去年、甲斐さんが絶賛なさっていたドラマ「スローな武士にしてくれ」が地上波で再放送され
改めて「やっぱりイイね!」とコーフン気味の我が家(笑)
「最近のNHKってのは、ホントにね、前向きに真っ直ぐやってる
もう、色んな実験っていうか、色んなチャレンジをしてるんですけど…」
という甲斐さんのお言葉通り、素晴らしい作品で、今度こそ永久保存しなくては…♪
もっとも、柄本佑さん演じる時代劇オタクのNHK技術ラボ職員が
冒頭のナレーションで、ある演出家の言葉…
「映像とは何か?それは単に光がレンズを通過して作られる被写体のコピーに過ぎない
所詮、本物じゃない無機質なものだから
人の心を動かすには、ゴテゴテと装飾を施さなければならない
観客が生身の役者の演技を直に目撃する演劇には到底敵わない」…を読み上げられた時には
「そりゃライブには敵わないでしょ」と思ったんだけど…(笑)
そのあとに「人の心を動かす映像を作り出すのは容易なことではない
そのために人生を捧げ、努力を惜しまない人間によってのみ作ることが可能だ
ここには、その手の変わり者…イヤイヤ、犠牲心と情熱に富んだプロがいる」…と独白が続き
絶滅危惧種とされる「活動屋」の、映像にかける情熱に翼を授けるのが最新の技術
(CGやアニメーションではなく)…であり
「腕の立つ侍たちに最高の刀を持たせる…イヤ、マシンガンを持たせれば天下無敵だろう」
…ということで、どう見ても「東映」にしか見えない「京映」(笑)のロゴはさておき
その京都映画撮影所で、石橋蓮司さん演じる国重監督を始め
武藤カメラマン役の本田博太郎さんや照明技師役の浜田晃さん、録音技師役の佐川満男さんら
ロートルメンバーばかりの「国重組」に「NHKさん」から
最新技術を使った試験的番組制作のオファーが届くところから物語が始まる訳ですが
ここから先はネタバレとなりますので、ご注意くださいね
さて、この「映像の力だけで押しまくる究極のチャンバラ」パイロット番組の主役に選ばれたのが
内野聖陽さん演じる大部屋俳優「シゲちゃん」こと村田茂雄氏で
剣道六段、居合い四段、30年以上のキャリアを誇る「2万回斬られた男」は
主役と同じ感覚と技量で殺陣をモノにしており
「自分の立ち回りを魅力的に見せてくれる」とスターさんからのご指名も多い役者さんながら
「セリフはカミカミ、滑舌ボロボロ」という致命的な欠点を持っていて
「天誅!」というたった一言のセリフでも、緊張のあまり声が裏返り
「テイク26」を叩き出したという伝説があるらしく(笑)
今回の抜擢は、ひとえにその殺陣の技量と
ハイスピードカメラによる撮影のため、おのずとセリフなしとなること
そして、伊武雅刀さん演じる京映所長の制作費削減主義に叶った「安う上がる」人選によるもの(苦笑)
なので「斬られ役一筋32年、2万回死んだウチの人にも春が来た!」とはしゃぐ
元「くの一」女優の妻や家族はともかく、当のシゲさんは、喜び半分といった表情…?
そうそう!この再放送では、いくつかカットになったシーンがあるみたいで
例えば、柄本さん演じる田所新之助氏は、15歳までロスで過ごした帰国子女なのに
家にあるDVDが全て時代劇という環境に育ったおかげで
京映の美術倉庫を見学するシーンでは「すっげぇ~!」と大声を上げ
「これは知恵蔵さんが近藤勇をやった時の虎徹!」やら
「大河内伝次郎先生が丹下左膳をやった時の相模大進坊濡れ燕!」やらと萌えまくり(笑)
それを眺めていた国重監督が「またえらいアホが来よったな」と呟くんだけど
確か?このシーンの前に、国重組の重鎮たちが喫茶店に集まり
マサチューセッツ工科大学出身の帰国子女に京都の水が合うのか?とボヤきながら
ミックスジュース(笑)を飲むシーンがあって
この「アホ」さ加減が(笑)一気に両者の距離を近づけ
スタッフ会議のシーンでは、監督が「田所ちゃん」と呼びかけ
このパイロット番組のタイトルを決めるよう促すまでになったんじゃなかったかと…?
「高画質なスーパースローを多用して時代劇を撮影することになるので」と提案された
「スローな武士にしてくれ」というタイトルに対する
「ダジャレやないか」という呟きを聞いた
装飾スタッフの若い女性が「何のダジャレ?」と訊ねると
ベテランの美術スタッフの男性が「知らんのか?パキさんが撮った映画のタイトルや」と答え
続けて、小道具の男性スタッフが「1981年、藤田敏八監督作品『スローなブギにしてくれ』
原作・片岡義男、主演・浅野温子、音楽・南佳孝」と説明したトコで
この2人の男性たちが、申し合わせたかのように
「♪うぉんちゅう~俺の肩を…♪」と歌い始めるシーンに爆笑(笑)
ただ、もう40年近く前の作品なんだなあと遠い目…でも、名曲は時代を問いませんよね?
まあ、奥さんはやはり甲斐バンド版【スローなブギにしてくれ】の方が好きなんでしょうが…(笑)