁判でも始まれば週刊誌で少しは詳しい事が判る程度である。

だが、アメリカで起きた類似事件については詳しく知っている。ネットで調べれば多くヒットするし、書籍にもなっている。FBIのサイトでもくまなく眺めていれば概略位は判ると思う。裏を返せば、それだけこういった特殊な事件が数多く起きてしまった国だからこそ…と言う面もあるようだ。

おかげで、この種の犯罪に関してはFBIの情報に勝る物が無い。それ位に組織が効率化され、同時に高度に専門化されている。元々が科学的な捜査を根底にしている組織なので、データの蓄積による研究と解析は世界一と言っても過言ではない。まぁ、ここまでなら映画やドラマでも披露されていたりするので知っている人も多いと思うが、実は特筆に値するのが「機動力」なのである。

捜査本部を丸ごと運べる軍用貨物機がいつでも飛ばせる状態にある。必要な機材はコンテナで用意され、オーダーがあれば積んで出掛ける。国が広いとやる事デカイなぁ…と思ったんだが、州をまたがって起きる犯罪に、地元の警察では限界があり、まとめて面倒見るのがFBIだから、当たり前でもあるのだが、解説のねえちゃん曰く、専門家を現場に迅速に大量に投入する事が大事らしい。州ごとにFBIはあるので、その辺はどうなのか尋ねると、専門家の多くはバージニアにいるらしい。すぐ近所の海兵隊の基地から飛ぶとかなんとか。

そう言えば、地元の警察とFBIで揉めてるシーンが映画で観られる事もあるが、あれはこういう機動力の末の出来事らしい。あの物量と人員を見ちゃえば、どう見たって「強引」だもんなぁ。

それはさておき、特殊な犯人を追い詰めるのには、迅速な人海戦術と高度な専門知識が必要とされる。これが日本で出来るかと言うと、難しいだろうと思う。プロファイリング等の捜査手法もあるが、そのまま日本に持って来てもダメである。日本の社会に即した物を確立しないといけない。精神医学の面とかはそのまま導入出来る事もあるだろうが、社会性と言う要素が意外に重要なワケで、日本とアメリカじゃ当然違ってくる。そのためのデータの蓄積が無ければ、単なる「想像」でしか無い。膨大な犯罪のデータベースがあって、はじめて研究なり解析が出来るワケで、当然、一元管理されるようなシステムと組織構造が伴わなければならない。日本だと、都道府県毎の警察単位って事だろうから単に真似しても効果があると思えない。こういった事案に専従して捜査する部署があるとも聞いた事無いし。これからに備えてそういった全国規模の仕組みと組織を導入するのも悪く無いと思う。

では、犯人を捕まえられないのか? 決してそうではない。日本には日本の事情ってもんがある。地域性と社会性の特異な面が地方ごとに違っている。人々の生活が近代化して、平均化してきたと言ってもなかなか消える物では無い。それぞれの地域の社会性を汲み取る事が出来るのは日本の交番システムを始めとする現場に密着した警察ならではの事だ。その中から僅かなひずみを探し出し、お得意の科学捜査で追い詰めれば、必ず犯人は捕まる。

ただ、異常であって病気で無い者は「賢い」。賢いからこそ成立した犯罪だと思う。行きずりでさらって捨てたのとは違う事は周知だが、特殊な趣味嗜好こそが命取りになる。アンダーグラウンドな妄想を具現化した罰は必ず与えなければならない。そして、こいつをどう裁くのか? しでかした事に見合う罰を与える事が現行の法制度で充分なのか、別の問題でもあるが注目されると思う。そして、被害者への謝罪と補償。これにも踏み込んで罰を与えなければ、日本は「殺され損、やられ損」の社会が成り立ってしまう。

我々には警察を応援する事しか、今は出来ない。なかなか進まない進捗に、報道のこっち側の我々はじれったさを覚えるかもしれないが、これ、ちょっと間違えると「罪に問えない」事になり兼ねない。だからこそ非常にデリケートに捜査は進む。誰だって、無防備な小学生をこんな目に遭わされて怒りが爆発しないワケが無い。事件の詳細を知る警察官ならなおさらだと思う。早い事に越した事は無いけれど確実に犯人に近づいて、検挙して欲しいと思う。

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