徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

アマビエ と 新作能「沖宮」

2020-05-11 19:43:26 | 世相
 NHK夕方のニュース番組「シブ5時」で「アマビエ」の話題を取り上げていた。アマビエとは江戸時代後期の肥後国の海中から現れた、疫病退散のご利益があるという伝説の妖怪のことだが、昨今のコロナ禍に際して急にクローズアップされている。アマビエを象ったお守りやいろんな商品が作られて販売されているようだ。先行き不透明な中、人々の心の支えになればいいと思う。
 このアマビエの絵を初めてみた時、僕が直感的に思い浮かべたのは「これは人身御供になった人の変異した姿ではないのか」ということだった。実際、江戸時代などには疫病退散を目的とした人身御供が行われていたことは、江戸時代後期の旅行家、菅江真澄の紀行文にも見えるし、埼玉県秩父地方にはそんな風習も残っていたと何かで読んだことがある。
 そう考えると、僕は昨年9月、熊日本社で行われた石牟礼道子さんの遺作である新作能「沖宮」上映会のことを思わずにはいられなかった。人柱となる少女あやが流されて行く後姿が目に浮かび、いたたまれない気持になった。

【新作能「沖宮」あらすじ】
 新作能「沖宮」は石牟礼の育った天草を舞台に、戦に散った天草四郎と生き残った幼い少女あや、そして、人々の死と再生の物語。
 干ばつに苦しむ村のために、雨の神である龍神への人柱として亡き天草四郎の乳兄妹であるあやが選ばれる。緋(ひ)の衣を纏ったあやは、舟に乗せられ一人沖へ流されていく。やがて稲光とともに雷鳴が轟き、あやは、天青の衣を纏い現れた天草四郎に導かれ妣(はは)なる國である“沖宮”への道行きが始まる。


雨乞いの人柱となる少女あや


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