スペイン北東部のカタルーニャ自治州政府は、人文科学分野で功績のある人物に贈る「カタルーニャ国際賞」を作家、村上春樹さんに授与した。日本人として氏が最初である。又一つ日本人の国際社会での快挙である。心から祝福する。氏は受賞後のスピーチで<脱原発>を滔々と訴えた。文学者としての鋭い感性に基づく主張を披歴したのである。並み居る日本の識者と一味も二味も違う認識の仕方である。趣旨の要旨は「脱原発」である。・・・「東日本大震災と福島第1原発事故にも触れ、<原爆の惨禍を経験した日本人>は「核に対する“ノー”を叫び続けるべきだった」と述べている。脱原発を訴える反対者に対し原発推進者の喧伝する「非現実的な夢想家」として揶揄する御仁に対し痛烈な反論を浴びせている。即ち、“原発事故”は、広島、長崎に原爆を投下された日本にとって「2度目の大きな<核の被害>だと断じた(・・・自らの手で過ちを犯した・・・)」との厳しい認識を示した。3割の電力依存の原発に対し「非現実的夢想家」だと推進者は嘲笑う、とも断じている。一つの事例に対し、こんなにも認識の違いがあるのか、と驚嘆する。世界で原爆の被害を最初に受けた民族として悲劇である。氏の認識を受けて感じる事は、推進者は、平和的利用、“効率”を口にするが、かつての自公民が推進してきた原発のツケを今、政府・民主党は後始末に追われている。だから心情的には同情している(自民党は過去の失政を謝罪していない、奇異に感じる)。・・・政府と電力会社が「効率の良い発電システム」を国策として推進した結果、《地震国》の日本が世界第3の原発大国になった。原発に異論を唱える人々は「非現実的な夢想家」として退けられた、と氏は批判した。・・・そういう村上春樹氏の主張に私は全面、賛成である。細かい支援の在り方は、関係者に任かせるとして私達国民は、原発に対しどう在るべきかを根本から考え直す必要がある。今こそ日本の将来を考える契機にしたい。
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