のら猫の三文小説

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香奈とコシロの子供たち No.96

2013-09-02 00:00:22 | 香奈とコシロの子供たち


陽太、総理になる。




選挙は、今度はごきげん党は、優花の「きっと希望は叶う」をテーマソングにして、今度は優花も比例で立候補して、なんと200議席にもなった。神子は今度は、個人的に献金すると共に、又陽太に少しお金を貸した。ごきげん党はそんなにお金を使わない選挙をしていたが、候補者は定年退職者や若い兄ちゃんが多く、政党助成金では足りなかった。個人寄付も集まったが、それほど大きな金額ではなかった。最低限度のお金は必要だった。


ごきげん党は陽太人気があり、与党連合や野党連合からも当選したいために、人が擦り寄ってきた。陽太は冷静に選挙情勢を分析して、勝てると思った奴らを吸収した。そんな奴らは、元々ごきげん党の政策には共感を持っていたと嘘八百を言っていた。


冷静に見ると、それまでは、陽太のカリスマだけで成長していた、ごきげん党だったが、陽太の指示に本当には従わない奴らもここで、ごきげん党の中に生まれる事になった。ただこの決断で、ごきげん党は、大きく伸びる余地が出来たとも言えた。




与党連合も元野党連合も分裂して100議席を少し超える程度になった。参議院ではごきげん党はまだ10議席で与党連合と元野党連合が伯仲していた。元野党連合も一枚岩ではなかった。


夢か戯言かと言われた無料診察制度を除外しては、話が進まなくなり、与党連合もごきげん党と連立を組み、陽太は総理大臣になり、優花は官房長官になり、立花努は財務大臣になった。厚生労働大臣を含む幾つかの大臣は、ごきげん党が取り、かなり多くの大臣の椅子は、与党連合に渡した。擦り寄ってきた奴らを入れても、ごきげん党には、企業や大学の退職者や若い兄ちゃんが多く、人材が足りなかった。




陽太は、健康保険制度を全廃して、無料診察制度とし、個人の健康手帳を作り、健康保険制度関係の仕事をしてきた人は、多くは健康増進や高齢者保護、乳幼児保護の仕事をして、全国民の無料検診制度も導入した。医療機関はすべての医療費を国庫に請求する事になったが、やはり一定の制限もあり、それを超えるものは自費負担になった。それは、国が全額貸し付ける事になった。出産に関する経費も全て無料にした。ほとんどの特別会計は、この無料診察、無料検診制度に支える事になり、不足分は、3年間は無利子国債を発行して、新たな税負担については今後の様子を見る事になった。



陽太は、シングルイシュー、つまり無料診察制度の確立と云う福祉政策で総理大臣になったが、勿論政治はそれだけではなく、外交とか経済とかなんとか、色々な課題があった。組閣作業は連立政権なので、連立与党からの大臣はいわば推薦した政党の任命に近いものだった。


陽太は他の政策なんか知らない筈だと軽く考えていた。年功序列とか政党内の力関係で大臣候補が決まっていた。陽太は、その人と議論する事にしたいと言った。それは当然と誰も思っていたが、陽太はなんと1大臣に1日かけて、役所の幹部とか、政党の中で詳しい人も呼ばれ、基本方針どころか細かく、徹底的に議論した。軽く考えていた人は当然ボロが出た。


何人かは差し替えられ、それぞれのプロみたいな連中と陽太の親衛隊で、一内閣一大臣の方針で内閣が出来た。陽太はその官庁の事はその大臣に任せるつりだと言った。無料診察制度と無料診察制度は国民との約束だから、すべてに優先するものの、それ以外はすべて大臣に任せるとも言った。一応誰もがそう云うが、実際はコロコロ変わると誰もが思った。


それに陽太の内閣は出来る筈のない目標を掲げていたので、直ぐに諦めると思った。特別会計は特別会計だし、その本来の名目があった。たとえ実態が乖離していても必要な基金もあった。短命内閣に終わると思った事もあったが、それが続いて、本当に無料診察制度を実行して、大臣は変えなかったし、本当に大臣に任せた。いつまで経っても短命と言われながら、続いた。


大変になったジブ



前回の一族の銀行救済の時は、融資したお金を債権放棄する事で、特損とする扱いがされたが、政権も変わり、今回は約束は約束だが、税収確保に協力してくれと言われ、証券会社への融資の一部だけが、特損になりそうな雰囲気になってきた。



