欲しい。欲しい欲しい。我が物にしたい。この欲望はどうしてこうも強烈なのだろう。
この欲望はわたしを活動させるエンジンである。
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このエンジンはしかし、一人だけを利益させるためではない。そこに至り着くと、エンジンは二倍にも三倍にも、百倍千倍にも力を増してくる。
このよろこびもまた大きいのだ。最初の利己の力に終始していたころの出力とは段違いに大きいのだ。
欲しい。欲しい欲しい。我が物にしたい。この欲望はどうしてこうも強烈なのだろう。
この欲望はわたしを活動させるエンジンである。
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このエンジンはしかし、一人だけを利益させるためではない。そこに至り着くと、エンジンは二倍にも三倍にも、百倍千倍にも力を増してくる。
このよろこびもまた大きいのだ。最初の利己の力に終始していたころの出力とは段違いに大きいのだ。
三宝とは、1,仏。2,法。3,僧である。この三つはこの世の宝である。
すなわち、悟りを開いた仏陀と、仏陀の説いた教えの真如界と、この真如界にあって仏陀の教えを実践する人々こそはこの世の宝である。
宝は、誰の物でもあり、誰の物でもないから、ともどもに分かち合うべきである。
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この世の争いは、分かち合いを拒否してこの世の財宝を独占しようとするところから巻き起こってくる。
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自利はそのはじめにおこることだが、この帰結は利他でなければならない。
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自利とはみずからがまず菩提心をおこして悟りを開くことである。この開眼がこの世で得られる第一の宝である。利他とはその宝を他者に差し向けることである。分かち合うことである。分かち合う実践はこの世の至宝となる。
オクラの花が咲いている。えもいわれぬ上品な色合いだ。薄い黄緑の。テニスボールほどの大きさがある。そこへ行って見つめてきた。
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十方恒沙仏 六通照知我 今乗二尊教 広開浄土門 浄土真宗経典「帰三宝偈」より
十方のガンジス川の砂の数ほどの多くの仏よ、あなたがたの六神通力をもって、わたしを恒に照らして見守ってください。わたしはここでいま釈迦牟尼仏と阿弥陀仏の教えに導かれて、浄土に至るこの道を広く大衆に説き明かして行きます。
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六通: 諸天・明王・菩薩・仏に具わる衆生救済の方便である六神通力のこと。天眼通・天耳通・神足通・他心通・宿命通・漏尽通の六。この霊妙な、摩訶不思議なパワーを駆使して自由自在に衆生利益の救済活動をする。利己のためには使えない。
宿命通: 過去世における生を知る能力。
漏尽通: 煩悩を断じ尽くす能力。完全なる絶対の神の叡智をわが叡智とする能力。無漏の覚りを開く能力。
他心通: 他者の考えていることを知ることができる能力。この能力を持って慈悲を施す。
天耳通: 神々の声を聞いたり遠くの音をすばやく聞き取ることのできる能力。
神足通: 機に応じて自在に身を現す力。いっときで目標地点に到達できる脚力。空中浮揚やテレポーションしたり、化身を使いこなして高い世界へ飛翔する能力。
天眼通: 見えないものが見える力。自由自在に対象を見通す能力。転生先を知ったりこの宇宙にあるさまざまな超感覚世界とつながることができる能力。死生智通ともいう。
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次の偈でもってこの三宝偈は締め括られている。
願以此功徳 平等施一切 同発菩提心 往生安楽国
がんにしくどく びょうどうせいっさい どうほつぼだいしん おうじょうあんらくこく
