知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

「販売することができないとする事情」を認めた事例

2012-07-12 23:08:35 | 意匠法
事件番号 平成23(ワ)247
事件名 意匠権侵害差止等請求事件
裁判年月日 平成24年06月29日
裁判所名 東京地方裁判所  
権利種別 意匠権
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 大鷹一郎
意匠法39条1項(特許法102条1項)

エ 「販売することができないとする事情」の存否等
 ・・・
c 前記a及びbの認定事実を総合すると,仮に被告による被告製品の販売がされなかった場合には,被告製品の購入者の多くは,Docomo,SoftBank等の携帯電話用の被告製品と同種の接続ケーブルが一体となった代替品を選択した可能性が高いものと認められる。
 また,本件登録意匠と類似する被告意匠は,被告製品の購入動機の形成に寄与していることが認められるものの,その購入動機の形成には,被告意匠のほか,被告製品がDocomo,SoftBank等の携帯電話用の専用品であることが大きく寄与し,被告製品の色彩等(本体と接続ケーブルが同一色である点を含む。)も相当程度寄与しているものとうかがわれるから,被告意匠の購入動機の形成に対する寄与は,一定の割合にとどまるものと認められる。

 以上によれば,原告製品と被告製品の形態の違い,被告製品と同種の代替品の存在,被告製品の購入動機の形成に対する被告意匠の寄与が一定の割合にとどまることは,被告製品の譲渡数量の一部に相当する原告製品を原告において「販売することができないとする事情」(意匠法39条1項ただし書)に該当するものと認められる。

 そして,上記認定の諸点を総合考慮すると,意匠法39条1項ただし書の規定により控除すべき上記「販売することができないとする事情」に相当する数量は,被告製品の販売数量(前記ア)の9割と認めるのが相当である。

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