徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

色あひふかく 花房ながく

2022-04-17 21:14:26 | 文芸
 今を盛りの藤の花が目を楽しませてくれる季節です。この時季になると思い出す一節があります。

   色あひふかく花房ながく咲きたる藤の花の松にかかりたる

 これは清少納言「枕草子」の「めでたきもの」の條の一節です。
 「めでたきもの」とは素晴しいもの、見事なもの、りっぱなものを表す言葉です。

 藤の花はたおやかな女性のイメージ。そして松はたくましい男性のイメージ。
 深い色合いの藤の長い花房が、まるで恋人のように松に寄り添う美しい景色を表現しています。

 この構図は、下の歌舞伎舞踊「藤音頭」においても踏襲されています。


山田日吉神社(玉名市山田)の藤棚

▼藤音頭
  歌舞伎舞踊「藤娘」の一部。能で言う「小書」のようなもので六世尾上菊五郎(大正・昭和時代の
  歌舞伎役者)によって演出挿入された舞踊。
  艶やかな踊りを見せるのは実は藤の精。そして恋しい殿御に見立てたのは松。
  少しお酒を呑まされて酔い、初々しい恋心を踊ります。



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2 コメント

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藤原氏の末裔。 (種吉)
2022-04-25 08:02:15
おはようございます。
山を歩けば、どこにでも藤の花を見かける。そんな季節ですね。わがふるさと奈良の春日大社の巫女様たちがこうべに藤の花かんざしをさして舞う。どうして藤の花なんだろう。根っからの庶民である私など、少年の頃はあまり考えませんでしたが、年老いた今になってようやく鎌足、不比等を先祖とする藤原氏が藤を大切に扱った気持ちがわかる気がします。全国どこにでも藤原氏の子々孫々がおられる。むろん栃木にも、平将門の乱を平定した田原藤太藤原の秀郷公あり。
春日大社の境内にはいつも、きびきびした雰囲気がただよい、何気なくぱちりとやらかした男の人が通りかかった巫女様にぴしりと叱られたことです。
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Re:種吉様 (FUSA)
2022-04-25 09:31:16
伊藤、佐藤、加藤等々、みな藤原氏の系統であることを示す姓だそうですから古代・中世・近世と藤原氏のネームバリューは絶大だったんですね。
清少納言も「めでたきもの」で藤の花を挙げているのは藤原氏を暗喩しているのかもしれませんね。
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