オーバーシーズファイナンシャルの誕生
香奈ファイナンシャルらの三社連合も融資していたお金も銀行から返して貰う事になった。切人とマリアは、香奈と話合い、銀行からの融資が返済されてくると、そのお金は、新しい会社である香奈オーバーシーズファイナンシャルを、海外の香奈ファイナンシャルの各社と国内の香奈ファイナンシャルが共同で財産管理会社をつくり、もう一つの大きな銀行の債務を出資した形の組織を作って受け入れる事にしていた。
この香奈オーバーシーズファイナンシャルは、正人が貸したお金を半分程度を債権としても返してきたので、仕方なしに、金融業としての免許も取り、貸し続ける事にした。その程度は政府も直ぐに特例として許可してれた。
ジブや香奈ファイナンシャルは、今までは無利子で貸していたが、今度はもう一つの大きな銀行と同一条件で貸す事にして、神二郎たちの新宿に調査と指導を依頼した。神二郎にとっては、今までの企業に比べると良好な企業ばっかりなので、経営指導は簡単だった。
神二郎は、香奈オーバーシーズファイナンシャルからお世話料も貰い、香奈オーバーシーズファイナンシャルは利息も貰った。香奈や切人は、このお金は保管するだけにし、香奈ファイナンシャル自身の現金を確保する財産管理会社にする積もりだったが、少しは金融業として活動していく事になった。
金は直ぐには返せないので、神二郎たちの指導も受けながら、債権は書き換え、利息も下げ、長期的に貸していく事もあった。香奈オーバーシーズファイナンシャルは結局ノンバンクのようになり、神二郎たちもその調査料も入ってきた。何より今までの神二郎達が株を保有し、指導していた中小企業との協調も取れるようになった。
香奈オーバーシーズファイナンシャルも利息を貰い、現金そのまま保管するよりは、増えていった。香奈は落ち着かない年寄りだったので、ボロ株を買って叩き売る事もしたが、稀には気に入った会社もあり、この新しい会社への国内の香奈ファイナンシャルからの出資の一部とする事もあった。香奈オーバーシーズファイナンシャルは比較的大きな企業の融資専門のお助けノンバンクにもなったが、調査は、神二郎たちの調査や指導に任せた。
一方、ジブトラストも証券からもぼつぼつ返済される予定だったので、運用資金にせず、証券会社への融資をしたジブの子会社たちと一緒に、ジブオーバーシーズファイナンシャルを作り、お金だけを貯める事にした。
カミカミファイナンシャルもそれに従い、海外のカミカミ現地法人と共同で、カミカミオーバーシーズファイナンシャルを作り、運用しない会社を作った。
神太朗も組織人だったので、証券会社の保有する株も一部返済として渡していた。神太郎はジブトラストからつれてきた効率重視派の連中の査定に基づき、返済する株式を選んでいた。神太郎はジブとカミカミの有力メンバーでもあったが、そこはけじめをつけ、証券会社の組織として査定させる事にした。株価は底値のような状態だったが、その連中が見て、急回復しそうな株は当然証券会社に残しておいた。回復が遅い株、配当利回りの低い株や成長性が不明の中小企業の株などの株をジブトラストとカミカミへの返済に廻したつもりだった。
香奈はこれらの会社のリストを神子に見せ、神太郎はこれらの株を返済の3割から5割にしたいと言っていると伝えた。神子はリストを見て大化けしそうな株も入っていたので、それには触れず、返済は株5割でもいいと香奈に伝えた。
そしてこの中の数社は大化けし、さすがの神子もすぐには調整売買も出来ないほど上がり続けた。ジブとカミカミのオーバーシーズファイナンシャルは、返済されていくお金の受け皿であり、単なる財産管理会社となる筈だった。
それが神子に運用委託したり、神子の判断で株を保有し続ける持株会社のようにもなった。これらのオーバーシーズは、名義上の住所をそれぞれ治部ホームホテルの一部屋を借り切って、そこにおいた。
事務手続きや処理には、ジブトラストの管理セクションのトップである常務が個人的な形で、兼任として仕切り、お金はジブトラストが預かった。神子はジブとカミカミの有力メンバーであるが、運用委託は運用委託なので、けじめとして、神子のチームとして運用を請負、運用手数料はきっちり10%取った。