放蕩を尽くしし滝の涸れにけり
大串 章
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水が涸れるのは冬。冬場になるにつれて水量が減って来る。五月6月、7月8月、あれほど荒野を駆け巡って放蕩を尽くした大滝も、時が廻って来て、かっての勢いを失って、やがて山奥で静まりかえる。雪が降る。氷柱が下がる。
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なら、やはり、放蕩を尽くせるときには放蕩を尽くしておくべきだ。常軌を逸しておくべきだ。跳ねっ返りをしておくべきだ。・・・などと思う、放蕩もできなかったくせに。
この句の真骨頂は「放蕩」を「滝水」に掛け合わせ所にあるようだ。情景がこれで鮮明となった。
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作者は1937年(昭和12年)佐賀県嬉野市生まれ。2017年より俳人協会会長。NHKの「俳句春秋」の選者を務めた。