知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

法17条の2第4項2号所定の限定的減縮にあたるかどうかの判断事例

2012-03-07 21:12:51 | 特許法17条の2
事件番号 平成23(行ケ)10178
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成24年02月22日
裁判所名 知的財産高等裁判所  
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 滝澤孝臣

1 取消事由1(本件補正を却下した判断の誤り)について
(1) 本件補正の許否
ア 法17条の2第4項に基づく補正は,法36条5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限られる(法17条の2第4項2号)。すなわち,補正前の請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであることが必要である。

イ 本件補正事項に係る「ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフイルムを製造するためのセルロースアシレート」とは,セルロースアシレートがフイルムという物品を製造するための原料であり,そのフイルムの製造方法がソルベントキャスト法であることを特定するものであるが,補正前の請求項1には,セルロースアシレートが何らかの物品を製造するための原料であることや,その物品の製造方法に関して何ら特定する事項がない。よって,本件補正事項は,補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものには該当しない

 そうすると,本件補正事項を含む本件補正は,法17条の2第4項の規定に違反するものであるとして,これを却下すべきものであるとした本件審決の判断に誤りはない。

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