徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

歌舞伎舞踊「京人形」を観ながら

2024-06-02 20:08:14 | 音楽芸能
 今日は舞踊公演のビデオ撮影を頼まれていたので市民会館に観に行った。日本舞踊藤間流師範、藤間きみ藤さんの芸歴五十年を記念する特別公演だった。お弟子さんや藤間流系の舞踊家など30名ほどの方が次々と舞踊を披露された。なかでも、藤村紫皇さんと藤間きみ奈さんが踊った歌舞伎舞踊「京人形」は出色。藤村紫皇さんは藤村流の家元で、先月、別の舞踊会で、その巧みな表現と滑稽味を見ていた。藤間きみ奈さんは若手舞踊家の期待の星だと、彼女が高校生の頃から聞いていた。この二人の共演だから当然の出来栄えだと思う。
 今日演じられたのは、京人形の精が踊り出す次のようなくだり。

――名工・左甚五郎が廓の太夫に思いを寄せ、その姿を等身大の人形として彫り上げる。人形を愛でながら晩酌をしていると、不思議にも人形が動き出す。甚五郎が魂を込めて彫ったため、人形は男の動作をしてしまう。そこで人形の懐に鏡を入れてやると太夫のように色っぽくなる。甚五郎と人形は一緒に踊り出す。――

という内容の舞踊。


藤村紫皇さんと藤間きみ奈さんが踊る「京人形」

 見ながら、日本人は「〇〇の精」が登場する話が好きだなぁと思った。昨日のブログ記事にした「藤の花の精」が登場する「藤音頭」やラフカディオ・ハーンが再話した「青柳のはなし」の「柳の樹の精」など。他にもいろいろあると思うが、やはり「草木国土悉皆成仏」という日本における仏教の世界観が根底にあるのだろう。