ジブは、香奈の意図とは違い、
膨張化していくのであった。
しかし、この再編成は、ジブトラストを安定化させ、ジブトラストとして運用するお金を少なくさせる効果はあったが、家族単位のファイナンシャルは、単なる財産管理会社とは、ならなかった。独立した直属の子会社の利益は増え続け、運用手数料と配当を受け取った財産管理会社であるべき筈の各地のファイナンシャルも運用会社になり、それが更に大きくなっていった。
又各地の金融センターは為替や債券で運用し、その資金を世界各地のジブ子会社に、本体の指示に従い、供給していった。
加代子は、まだ相場を離れるとまだ少し、ボーとしていたが、相場では鬼神の如く、儲けていた。加代子はまだお金の管理どころか相場を離れるとボーとして、まだ幼い子供の世話になっていた。しかし夜のジブトラストで加代子を見ると、翼を持つ青白い炎に包まれていた。
同じ時間に働いていた神帥も驚く程であった。まさしく鬼神と化していた。加代子は、揺れ動くアメリカマーケットで1日に2割程度の利益を得る事はざらだった。激しく動く時には、1日で倍以上にもなり、オーバーナイトも恐ろしく当たり、あれよあれよと云う間に、資産が増えていった。
特に直近の大暴落時の儲けは、ジブとしてもカミカミとしても空前絶後の利益を出した。アメリカのお金を根こそぎ取ると言われた程だった。しかも大きく下げた株を買い、倍になったら半分売ると云う情け容赦のない儲け方をした。
香奈が組織改正する時に、ジブアメリカの社長が香奈に直訴して頼み込み、ジブトラストの直属の会社にジブアメリカやカミカミファイナンシャル現地法人と運用手数料が手つかずのまま残っていた加代子が出資した形で、株式と先物のジブカヨコトラストが出来た。
そしてそれは他の直属ジブの組織に波及して、海外の組織再編成に繋がっていた。
ジブトラストが60%、カミカミファイナンシャル現地法人15%、ジブアメリカが10%、北米の二つの金融センターが併せて10%、ジブカヨコファイナンシャルが5%となった。運用するお金も300億ドルとして調整した。税金や経費の除いた利益を90%配当した、残りは準備金として保留した。
加代子はジブトラスト本体のジブカヨコトラストの担当でもあった。加代子の本体での給料は、ジブカヨコトラストから利益の2%を管理手数料として渡され、運用指導料は、利益の8%として、ファイナンシャルにおくられる事になるが、当分はジブカヨコトラストへの出資とする約束だった。
加代子の手数料を運用に回し、ジブトラストへの送金を増やす事を考えていた。加代子は半年で運用額の3倍の利益を上げ、翌半年も2倍も稼いだ。想定よりも利益が上がりすぎ、ジブカヨコファイナンシャルのジブカヨコトラストへの出資は、ジブトラストの出資分を振り替えていたが、あっと云う間に、ジブカヨコファイナンシャルの出資比率が10%になり、それからは、ジブカヨコファイナンシャルにそのものが利益を貰い、それを一緒に運用し、かすりを取られないジブカヨコファイナンシャルはあっという間に大きくなった。