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あんにょんはせよ

ロンドンで出会ったオトメン韓国人旦那と2014年12月生まれの娘と
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オペラ座の怪人(오페라의유령)

2023-08-29 | ミュージカル・演劇・コンサート

オペラ座の怪人またまた観てきました。

ウエストエンドで観劇していた頃からとても嫌いで苦手な作品だったんですが
初日のジェリムさんの情熱にほだされジェリムさん4回目の公演、わたしは2回目の観劇となりました(推しってこわい)


ファントム役はチェ・ジェリムさん
クリスティーヌ役はソン・ウネさん
ラウル役はソン・ウォングンさん

前回と同じ組み合わせです。

さて、初日をむかえた後たくさんのレビューがあがりたくさんのメディアにインタビューされ
ご本人も様々な反応を肌に感じ演じかたをさらに熟考されたんでしょう。

初日とまるで別人のような歌唱、演技を見せてきてくれ驚きました^^

毎公演、歌も演技も楽しそうに変えながらパフォーマンスをされてきた方ですが
これだけアレンジ多い公演はわたしは初めて観ました。

まずは初日は声楽専攻のプライドが感じられた本格的なクラシック発声が基本でそこにミュージカル歌唱の要素を織り込んでいったものでした。
過去のジェリムさんの作品では聴いたことのない上から押し付けるような密度の濃い声に
ファン一同戸惑いを隠せずにはいられないくらい知らないジェリムさんの声に少し怖さも感じるくらいでした。

しかし今回は多くのミュージカルファンが知っているミュージカル俳優チェジェリムの声
もちろんクラシック発声がベースではあるのですが前回みたいにクラシックの教科書のような
堅物な歌ではなくもう少しミュージカルらしい崩され方をしていて
ああ、やっぱりジェリムさんの声は爽快で艶っぽく良いなと聞き惚れてしまう素敵な声でした。

多くのミュージカルファンが言う通り
声楽専攻者のクラシック発声のテクニックと
ミュージカル俳優歴14年で培ったミュージカル発声のテクニックのバランスがお見事です

今シーズンのオペラ座の怪人のファントム役のなかでもっともミュージカルとクラシックの歌唱が完璧な俳優と言われています(見比べしてないので真偽はわかりませーん)

私もミュージカル俳優のチェジェリムさんのファンだから今回くらいのバランスが
ちょうど良いなと思いました




そして役作りは初日後のインタビューを要約すると
ジェリムさんが解釈しているファントムは異形として生まれなければ秀でた才能で名声を得たはずなのに闇の中で暮らす憐れな存在

生い立ちゆえひねくれねじ曲がった思考でとても利己的
コミュニケーションの取り方も知らないから常に服従させ命令するような話し方しか知らない

そして何より、衝動的なファントムという骨組みで演じていると
子供のように関心事が秒で移り変わりその都度衝動的に感情を爆発させていると

またこれは共通の演出になりますが
ファントムにとってクリスティーヌは最初は音楽のミューズであったが
クリスティーヌがほんの好奇心からファントムのマスクをはがしてしまい
ファントムに返した瞬間からクリスティーヌに恋をするようになったと明かしてくれました(大事なことをさらっと説明するミュージカルの教授様)

確かにFinal Lairでクリスティーヌが「もうあなたの顔はこわくない」と歌うメロディが
このマスクを戻すシーンで最初?に流れますよね

苦手な作品ですが今シーズンで少しはクリスティーヌの理解をしたいと目標を掲げてます

ジェリム教授の講義()によりファントムの感情の変化がわかったので
それをふまえて観劇をしてみたらなるほど!となりました。

ジェリムさんのマスクをつけている側のファントムはとても自信家で高慢で狂暴なファントムです
体格と声量をいかした威圧感のあるファントム像は怪人というより怪獣です

初日はとにかく化け物みたいなファントムでご本人もやりすぎたと思ったのか
この日は別人のようにファントムのマスクを外した側の芸術家としての繊細な面を表現されていてよりドラマチックになりました。

クリスティーヌにマスクをはずされ床にはいつくばりながら唸るように怒りや呪いの言葉をぶつけていても
眉は八の字になりおおきな体を小さく丸め怯え手は震えていました
マスクをはずした自分は憎悪されると怯えているのが分かりました。

この演技とジェリムさんの説明をあわせてみると
クリスティーヌはマスクの奥の繊細でもろい孤独に怯える子供みたいなファントムの姿をこの瞬間に見つめたんだなと分かりました

クリスティーヌが仮面の奥の姿を見つめ
鎧のようにつけるマスクが必要だと認めてくれ
ファントムはこの瞬間に恋をしたのだと分かりました(世界に認められなかったという歌詞もどっかありましたよね?)

