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勧進帳あれこれ

2015-11-12 13:23:02 | 音楽芸能
 先週の「にっぽんの芸能」(NHK-Eテレ)は、東京藝術大学公演「義経記」が放送された。義経にまつわる能楽・歌舞伎・邦楽・邦舞などの芸能が総合されたプログラムとなっていてとても面白かった。
 なかでも、長唄「安宅勧進帳」は、長唄三味線の松浦奈々恵さんがFacebookに予告されていたこともあって特に注目した。「ついに泣かぬ弁慶も、一期の涙ぞ殊勝なる・・・」というくだりから「瀧流しの合方」に入るキリの部分だけだったが、さすがに邦楽界をリードする面々による演奏は素晴らしかった。


三味線は左からタテ小島直文先生、ワキ松浦奈々恵さん、三枚目田井藍古さん


 放送を見た後、YouTubeで「瀧流しの合方」の映像がないか探していたら、放送の「安宅勧進帳」にも出演していた田井藍古さんが先輩の坂田舞子さんとともに「瀧流しの合方」を演奏している映像が見つかった。それがこれだが、これまた素晴らしい演奏である。



 僕が「勧進帳」の物語に接したのは、黒澤明監督映画「虎の尾を踏む男達」が最初だった。テレビで能の「安宅」や歌舞伎の「勧進帳」を観たのは、それよりずっと後のことで、「勧進帳」と聞くとまず思い出すのは映画「虎の尾を踏む男達」のこと。
 「旅の衣は篠懸の、旅の衣は篠懸の・・・」という有名な謡が、ミュージカル風の男性コーラスで始まるオープニングや「虎の尾を踏み、毒蛇の口を遁れたる心地して・・・」と安宅の関を後にして、強力のエノケン「飛び六法」で消えて行くエンディングなどが忘れられない。後に黒澤監督の代表作の1本となる「隠し砦の三悪人」で「虎の尾を踏む男達」を髣髴とさせる逃亡劇が演じられたのも懐かしい。またこの映画の撮影中に黒澤監督が敬愛してやまないジョン・フォード監督が、進駐軍の一員として見学に来ていたという有名なエピソードも残っている。


「虎の尾を踏む男達」の一場面


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