願わくば此の(諸仏諸神の)功徳を以て、平等にこの世の一切の三宝と智慧と財を分かち合い、みな同じくともどもに覚りを求める心を発して、阿弥陀仏の安楽浄土に生まれて行きますようにしてください。
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仏教は平等施一切(びょうどうせいっさい)教である。この世にある一切の宝を平等に分かち合いなさいとしている仏教である。奪い合えば戦争を引き起こすが、分かち合うとそこに平和と繁栄がもたらされる。そう信じたい。平和と繁栄はこの世の宝である。
「奪い合えば足らないが、分け合えば余る」の格言を信じて、さぶろうもユニセフや赤十字に毎月(ほんとうにほんのわずかだけど)定額寄付を続けている。世界中が幸福にならない間は一人の幸福は望めない。法華経信者の宮沢賢治はこんなふうに考えていた。
戦乱が続く国は疲弊し国民は飢える。食べられなければ体力は弱り、病気が蔓延する。国境なき医師団の活動にも支援をしたいと思っている。とはいえ、労働をしていないさぶろうの収入は限られている。
日本のこどもたちの貧困問題もクローズアップされだした。シングルマザーの育児も困難を来しているだろう。年金が減額された高齢者たちの窮乏もNHKが特集番組で報じていた。不平等が拡大されてきた証拠だ。
国家は秩序と平和維持と繁栄と福祉を目指さねばならない。繁栄をめざすあまたの国家の、国民の労働意欲、生産活動、経済活動が順調に高まれば、互いに余剰価値を分配して、これらの救済策が次々に打たれていくはずであるが、このよい循環はどこかで疎外されたままのようだ。
ニュースによるとギリシャの銀行が銀行業務を再開したらしい。ギリシャ国民の長い列ができている。ほっとしただろうね。銀行が閉じられるというのはその国の経済活動が封鎖されたということ。ただし、国の借金の返済に充てるとして付加価値税の税額が高くなっているし、物価は著しく高くなって、国民の生活は混乱をするだろう。ギリシャは過去長期に亘って諸外国から借り入れていた債務の返済を徐々に実行し始めた。これでデフォルト・債務不履行が回避された。ただし、返済するお金を新たに借り入れて返すだけで、その新たに借り入れた返済もまた利子を付けて今後に返済をしていかねばならない。これでは国の財政は一向に健全化していかないだろう。
中国の上海・香港・深圳株式市場の株価急落は、国家の市場介入で一応の歯止めがかかったみたいだ。世界第2位の経済大国になった中国の影響力は日増しに増していく。短期間の内に大金持ちになった人たちの「爆買い」の新語も走り回っている。国力を増した国は、何処の国であろうとそれだけの権限を強め、勢力を拡大するために軍備拡張をはかることになる。これに対抗するようにして日本の国会では安保新法案が強行採決された。
一方、中東のイスラム圏イスラム各派の勢力争いが激化したままで、日ごとに抗争の火花が上がっている。今日は幼い少女の自爆テロがあって多くの死傷者が出たらしい。ウクライナ情勢も解決を見ていない。各地に戦争難民の数がふくらんで受け入れる国が受け入れをセーブしているようだ。難民キャンプ地で過ごす人たちの暮らしぶりがニュース写真で映し出された。繁栄の影になっている貧困や窮乏も深まりを見せる。世界中の政治経済の安定、世界中の幸福はいつまでたっても実現しない。人間の知恵の産物である科学や文化文明がこれほどに進んで来てもだ。
山鳩が来て、独特のメロデイーを着けてブウフウバウフウボオホウと鳴いている。空はうすら曇り。さぶろうユリ園のユリたちがはなやかな宴を開いている。カサブランカも加わってにぎわう。
城原川の川土手の、処々を埋めている鬼百合の群落も、「ねえ、わたしを見て」「美しくなったわたしを見て欲しい」と声を上げている。でも、葦が茂っていて容易に近くには近づけない。
朝顔も咲き出した。薄いブルーが庭の雰囲気を浄めてくれる。
畑には弾丸型のミニトマトが色づいているので、カラスが電線の上からこれを狙っている。
縁側に出て椅子に座ってラジオ体操をした後、さぶろうは玉葱を薄く切って朝の味噌汁をこしらえた。三尺ササゲ豆のグリーンもざくざく切って彩りにした。
今日から夏休み。公民館のグランドでは大人と子供たちが集まって来てラジオ体操が始まった。もちろん高齢者たちもここに加わっている。