肥大化した官僚機構の弊害を是正する目的で設置された政府の有識者
懇談会が最終報告書を纏め提出した。メスを入れないまま長年、放置してきた
時の政府(自民党)が内外の軋轢に抗しきれず重い腰をやっと上げてタブー視
された巨像に切り込んだ処置が今回の懇談会の提言だ。自己増殖し硬直肥大
化した権力の権化、日本の官僚機構。その実態は未だ謎が多いまま良きにつ
け悪しきにつけ日本政界に君臨してきた。・・・思うに、これまでの総理には確
たるアドバイザーとしてのブレーンが存在した。小泉政権には竹中氏が居た。
構造改革(その弊害はあらゆる面に格差拡大として露呈したが・・・)の中心人
物だ。現内閣の福田首相にはその右腕となる知恵者がいない。よって官僚寄
りで、言いなりになっているとの批判が出ている。官邸主導とは言っても官僚と
党主導に傾斜している。だから未だに目指す国家像が不明であり何を目指して
政治をしているのか国民には分からない。外交でも内政でも懸案の処理に
汲々としている感は否めない。その場その場に頻発する事案、案件に真摯に
取り組む姿勢は見えている。でも肝心のこの国が何を目指し何処に向いている
のかが皆目分からない。識者やマスコミもその点をしばしば指摘している。今
回の有識者懇談会の提言は天下りの横行、政官癒着の構図にメスを入れ改
革の突破口にしようとの意気込みが見られる。税金の無駄遣いをなくし効率よ
く支出する。当然の事である。官僚は本来、行政マンである。ところが政治の
分野まで口を挟みその権力を行使する。政治家の不甲斐なさがそういう構図を
爾来、醸してきたのである。そろそろこの辺で大ナタを振るうべきである。そう
いう喫緊に有識者懇談会が再浮上した。その提言の目玉は“内閣人事庁”の
創設である。・・・
●縦割り行政の弊害の除去
●キャリア制度の見直し
●政・官接触の制限
●官民交流
●国家公務員の採用と配置等々・・・
それらを一元化して管理する事で効率的人材の活用を図る狙いがある。これ
までも指摘されてきた採用時の幹部候補生のキャリア制度の弊害、それから
国会議員と官僚との接触(癒着)は当初は完全禁止だったが<原則禁止>に
なった。つまり「閣僚、副大臣、政務官と一部の政務専門官」を除く、<原則禁
止>になった。それには賛否両論があると思う。懸念される事は利権に絡む<
族議員>と既得権益を奪われる<官僚>の抵抗である。起草・起案・報告書
の類はこれまでは官僚がお膳立てするのが慣習になっていたが今回は有識者
懇談会、自らが行った。その点に関しては意欲の程が伺える。懇談会の提案
を受けて政府は3月上旬に改革の大枠である(仮称)「国家公務員制度改革基
本法案」を今国会に提出する事になっている。果たして福田首相がその提言ど
う受け止め具体的法案化するかに全ては懸かっている。首相のヤル気と指導
力が試される機会となる。・・・
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