12日に発生した自動改札機トラブルは,朝の通勤ラッシュ時間を直撃したため,約260万人に影響が出たようです。JR東日本は,最後は自動改札をフリーパスにしてトラブルを回避しました。
原因は,日本信号社の自動改札機におけるプログラムミスであるとのことですが,更に原因について解析を進めるとととみに,13日までにプログラムの修正作業を行うとのことでした。ちなみに,このトラブルを受けて,日本信号の株価は急落したようです。
改札トラブルはプログラムミス、影響260万人(読売新聞) - goo ニュース
逃げ道を作る必要がありますね
今回の原因は,日本信号社のミスがすべてという形で処理されています。
もちろん,技術的原因は,想定外のネガデータが読み込みできないということなので,基本的な責任は日本信号社にあるといえますが,1年間繰り返しテストしても出てこないような極めてレアなバグであったことから,直ちに日本信号社を責めることは難しいかもしれません。
世の中すべてのシステムには,このような「潜在的なバグ」が含まれている可能性があります。これを100%なくすということはほぼ不可能と言っていいでしょう。したがって,極論ですが,銀行ATMやスーパーのポイントシステムなどでも,この潜在的なバグによりある日突然使えなくなるというリスクはあるのです。
すなわち,システム社会においては,「システムダウン」というリスクは絶対に発生するのです。
問題なのは,「システムダウン時にいかに対応するか」という「危機管理」にあります。
今回のように,自動改札機が改札機の異常,サーバの異常,原因不明など何らかの理由により動かなくなるという事態は,JR側としては「当然予測できる事態」であることから,確実に「危機管理マニュアル」が作成されていたはずです。そして,そのマニュアルの内容が適切なものであり,かつにしたがって処理をすれば,もう少し混乱は回避できたのではないでしょうか。
すなわち,今回の大混乱の本当の責任者は「JR東日本幹部」にあるのです。
もちろん,機械トラブルの直接の原因を作った日本信号社についても,猛省してもらい,より高度な技術処理ができるようにすることは言うまでもありません。
ただ,もっといえば,機械的な問題点として「端末トラブルで全システムが停止するという構造」にも問題があります。今回のトラブルは,自動改札機中約4割の日本信号社の端末で発生したことが発端です。とすれば,仮にその以上端末を切り捨てることで,他の6割の端末は正常に動くはずなのです。
おそらく,そうなると「自動改札機が動く駅」と「動かない駅」が発生するために余計混乱するということが想定されますが,ただいずれにしてもトラブルの内容如何によっては,「一部切り捨て」も可能とするような機能や,駅サーバにホストサーバのダミーサーバを用意して,異常時にはダミーサーバを起動させて実質スタンドアロン処理をさせるなども検討する余地があるのではないでしょうか。
つまり,今のシステム社会で混乱なく運用するためには,「技術的な逃げ道」と「運用上の逃げ道」両方を備え置く必要があるのです。
ちなみに,多くの企業では「運用上の逃げ道」はしっかりと作られていますが,技術的な逃げ道については多額の費用がかかることから,及び腰になっているのが実情です。まして,官庁では,その両者すらないというのが実体ではないでしょうか。
これからの社会,システムなしでは生活できない構造となっています。だから便利になったのですが,反面,ちょっとしたことで機能が麻痺するという「脆弱社会」であることは認識しておく必要があるでしょう。「サイバーテロ」が話題になっているのも,このような脆弱性があるからなのです。
重要な情報などは,案外「紙に書いて金庫にしまう」という昭和の手法の方が便利なのかもしれませんね。
ちなみについでですが,「なぜ信号の会社が自動改札機を?」と思われた方も多いでしょう。日本信号は信号機のいわば独占企業でして,道路の信号はもちろん,電車の信号も多く手がけていることから,鉄道のネットワークに関する知識や基本テクニカルは持ち合わせているのです。
ただ,なぜシェアが高いのかというと,・・・ちょっと恐くて書けません(^_^;)。ヒントは,「信号機とつながりのある官庁はどこか?」「独占企業と言うことは,購入金額はどう決められたのか?」「その官庁に逆らったらどうなるのか?」「その官庁のキャリア幹部は退職後どこで働くか?」などを考えてみたら,何となくイメージが浮かぶのではないでしょうか。くわばら,くわばら・・。
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TB先一覧
