てすさび日誌

哀しき宮仕えを早期リタイアし、“サンデー毎日”のomorinが生活の一コマや雑感を認めた日誌です(2005/4/20~)

私の心の寅さん

2005-08-09 21:51:06 | ビジネスと社会
 渥美清が逝って丸9年になる。そんな折、往年の寅さんファンの一人としてうれしいニュースがある。BS2で故・渥美清主演の人気映画「男はつらいよ」の全48作を2年がかりで放送する。8月6日午後9時から放映のシリーズ第1作「男はつらいよ」(69年)を皮切りに、今晩の2作から7作目までを6日間連続で放送。その後は原則、毎週土曜夜に作品順に流し、前後にミニ番組「寅さん百科」「寅さんレビュー」も編成するというもの。

 平成5年(1993年)9月に念願かなって柴又帝釈天を訪ねたことがある。お馴染みの境内から柴又駅までの門前商店街は映画の舞台そのままで、つい錯覚を起こし「とらや」を探しかけたほどだが、はたしてその場所は高木屋と言う草だんご屋であった。私は寅さんの大ファンで封切りはかかしたことがなく、数年遅れのTVオン・エアは必ずチェックし、とりだめたビデオは40本にもなる。

 夢の回想シーンから幕が開き、毎回美しいマドンナに恋をし、終局的には何らかの理由で失敗する。いつものワン・パターンのマンネリズムながら腹から笑え、どこかで涙するシーンが必ずある。
 要因は何か?まず庶民の目の高さで描く山田洋次の脚本・監督の素晴らしさにある。監督は「(一番大事なことは)日常的な感覚を失っちゃいけない。ごく身近で起きそうなことから、寅のドラマは常に始まっていかなきゃいけない。一見地味なようでも、本当にその辺に起きそうな話を、キチンと作るってこと」と語っている。
 そして次に寅のキャラクターと取り巻く環境であろう。そそっかしくて見栄っ張りでいつもゴタゴタをまき起こす、だが根っからのお人好しで寂しがり屋の寅。案外それは私たちの分身とも言える。そういう人間同士が許し、いたわり合って生きている彼の世界は、現実にはなかなか経験できないからこそ、誰しもが求めている理想郷なのかも知れない。心の中の寅次郎の世界なのだ。



コメント
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