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あんにょんはせよ

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HOPE : 読まれていない本と読まれていない人生

2023-04-20 | ミュージカル・演劇・コンサート

初演から大好きだったミュージカルHOPE

ホープ役のキム・ソニョンさんが2023年4月16日の夜公演で100回目の出演となりました
大好きな俳優さん&作品なのでもちろん観に行ってきました^^


ホープ役はキムソニョンさん
K役はチョヒョンギュンさん
マリー役はホンリュニさん
過去ホープ役はチェソヨンさん
ベルト役はソンヨンジンさん


言わずもがな、なミュージカルHOPEの歴史を刻む最強ペアです

初演の時もそれはそれは観たかったペアなんですがとにかく忙しくて時間取れず断念
再演でリベンジ観劇をしたら、まあああ~凄まじくて!

この作品に興味を持たれた方いらっしゃったら
必ずこのペアで観劇されることを個人的に強くオススメします。
2回目はお好みでどうぞ(笑)

役者さんはもちろん好きな役者さんですが、作品性の観点で申してもこのペアは絶対です。

何が凄いかというと様々な解釈ができるこの作品
演じる俳優さんも人間なのでキャラクターに共感し人らしく変化していくなかで
ホープ役とK役の一番大事な軸がぶれていかないところが凄いんです。


ポスターにもある

"이건 나야! 이 원고가 나라고!"(これは私だ!この原稿は私なんだ!)

ホープはKでKはホープ
この大切な軸から決して外れずそれでいて余白をもってお二人は演じられているのです。

擬人化した紙がホープにあれこれ話すから観ている側はKは別人格で感情や思考をもっていると錯覚しやすいのですが
あくまでKは原稿、紙なんです。

このお二人の演技はホープとKというふたつのキャラクターそれぞれに感情移入させる巧みな演技を見せながら突然ホープ=Kという事実をクライマックスに観客につきつけてくるんです。

この阿吽の呼吸と言いますか...凄いなと改めて感じた観劇となりました。

といっても役者さんは人間です。
感情はいりますねー
再演と今回の三演では役作りが少々違っていたのと、演出のちがいもあり再演とまた印象は変わっていました。
そしてソニョンさんが100回だからなのかヒョンギュンさんのエンジンのかけ方が早くて...

序盤から僕はただの紙だ!手離せ!が前面に出ていてそれをあしらうソニョンさんというようすが可愛らしかったです。

中盤あたりからはヒョンギュンさんずっと涙流していて
後半には鼻水もじゅるじゅるで最後のナンバーにはいる直前
客席に背をむける一瞬で両手で涙と鼻水ぬぐって歌いきりました(ちゃんと聞き取れる滑舌の良さが凄い)
わたしの観劇史上、あんなに鼻水じゅるじゅるな俳優さん観たことなかったのでびっくり感動でしたよ...。

ホープ役には鼻水をぬぐうハンカチが衣装として用意されているのですが
K役にも用意してあげて...(紙役だけど演じるの人間だもの)と願ってしまったり(笑)



三演のソニョンさんは(通称、クイーン)とてもくだびれて感情も生きる光も失っているホープを演じられていました。

再演の傷だらけの子供のようなホープも良かったし今回の暗澹と静寂をまとい絶望を抱えたホープ像もとてもとても良かったです。

うなってしまうくらい演技がうまい!

以前は子供のようにはしゃいだり、笑ったりもしていたホープですが中盤あたりまでは
常に強張った表情で偏屈なおばあさん感増していました。

静かなホープが後半、波紋をよび作品を揺らします。
凄かった...本当に凄かったんです。

ホープの代表ナンバー、HOPE
このナンバーでクイーン、かわいた笑い声をあげそのあと床につっぷして泣いたんです

こんなにも観ていて心をえぐるHOPEがありますでしょうか

会場、涙鼻水の嵐です
湿度ぐんぐんあがっていきます

そんな観客に負けないくらい泣きまくってるヒョンギュンさん
Kとして泣いてるのかいち俳優さんとして泣いてるのかわからない位の顔面大洪水

ふとみると後ろで聞いている俳優さんみんな目も鼻も真っ赤にして泣くの我慢してるんです
このシーン、内容としてはホープとK以外は泣いちゃだめなんだと思いますが
堪えられず泣いちゃうこともあるようです...

