ロンドンでの第2回20ヵ国・地域による金融サミット(首脳会合)は2日、
閉幕した。首脳宣言は2010年までに世界の経済成長率を2%回復させると
し、その為の財政出動を総額で500兆円にすると明記した。雇用創出も190
0万人としていたが反対に合い 数百万人 にするに留めた。果してどうなるか、
500兆円の効果にも疑問を残した。各国の発表済の政策を積み上げた数字
の総和になっただけだからだ。しかも、そこまでの合意に至る過程には対立が
あった。世界経済の回復に向けて 追加財政出動 を主唱する米・日に対して金
融規制を求める仏・独と激しく対立した。そして具体的な数値目標も消えた。困
難な船出となったのである。 500兆円の内実はどうか、米国が2兆ドルで一
番多く、2番目が日本で6千億ドル。しかも500兆円の中には 税収減 や 財政
赤字の補填分、社会保障費 の増加分も含まれている。真水は少ない。だから
効果が疑問視されるのである。だのに、それによって首脳宣言では、4%の景
気の押し上げ効果を見込んでいる。世界の需要不足が300兆円に達する事を
考えると見通しが甘いと言わざるを得ない。その事は世界のGDPの10%の財
政出動をしても4%の成長しかない事とも連動する。雇用創出の1900万人が
新興国の反対に合い数百万人に留まった経緯もある。先進主要国と新興国と
の認識の隔たりも浮き彫りになった。米日と仏独も同様、意見の衝突があっ
た。保護主義拡大の懸念も払拭されていない。中国のドルの揺さぶりも見逃さ
れない。年内の第3回首脳会合(金融サミット)を行うことも合意された。果たし
てどうなるのか、その成る行きも見極めたい。・・・
―― 金融サミットで合意した主な事項 ――
●世界経済2%成長・・・2010年末を目標にあらゆる行動
●財政出動500兆円・・・2010年までに世界成長率を4%に引き上げ
●IMFの資金基盤3倍・・・途上国支援へ75兆円に拡大
●金融監督へ「安定理事会」
●ヘッジファンドを規制・監督
●「貿易障壁作らず」誓約延長
―― 各国の経済対策 ――
■直接的な財政出動のGDP比(08年 → 09→ 10年)
▲米国・・・・・・・1.1% → 2.0 → 1.8
▲英国・・・・・・・0.2% → 1.4 → 0.1
▲フランス・・・・0 → 0.7
▲ドイツ・・・・・・0 → 1.5 → 2.0
▲中国・・・・・・・0.4% → 3.2 → 2.7
▲日本・・・・・・・0.4% → 1.4 → 0.4
■雇用
▲米国・・・失業保険の給付期間延長の継続 ・食料引換券の増額
▲英国・・・失業者への休職支援 ・職業訓練
▲フランス・・・中小企業への雇用補助金などの雇用対策 ・失業者への手当
▲ドイツ・・・職業訓練の強化 ・時短労働への助成金を拡充
▲中国・・・社会保障の強化 ・低所得者向け住宅建設
▲日本・・・非正規労働者へ雇用保険を適用 ・雇用保険料を引き下げ
■需要拡大
▲米国・・・個人所得税の戻し減税、定額型の所得減税 ・設備投資減税
▲英国・・・中小企業向け貸出に対する政府保証 ・付加価値税引き下げ
▲フランス・・・中低所得者層向けの所得税減税 ・住宅取得の支援
▲ドイツ・・・環境対応の新車に対する税の一時免除 ・児童手当の支給
▲中国・・・農村での家電購入金額を一部補助 ・農村で自動車買替補助金
▲日本・・・総額2兆円の定額給付金 ・高速道路料金の大幅引き下げ
■成長強化
▲米国・・・配線網整備 環境エネルギー整備 ・橋梁近代化等の公共投資
▲英国・・・CO2削減設備投資促進 ・環境対応車の自動車税引き下げ
▲フランス・・・省エネ化する住宅改良を支援
▲ドイツ・・・省エネ化する住宅改良を支援 ・環境対応車への買い替え補助
▲中国・・・業界再編技術革新等の産業構造調整政策 ・鉄道道路公共投資
▲日本・・・環境対応自動車関連税を減免 ・省エネ設備の投資促進減税
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