http://blog.goo.ne.jp/hoddy/e/ba23d03c5b5e4cce010aa2d801c1f155
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0710/12/news117.html
原因は,日本信号社の自動改札機におけるプログラムミスであるとのことですが,更に原因について解析を進めるとととみに,13日までにプログラムの修正作業を行うとのことでした。ちなみに,このトラブルを受けて,日本信号の株価は急落したようです。
改札トラブルはプログラムミス、影響260万人(読売新聞) - goo ニュース
逃げ道を作る必要がありますね
今回の原因は,日本信号社のミスがすべてという形で処理されています。
もちろん,技術的原因は,想定外のネガデータが読み込みできないということなので,基本的な責任は日本信号社にあるといえますが,1年間繰り返しテストしても出てこないような極めてレアなバグであったことから,直ちに日本信号社を責めることは難しいかもしれません。
世の中すべてのシステムには,このような「潜在的なバグ」が含まれている可能性があります。これを100%なくすということはほぼ不可能と言っていいでしょう。したがって,極論ですが,銀行ATMやスーパーのポイントシステムなどでも,この潜在的なバグによりある日突然使えなくなるというリスクはあるのです。
すなわち,システム社会においては,「システムダウン」というリスクは絶対に発生するのです。
問題なのは,「システムダウン時にいかに対応するか」という「危機管理」にあります。
今回のように,自動改札機が改札機の異常,サーバの異常,原因不明など何らかの理由により動かなくなるという事態は,JR側としては「当然予測できる事態」であることから,確実に「危機管理マニュアル」が作成されていたはずです。そして,そのマニュアルの内容が適切なものであり,かつにしたがって処理をすれば,もう少し混乱は回避できたのではないでしょうか。
すなわち,今回の大混乱の本当の責任者は「JR東日本幹部」にあるのです。
もちろん,機械トラブルの直接の原因を作った日本信号社についても,猛省してもらい,より高度な技術処理ができるようにすることは言うまでもありません。
ただ,もっといえば,機械的な問題点として「端末トラブルで全システムが停止するという構造」にも問題があります。今回のトラブルは,自動改札機中約4割の日本信号社の端末で発生したことが発端です。とすれば,仮にその以上端末を切り捨てることで,他の6割の端末は正常に動くはずなのです。
おそらく,そうなると「自動改札機が動く駅」と「動かない駅」が発生するために余計混乱するということが想定されますが,ただいずれにしてもトラブルの内容如何によっては,「一部切り捨て」も可能とするような機能や,駅サーバにホストサーバのダミーサーバを用意して,異常時にはダミーサーバを起動させて実質スタンドアロン処理をさせるなども検討する余地があるのではないでしょうか。
つまり,今のシステム社会で混乱なく運用するためには,「技術的な逃げ道」と「運用上の逃げ道」両方を備え置く必要があるのです。
ちなみに,多くの企業では「運用上の逃げ道」はしっかりと作られていますが,技術的な逃げ道については多額の費用がかかることから,及び腰になっているのが実情です。まして,官庁では,その両者すらないというのが実体ではないでしょうか。
これからの社会,システムなしでは生活できない構造となっています。だから便利になったのですが,反面,ちょっとしたことで機能が麻痺するという「脆弱社会」であることは認識しておく必要があるでしょう。「サイバーテロ」が話題になっているのも,このような脆弱性があるからなのです。
重要な情報などは,案外「紙に書いて金庫にしまう」という昭和の手法の方が便利なのかもしれませんね。
ちなみについでですが,「なぜ信号の会社が自動改札機を?」と思われた方も多いでしょう。日本信号は信号機のいわば独占企業でして,道路の信号はもちろん,電車の信号も多く手がけていることから,鉄道のネットワークに関する知識や基本テクニカルは持ち合わせているのです。
ただ,なぜシェアが高いのかというと,・・・ちょっと恐くて書けません(^_^;)。ヒントは,「信号機とつながりのある官庁はどこか?」「独占企業と言うことは,購入金額はどう決められたのか?」「その官庁に逆らったらどうなるのか?」「その官庁のキャリア幹部は退職後どこで働くか?」などを考えてみたら,何となくイメージが浮かぶのではないでしょうか。くわばら,くわばら・・。
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