いやあ、気持ち悪い(ばっさり)




Music of the nightは反復する旋律を繊細かつ壮大に歌わなければならない
とても難しいナンバーだと理解してますが
今回もジェリムさん、素晴らしかったです。

特に最後の밤의 노래여の最後の여は繊細で上質な絹の糸のような
金色の星がまっすぐ光をさすような細く美しい音で...
怪獣みたいな建物粉砕しそうな声をだすジェリムさんだけど
ここまで繊細で細くまっすぐな綺麗な音が出されるなんて天才としか言えないなとうっとりでした。

だから私にとっては音楽の天使なんです^^

ロンドン在住時代に気付いていたかもはや記憶は定かではないんですが
All I ask of youを歌い終わったあと
マスカレードのメロディが流れてくるんですよね

これはクリスティーヌの二面性を表現しているんだなと感じました
闇(ファントム)に怯えていたクリスティーヌが光(ラウル)を見つけ自由を求めた瞬間
クリスティーヌも半分仮面をかぶるのですね

音楽の天使を師とあおぎ芸術家として崇拝する少女クリスティーヌという顔と
将来のパートナーとして自分を守護してくれる男性に恋をするクリスティーヌの顔
クリスティーヌがふたつの顔をもったと暗示する旋律なんだと私は理解しました

若いふたりがアハハハと花咲かせている間ず~っとかくれんぼして覗き見している
根暗でコミュ障躁うつ気質のファントムさん

188cmのでっかいジェリムさんがあの中で(かなり長い間)小さくなっていると考えただけで可愛くて
ずっとゆらゆらしてる天使像見ちゃいます
A席センブロ座ったら小さくなってるファントム役が見えると聞きましたがコスパ悪くてどうなんだろ?
A席センブロだけの楽しみ方ですね(笑)

この日はDown once moreの歌いかたがミュージカル歌唱に近くて鳥肌が立ちました
어둠에~~のところ初日はクラシック発声だったんですが
今回はAIDAのElaborate Lives(Rep.)みたいなシャウト入った어둠에~~~でジェリムさんの声の良さ数億倍増し♡
これだこれこれーと聞き惚れていました。

Final Lairでクリスティーヌがキスをした瞬間Angel of Musicが流れるんですが
これMirrorのクリスティーヌの

Angel I hear you. Speak I listen.
Stay by my side. Guide me.
Angel, my soul was weak forgive me.
Enter at last, Master.

の歌詞の鏡うつし、リプライズだってことにも気付きました(長年のファンの方から叱られそうな理解力の無さ)

一幕の鏡の前でファントムの守護を求め、赦しをこうクリスティーヌ
二幕は地下迷宮でファントムが守護を求め、赦しを乞うている演出でした(今さら)

それを受け入れるクリスティーヌの成熟した姿に
ショックをうけるジェリムファントム

彼のファントムは常にクリスティーヌに対し「??????」の表情が多いです
なぜ拒絶されてるかもなぜ憎まれてるかも分からず
ただただ己の欲求だけのためにクリスティーヌに想いをぶつけているファントムなんですが
キスをされたあとどのシーンよりも「???????」が強く感じられました。

ジェリムさんの目からはハラハラと涙がこぼれていますが
その涙がなぜ流れているのか
なぜ自分が打ちのめされているのか
分からず呆然としています

そして、ジェリムさんいわくファントムが生まれて初めて他人のために行動をする=ラウルを救うのです

クリスティーヌにキスをされ憑き物がおちたように呆然とし
警戒する術も忘れ無防備な子供のように泣き唸りながら
ラウルのひもを切る切迫した演技はジェリムさんらしく
またジェリムさんらしくない新たな一面でした。

憑き物が落ちたようなジェリムファントムは無垢な少年のようで
どこかヨーロッパのおとぎ話のキスで魔法がとけ本来の姿にもどったような魅せ方です。

私がロンドン在住時に出会いハマったファントム役のラミンカリムルーのファントムは
切なく可哀想な感情を引っ張られるかっこいいファントムでした

ジェリムさんのファントムは気の毒だな憐れだなと感じても
可哀想だとか涙を流すような切なさはありません
感情を引っ張られることもなく、なんだか清々しいです

It's over now the music of the night!

なんです。
彼のファントムは「終わり」を告げます(ご本人どや顔の爆音で)
Music of the nightでファントムがながめた光の先をジェリムさんは一瞥します

仮面をのこし去るジェリムファントムは末永くたくましく生きていきそうな
謎のポジティブな余韻をのこします。

私が認識してきたオペラ座の怪人とかなり違う解釈であるし
正解か不正解か大衆受けするか否かは分かりかねますが、実にジェリムさんらしい。
ジェリムさんはおそらく彼が解釈する今のファントム像から大きく変えることもないと思います。
演出家から2回目の公演のあと

「もう思い切り楽しめ!君の全ての選択と君の演技すべてを信じてる。よくやれる。とても面白いファントムになるだろう。お疲れ。楽しめ!」

と太鼓判をおされ全面的にジェリムさんの解釈を認めてもらったそうです。

ライセンス公演なのでジェリムさんの解釈するファントムも公式的にありなんですね(笑)

俳優さんとしての才能は確かだし唯一無二、独自の解釈をし表現をする能力に長けた方だと認識してましたが
ここまで独自の解釈で説得力をもって表現できる俳優さんだとは思っていなかったので
改めてジェリムさんのファンで良かったなと思いました。

先日、四次チケットが発売され即売となりましたがやはりポツポツ戻りチケットが出てきました。
ぜひともジェリムさんのファントム観てください^^

ミュージカル評論家さま達が「チェジェリムがオペラ座の怪人になるために韓国語公演13年待った」とおっしゃって下さったそうです
それくらい、信じて観る俳優さんです

音楽そのものであるチェジェリムさんのファントム必ず観てくださいね!(私がここまで言うの相当よ!)























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