あれは,あれで良いのかなPART2

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金のない奴は俺んとこへ来い!

2005年11月03日 14時38分14秒 | 経済全般
俺もないけど心配するな!(と口ずさんだ人はかなりの通ですね。)
さて,金融広報中央委員会(事務局・日銀)が2日発表した05年の「家計の金融資産世論調査」によると,貯蓄を持たない世帯は前年比0.9ポイント増の23.8%と,1953年の調査開始以来最高になったそうです(詳細はこちら)。
また,金融資産の平均保有額は63万円増の1085万円だが,額の順に並べたときの「中央値」は30万円減の400万円であったそうです。

日本は本当に景気が良くなったのか?

といって,ただちにつっこみを入れずに,まずこの情報の信憑性について検討したいと思います。

まず,調査時期や対象は次のとおりでした。
「調査は6月28日~7月8日、全国1万80世帯を対象に実施し、32.4%が回答した。」
ということは,約3200世帯が回答したことになります。また,エリアは一応全国です。
ただ,ポイントとしては,「ボーナス時期付近」であったという点です。
平たく言えば,「ボーナス直前にどの程度貯金がありますか。」という質問に匹敵するでしょう。
したがって,貯蓄がないという回答が増えるのは当然かもしれません
とはいえ,例年同じ時期に質問しているので張れば,経年的変化は伺うことができるため,有益な結果であるともいえます。

次に,調査した人が「金融広報中央委員会」という点に注目しましょう。
簡単に言えば,銀行関係者の調査です。つまり,民間人の調査であって,役所の調査ではありません。
ここから何が言いたいのかというと,「貯金の情報とは個人情報の重要なもの」と回答者は考えるのではないでしょうかということです。回答率が30%台と低いことがまずその証拠の現れといえるでしょう(過去の回答率が分からないので何ともいえませんが。)。しかも,そんな個人情報をどこまで正直に回答するか,疑問です
私なら,「貯金なし」で回答するでしょう。なぜなら,銀行関係者の調査であれば,「貯金あり」なんて回答したら,どこかの銀行から勧誘が来るのではないかと勘ぐってしまうからです。
以上から,個人情報保護の考え方が強くなったここ1,2年の社会情勢からすれば,正しく答えている人が減っているのではないか,と思います。
したがって,貯蓄がない人が去年より0.9%増加したという点は,実は「調査手法の理由により上昇した」と分析することも可能といえるでしょう。

以上,調査自体に対する読み方でした。

さて,本題ですが,仮に今回の調査結果にこのような問題があるにしても,それでもかなりの家庭では貯蓄ができない状況にあるという事実は確かといえるでしょう。
そして,貯蓄ができない理由としては,「収入の減少」と「支出の増加」にあります。収入の減少とは,「給与や売り上げの減少」であり,支出の増加とは「教育費や住宅ローンなどの出費の増加」にあるといえます。
とすると,今後給与や売り上げの増加が期待できない多くの人たちにとって,さらに増税という追い打ちがかかれば,それはいよいよ貯蓄ができない家庭がもっと増えてしまうのではないでしょうか。
そうなると,「そのうち何とかなるだろう」とかいう状態じゃあなくなるでしょうね。

もっとグローバルに見ましょう。
国の財政は,収入に対して支出が増加しており,貯蓄ができない国になっています(地方もほとんど同じでしょう)。そこで,無駄な支出を減らすと共に,収入である税金も増やそうと考えているわけです。
国はそれでいいのですが,多くのサラリーマンの場合,「じゃあ,給料増やそう」ということが個人の努力ではできないわけです。つまり,サラリーマンの場合は,「支出を減らす」努力しかできません。
某経済評論家は,「これからは専業主婦もみんなパートをやればいい」と気楽に言ってましたが,子育て支援等社会的インフラが整備されきっていない現状においては,「働きたくても働けない」人もいるという現実を見ていない発言であるといえるでしょう
もし,国がこの経済評論家と同じようなことを考えているのであれば,まず子育て支援施策を早急に増強しなければならないでしょう。

世の中景気が良くなってきたといわれていますが,この数値や現状を見る限り,本当に景気が良くなっているといえるのか,大いに疑問が感じられます。おそらく,「景気がいい」といっている人たち周辺だけが景気がよいのでは,と思わずにいられません。
すくなくとも,「国自身がまともに貯金できる状況にない状態では,好景気とはいえないのではないか」と思います。

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