知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

新たな課題を解決しようとするもので法17条の2第4項2号の要件に該当しないとした事例

2012-07-12 23:20:56 | 特許法17条の2
事件番号 平成23(行ケ)10305
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成24年07月04日
裁判所名 知的財産高等裁判所  
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 滝澤孝臣
特許法17条の2第4項2号

 本件補正事項2は,「*C*」との事項を付加するものであるが,前記1(5)及び(6)で示した本件補正明細書の記載(【0006】【0013】)に照らすと,本件補正事項2によって付加された事項は,フープ材の切断時に動刃を安定化するという利点を有するものであるから,動刃を安定化するという課題を解決するものであるということができる。

 他方,前記2(2)のとおり,本願発明の課題は,従来の技術は,部品点数が多くなること,加工により鋼材に歪みが生じて各部品を均等な精度に加工することが困難となる結果,ラムの摺動が円滑でなくなること,加工歪みのない互換性のある部品を得ようとすれば多大な加工時間を要する厳しい精度管理をしなければならないことなどというものであって,本願発明は,これらの課題を,「*A*」し,「*B*」という手段によって解決するというものである。

 そうすると,本件補正事項2は,原告の意図はともかく,結果的にみて,本願発明の課題に追加して,新たな課題を解決しようとするものであるといわざるを得ず,本件補正事項2が法17条の2第4項2号の要件に該当しないとした本件審決の判断に誤りがあるということはできない

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