「陽太君が総理大臣になったよ。凄いね。無料診察制度も実現したね。」

香奈ジブは大変なんだよ。政権が代わって、この間の税金の処理も竹花さんが財務大臣になって、債権放棄しても、特損はそんなに多くは認めてくれないみたいだよ。約束は聞いたけど陽太が総理になったから、税収確保に協力してくれと正子さんに連絡があったよ。利益は儲けたより、大分減りそうだよ。銀行にも正人を頭取にして、研究所からも人を出さないといけなくなったし、神太朗君を証券会社の社長に出したのよ。新宿からも相当、人を連れて行くのよ。人はいなくなるし、利益も減るのよ。

「でも赤字でもないのでしょう。」

香奈それはね、まあそんな事もあるかもと思っていたからね。前年程度の利益を残すようにしていたのよ。

「だったらいいじゃないのよ。そんなに儲けても仕方ないわよ。一族の悲願も叶ったのよ。財団は興奮しているわよ。無利子国債と云うのはなんなの。」

香奈「相続税がいらない換わりに、利子がつかないのよ。」

「すべての財産の相続税がなくなるの。」

香奈そんな事はないわよ。預けた現金だけだよ。

「それでも考えてみよう。」

香奈「全体の税体系を含めて税理士に検討させているよ。財務省とも話もしているよ。」

「今回の騒動の発端は、俊司君らしいね。」

香奈本当はヨーロッパだけど、こんなに大きくしたのは、俊司君だね。証券会社と銀行を道連れにしたのよ。最初に損切りすればこんな事にはならないのに、苦し紛れにあがくとこうなるのよ。

「怖いわね。香奈さんの言っていた意味は分かったわ。大損も大損ね。凄いね。神太朗君が証券会社に行くと運用会社はどうなるの。」

香奈有村の孫も手伝って貰うわ。詩を書いている場合じゃないのよ。有村も高杉も暇そうだし、新宿で少し手伝って貰うのよ。神二郎君が神太朗君の代わりに新宿をみるのよ。会長枠は沙織さんが一応担当になるの。奈津実の子供も一人、ジブトラストに入るように言ってるど、恵の所は誰かいないの。取引じゃなしに企業の相談だよ。」

「私の所はそんな元気のある奴いないと思うけど、取引なんかは到底無理だよ。」

香奈「それは大丈夫だよ。新宿では、取引はそんなにしない事になると思うの。神子ちゃんと神之助君も管理を重視しているわ。切人が、ジャンヌさんの手伝いもあって、ヨーロッパとアメリカの子会社をみているわよ。聡美ちゃんも慣れてきたのよ。加代子ちゃんは凄いのよ。」




香奈オフィスは、奈津実が瑠璃の替わりに海外に出かけ、夫の良平と共に、各国の政府とコネを作り、鉱山の開発や共同開発に取り組みだしていた。瑠璃のハゲタカ、ボッタクリ路線とは少し異なり、開発型の鉱山経営も進めていた。


鉱山探索ロボットも改良させて、資源探索契約をして、採掘、販売権も取り、有望な大きな鉱山も開発し、利権も獲得して、飛躍的に大きくなっていた。香奈オフィスが世界の資源メジャーになっていた。今や資源開発をリードしていると言っていても過言ではなかった。


資金力をつけた香奈ファイナンシャルの国内や海外からも大幅な増資や融通、つまり借金と云う名の支援を受けて、資金問題を乗り越えていた。それに資源や鉱山などの開発をする時には、現地政府機関や現地資本もいれた合弁会社を作る時もあった。香奈オフィス自身が中核の大きな企業集団になっていた。奈津実の子供の良一も良二も香奈オフィスに入って、各地を飛び回っていた。娘の珠美まで旦那もつれて香奈オフィスに入っていたので、とてもジブトラストに入れる状態でもなかった。



それに他の孫やひ孫たちも香奈ハイテクにも入っており、財政学に興味を持つ子もいて、機械や資源開発、貴金属、カズコウォッチも抱え、勝の血筋も含めても、人は足りない状況だった。ひ孫たちも品行方正な奥さんや真面目な旦那を選んでいて、正子たちの血筋ほど、取引適性のある人や変わり種がいなかった。恵たちの孫やひ孫も大人しい人が多かった。菊子の子供の菊太郎も治部金属で頑張っており、菊次郎も菊子金属で年寄りに虐められて、いや指導を受けていた。もう人は、いくらあっても足りない状況になっていた。