プロ意識とかを問うならば宜しくないのか分かりませんが
あの歌詞、あの演技で果たしてなんの感情も揺さぶられずにいられるとするなら
むしろ心に闇を抱えているんではないかと疑いたくなるくらいに
役者さんが堪えず泣く姿がゆるせちゃうくらいに涙をこらえられない凄まじいナンバーとソニョンさんの演技です

語るように歌い、ぐいぐい観ている側の感情を引っ張っていく
これがミュージカル俳優なんだと
ミュージカルは歌えて演技ができて成立する
高度なテクニックが要求される難しい芸術なんだと改めて感じた正真正銘の韓国ミュージカル界の女王の歌でした。


ヒョンギュンさんは、私個人的には歌がめちゃくちゃうまーいと感じる役者さんではないのですが
ミュージカルナンバーの魅せ方、聴かせ方を心得た俳優さんだなぁと思っています。

三演のヒョンギュンさんは、正直こうだと判断して良いのかわからない位大号泣でいらしたので何ともなんですが...(笑)

ホープが願い続けたお母さんである、という部分は変わってなかったかなと思います。
ホープがお母さんを求めていたから子を守るお母さんであり続けたような印象です。

再演の時もお母さんだなと思いましたが
ヒョンギュンさんの演じかたがKの意思でお母さんであるのか
ホープの願望をうつしだした鏡なのか
それとも両方なのか
含みのある演技をされていたからよく分からなくて。

お母さんとしてホープを見守り、励ましてる一方
どこかドライでホープをはじめ人間たちを不思議そうに眺めている様子も見えるんです

このKはホープの一部でありながら
別人格で意思や感情があるのかという論争(?)に火をつけてくれます

ヒョンギュンさんのKが好きな理由はここにあります

そして、とにかく声が優しくて甘い
빛날거야 에바호프(輝くよ、エバホープ)と판결(判決)というナンバーが続くのですが
ヒョンギュンさんの声で聴くとここは天国ですか?位に穏やかで優しい声に癒されるんです。

だって

넌 수고했다(がんばったね)
넌 충분하다(十分だよ)
살아냈다(生き抜いた)
늦지않았다(遅くなんかない)

って不運と不幸続きで自らを罰するために幸せから遠ざかって生きてきた78歳の女性に
ぎゅーってハグして背中ポンポンしながら歌うんですよ

ホープも言います
誰も手を差しのべてくれない、と

誰も言ってくれない優しい言葉をKが言ってくれるんです
現実世界でもこんな風に労ってくれる言葉聞きませんよ

この言葉を聞いていると、ホープと共に私も会場にいる人みんなも癒され
ほっと肩の力が抜けて穏やかな空間が生まれるんです

ヒョンギュンさんの声には歌詞に負けないくらい癒し効果があって私は大好きです

そんじょそこらのセラピーなんかよりよっぽどヒーリング効果があるミュージカル(笑)

すごく泣くし観ていてつらいシーン連続のミュージカルなんですが
この癒しがほしくてまた行ってしまいます

言葉にとても力があり、音楽に力があるミュージカルです

これらのKがホープにかける慰労の言葉はホープ自身の言葉です
自らを嫌悪し、幸せや自由に怯え遠ざかり、弱さを認めずネジ曲がってしまった78歳の女性が
自分を許す言葉はとても美しいです。

結局、誰ひとりホープをどん底から救いません
ホープが自ら抜け出すのです

78歳で後悔するなら79歳はもっと後悔します
まだ遅くない
充分がんばって生きてきたから誇りをもって自分を許すホープは会場にいるすべての人たちの希望の光となり清々しい顔で去っていきます

どうかたくさんの方が癒されに観に行ってくれますように^^


チケット引き換えのとなりにKの言葉メモがあります

언제나 빛날 당신을 응원하며 -K-
(いつも輝くあなたを応援-K-)

日常を諦めず人生をがんばっている私たちみんなに
K/ホープの言葉が届きますように























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